——で、4月にはメジャーデビューミニアルバム『I DON’T KNOW MY WAY』を発表し、これを機に日本語詞の楽曲も現われ出しましたね。

TOMOYA 賛否両論でしたけど(笑)。

——否もありましたか?

TOMOYA 一部ですが。あと、自分たちでも日本語を交えた時に、変にセルアウトした風に見られたくないところもあったし。「どうせレーベルに指示されて始めたんだろう?」とか、「売れる為にやったんだろう?」とか変に詮索されるのがイヤで。自分も先輩バンドを観て、そう思った時があったし。

——それでもあえて日本語を採り入れたのは?

TOMOYA あの頃はそう思ってましたけど、いざ、その時になると考え方も変わってきて。これまでの重くて、速くて、激しくてみたいなものから、今ならもっとポップなものをやってもいいだろうし、以前出したライブDVDでもMCで、「日本語を演りたくなったら演る」って言ってたんですよね。それがあのタイミング、メジャーデビューする新規一転の時だったんです。やらないで後悔するよりは、演って後悔しようと。とは言え、あえてメイン曲にしなかったところがいかにも自分たちらしいかなって(笑)。で、実際に演ってみたら難しいながらも、凄く楽しかったんです。

——難しかったというのはどの辺りが?

TOMOYA 意味がダイレクトに伝わっちゃうじゃないですか、日本語だと。そこがちょっとは恥ずかしくて。逆にダイレクトに伝わるからこそ、伝えたいことが出来てきたところもありますが。ホント、これまでの自分たちの英語詞の曲は下らないことを歌っているものもありましたから。「Tシャツの乳首のところに穴が開いた」とか。

【インタビュー】FEELFLIP スカパンクをベースに多様な音楽性が交錯する“スカオティック”とは? interview_feelflip_interview_feelflip__MG_0309-700x467
TOMOYA

——でも日本語詞の出現により、これまでのノリや勢いに乗った一体感や共有感の他に、気持ちを重ねたりとか代弁していると感じてくれたり、より気持ちでの共有感も生まれたんじゃないですか。

TOMOYA それはありますね。今までは曲に入る時も、「盛り上がって行こうぜ!!」的な煽りで入ったものも、曲に関してのことを話して入ったりし出しました。より感情移入や捉え方をしてくれているのがフロアからも伝わってくるようになりました。

「今回はいわゆるネガティブエナジーソング。ツラい時には、ツラいとキチンと謳おう」

——そんな今回のニューシングルは、日本語詞と英語詞の両方のバージョンが入っていますが、英語詞が最初の方に入っているのも面白いです。

TOMOYA 「英語がメインで、もう一曲、日本語のバージョンもありますよ。」ってニュアンスです。“日本語でくるんだろう?”と思わせといて、英語がメインでくるという。いかにもうちららしい(笑)。

——なんでも今回の『Life is Ground Trick』は、テーマの一つに「絶望」があるとか。

TOMOYA そうなんです。パッと聴き、“えっ、絶望!?”と思わせといて……(笑)。前作で「Laugh away」(笑って行こう)と謳っておきながら、次は絶望を一緒に歌わせるという(笑)。

——個人的には、「絶望しているヤツ集まれ。ここで一緒に歌おう!!」的なポジティブさを感じました。

TOMOYA いわゆるネガティブエナジーソングなんです、実は。「ツラいことにキチンと向き合うことで、前に向かうことが出来るよ」的な歌内容ですから。俺は「がんばれよ!!」って歌われると、“うるせえ、余計なお世話だ!!”と思いながらも、その場では合わせて無理やりにでも自分を鼓舞させちゃうタイプなんです。だけど、それすらツラい時ってあるじゃないですか。ポジティブなメッセージが余計トゥーマッチに響く時がある。だけど、そんな時は「ツラいよ」と愚痴を吐き出した方が一度キチンとリセット出来るんじゃないかなって。それをあえてポップでキャッチ―なサウンドに乗せて伝えてみたんです。

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——天邪鬼ですね(笑)。

TOMOYA (笑)。FEELFLIPって実は昔からそういったところがあって。凄く綺麗な曲なのに、凄く良くないことを歌っていたり。重い曲で凄くふざけたことを歌っていたり。サウンドや楽曲からのイメージからのギャップや意外性を楽しんで欲しいところがあるんです。

——この“Life is Ground Trick”の作曲はIKKEさんですね。

IKKE 最初はTOMOYAと自分で構成だけ決めて、それぞれ思うままに作ってみて、「どちらかを採用しよう」的な話だったんです。そんな中できたのが、僕が冬に合う感じ、TOMOYAがちょっと夏を彷彿とさせるタイプの曲だったんです。そこで季節感もあり、僕のバージョンが採用されたと。

——1曲の中に、みなさん得意な音楽性がバリエーション豊かに散りばめられていて、それこそスカオティックな1曲になってます。

IKKE おかげさまで1曲ながら、そこに色々な自分たちの音楽性を詰め込むことが出来ました。今までとは違いますよね。ドラマティックだし。それはやはり1曲勝負ってところも大きくて。これまでの作品では、収まっている何曲かを通して自分たちを伝えていたものが、今回は1曲で自分たちを表さなくちゃいけなかったですから。正直、アルバム作るよりも悩みました。1曲とは言え要素的には10曲分は詰まっているんじゃないかな。

——よくよく聴くと凄く色々な要素が詰め込まれています。

IKKE それもあり、M-3.にインストを入れています。「実はサウンドではこんなに色々なことを演っているんだゾ!!」というのを是非体感して欲しいですね。

FEELFLIP / Life is Ground Trick (JAPANESE ver.)

「DVD付きシングル? シングル付きDVD? 3時間50曲、MC等全てノーカットDVDとは?」

——で、今回はライブDVD付きですが、3時間ビッシリ入ってます。しかもライブの最初から最後まで一切ノーカットで。

IKKE 世にノーカットという話はよく聴きますが、ここまで文字通りなノーカットは珍しいんじゃないかな。かなり赤裸々ですからね、裏も表も。いかんせん、やり直したところとかチューニング等も全て収まってますから。

TOMOYA “本当にここまでノーカットにしちゃったんだ……”と感じるところはあります(笑)。全部曝け出しちゃいました(笑)。一般的に余計と思われるところは編集しても良かったんですが、こんな風にステージでのありのままの自分たちをそのまま入れちゃうのも自分たちらしいなかと。ライブを3時間も演ったことも全て伝えたかったし。

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——このDVD付きシングルの見どころ、聴きどころを教えて下さい。

TOMOYA 今回はそれこそDVDにシングルがついている感じですからね。DVDにしても3時間って、かなり長いじゃないですか。一気に観れない人も多いと思うんです。なので、そんな方は是非1日数曲ずつで良いので、小出し小出しで何日かかけて観終わって下さい。1日帰宅したら続きから観る、そんな習慣が出来てくれたら嬉しいです。

「“ライブバンドなんだぜ、俺らは!!”というのを、また今一度アピールしていきたい。」