想い出を綴ったバラードを歌って、1人泣いたりする時もあったり……
──あとの4曲は、2013年に会場限定で発売してきたEP盤から選りすぐった再録曲たちですね。とは言え、かなり元曲に忠実で。
三浦 せっかく新作として出すんで、そのままは出したくなかったんです。リスタートなのに、まだ後ろを引きずってる風に見られるのがイヤで。今回は、いなくなったメンバーの分、ベースとキーボード類、それから、これは僕のエゴなんですけど、歌も若干歌い直させてもらいました。
伊藤 僕の場合は、前の良いところを活かしつつ、新しく録り直したものもありつつで。今回ベースが差し替わったことで、同じリズム隊でもあるドラムも変えなくちゃいけないところは変えて。そのグルーヴのすり合わせが、けっこうどの曲でも大変でした。
──長島さんはどの曲で参加を?
長島 “Have A Goodbye”と“ネオンライト”ですね。デモをもらった時に、「普通に良い曲だな……」と思ってたんですけど。逆に、「俺、この曲でどうやって弾いたらいいのかな?」って(笑)。タイプが全然違うんですよね、HO17とthe telephonesって。telephonesは、いわゆるリフものなので、一つ決まれば後はそれをグイグイやれば、ある程度成立する音楽性ですからね。それに対し、自分の色を出しつつ、HO17の良さを崩さないように、なおかつ幹宗Pの要望にどう応えるか? には、かなり苦労しました(笑)。
山本 「アウトロだけ凄く沢山弾いて」の注文しかしなかったけどなぁ(笑)。
長島 逆にそれだけ残されて当日のレコーディング現場にはいませんでしたからね。それが逆にプレッシャーで(笑)。いれば色々と言ってもらえたんでしょうけど、いないからなおさら色々と一人で考え込んじゃって。結果、2パターンも作っちゃいました。telephonesとは違った新鮮味を持って弾けたし、自分の中では、それこそHO17のメンバーの一員のつもりで弾いてましたよ。
──山本さんや長島さんは、今作を客観的に聴いていかがでした?
山本 6曲中2曲バラードは多いよね(笑)。
長島 元々彼らの曲が好きでしたからね。参加させてもらって嬉しかったし、中でも新しい挑戦や新境地でもある日本語の2曲に参加させてもらえたのは光栄でした。
山本 これ(長島さんの発言)、逆にしてもらえませんか(笑)。いや、僕もいいなとは思ってたんです(笑)。それから、(長島)涼平くんのベースは、歌を引き立たせる名人芸でしたね。あと、三浦くんは彼女にふられたりすると、その想い出を綴ったバラードを歌って、1人泣いたりするところがあるんです。今回もその辺りをみんなが感じ取って素敵な演奏にしてくれたんで、歌入れの時に泣いたんじゃないかなって。
三浦 デモを録る時に泣きました。「これ、ヤバい曲だな」って。
山本 自分の噺で泣く、まさしく熟練の落語家と同じ(笑)。いやー、それにしても太郎のギターはどう贔屓目に見ても酷かった(笑)。それに寄せる作業が大変で。基本、僕は思い立ったことを全て自分でやっちゃいたいタイプなんで。とは言え、HO17はHO17で味があるし、僕が弾いちゃうと、それこそ全然違ったバンドになっちゃいそうだったんで(笑)。そこはぐっと堪え、そのぶんシンセで頑張りました。安物のシンセのプリセットの音を駆使して色々と入れてます。