――インダストリアル・ミュージックが再び注目を集めているとは思いますか?
どうだろうね。素晴らしい作品が沢山あるとは思うよ。でも同時に、インダストリアル・ミュージックはもう終わったと言ってる人たちも沢山いるけど。それは事実かも。俺が作ってる音楽がインダストリアルかはわからない。でも、インダストリアルからのハードコアな人たちが今俺の音楽を聴くようになってるみたいなんだ。多分、前の音楽は彼らにとっては軽過ぎたのかも。インダストリアル・ミュージックにしては、アグレッシブさが足りなかったんだんだろうね。でも今は、インダストリアルだと見なされる要素があるんだと思う。もしかしたら、これを聴いてインダストリアル・ミュージックのファンたちは笑ってるかもしれないけど。お前の音楽なんて、全然インダストリアルじゃないってね。でも俺は気にしない。インダストリアルでエンジョイできる作品は沢山あるから、その一部であると思ってもらえるのも嬉しいし、そうじゃないと思われるなら、俺の音楽は俺の音楽の特徴と良さがあると思うだけ。大事なのは、その音楽が何と呼ばれようと、人々がそれを聴くってことだからね。エレクトロでもインダストリアルでもいいから、聴いてもらうことが重要なんだ。好きか嫌いかは、そこから判断すればいい。名前の良くないところは、それだけで判断されてしまうこと。聴いてみて初めて、それがインダストリアルになりうるかそうでないかがわかるのに。
――トレント・レズナーやマリリン・マンソン、ベックなど貴方の影響を公言するアーティストは数多いですが、自身の一体何が彼らを熱狂させたと思いますか?
難しい質問だな。俺はこの世界にかなり長くいるから、俺のどの時代、どの作品に影響を受けてるかにもよるし・・・でも多分大部分は、俺が79年くらいに出て来た頃の当時の俺の音楽じゃないかな。あの頃、エレクトロは他の音楽とは全く違う音楽だった。エレクトロ・ミュージックを作ってるアーティストは少なかったし、クラフトワークとか色々いたけど、皆それぞれが違うバージョンのエレクトロ・ミュージックを作ってた。それが革新的だったっていうのがひとつ。あとは、あるミュージシャンが俺の影響でキーボードに興味を持ち始めたと言ってるのを聞いたことがある。だから、音楽自体じゃないってこともあるみたいだね。俺はそれについて考えたことがなかったよ。俺の音楽でシンセを聴いて、シンセに興味を持つ人がいるなんて。音楽を聴いて、ジャンルとは関係なくそのサウンドが良ければそこに影響を受ける人もいるってことだよね。だから影響や熱狂させる要素は様々。ドラムマシーンかもしれないし、声の使いからかもしれないし。特定は出来ないよ。もしかしたら、歌で扱う題材かもしれないし。俺は愛とか恋愛関係に関してはあまり歌わないからね。それも面白いのかも。でも、俺自身が面白いと思う、もしくは誇りに思うのは、沢山のジャンルからの沢山の人々が俺についてそうやって話してくれてるってこと。エレクトロのミュージシャンならまだわかるけど、それだけじゃないなんて嬉しいよ。例えばマリリン・マンソンなんて、超ヘビーなメタルバンドなのに。ポップやダンスや色んな音楽を作る人々が俺から受けた影響の話をしてくれている。そこは誇りだね。自分の範囲外だから。
ゲイリー・ニューマンがヴォーカル参加したバトルス”My Machines”
――貴方はナイン・インチ・ネイルズやバトルスらとも共演していますが、他にも一緒に仕事をしてみたい最近のアーティストなどはいるでしょうか?
もちろん沢山いるよ。オフィサーズっていうイギリスの新人バンドとも最近共演したんだ。彼らは素晴らしい。あとは、トレントと何かやりたいんだよね。色々話してはいるんだけど、まだ実現できてないから。来年か再来年、何か出来たら嬉しいね。面白いものが出来るはず。俺は新しいアーティストの作品も沢山聴くけど、コラボしたい人を探したりはしない。でも、コラボに対してオープンではあるんだ。自ら電話はしないけど、かかってくるのは大歓迎(笑)。自分に自信がないから、声はかけないんだ。さっきも言ったように、自分の声やギターが好きじゃない。だから、声がかかるのを待たないといけないんだ。依頼がきたら、そこから考える。コラボに関しては、そんな姿勢なんだ。
――このインタビューを読んだ人から、いっぱい電話がかかってくるかもしれませんね(笑)。
ははは! だと嬉しいね(笑)。誰とでもってわけにはいかないけど、俺がそのアーティストの曲をより良いものに出来ると確信できるなら是非。それが無理なこともあるからね。コラボの時は慎重になるよ。これまでやってきた共演に関しては全て満足できてる。他のアーティストと作業するっていいよね。俺はこもりがちな性格だけど、彼らと作業することで世界が広がる。