ェイムス・ブレイクと並ぶポスト・ダブステップのエースと称されるマウント・キンビーもジェイムス同様、「ポスト~」で説明される場所から旅立ち、自らの音を早くも切り拓いた。その結果が先ごろリリースされたセカンド『Cold Spring Fault Less Youth(コールド・スプリング・フォルト・レス・ユース)』である。生歌へのフォーカスというジェイムスとの共振は興味深いところでもあり、サウンドのレンジもシンセ・ポップからギター・ロックまで幅広く、様々なアイデアを縦断した充実作になっている。

そんなマウント・キンビーが今週12日(金)、Red Bull Music Academy×恵比寿リキッドルーム9周年アニヴァーサリーにて来日する。筆者は5月にポルトガルにて彼らのライブを見てきたのだが、完成度はまだまだだったものの、ギターをかき鳴らしながらのバンドさながらのライブ・パフォーマンスがどう仕上がっているかはかなり楽しみ。また大阪からはSeiho、バルセロナからはSinjin Hawke、Zora Jones、とベース・ミュージックの新たな担い手たちも多く登場するイベントになるので、是非リキッドルームにその低音を浴びに来てほしい。

編集部では、来日直前のマウント・キンビーに電話インタビューを試みた。ドミニク・メイカーが新作の制作時のチャレンジや変化、ダンスシーンとの関係について語ってくれた。こちらも是非目を通して頂きたい。

Interview:Dominic Maker(Mount Kimbie)

Mount Kimbie -“You Took Your Time” feat. King Krule

――長いツアーの中で得た発見の中で最も重要な気付きは何でしたか? また新作を作る上で直面した最大のチャレンジは何だったのでしょうか?

ライブでプレイすることで僕らは大いに成長したよ。最も重要だったのは、ツアーの中で自信が付いて、それがセカンド・アルバムに対して影響を及ぼしたこと。そして以前よりもギターやベース、ドラム、そしてボーカルも含め、楽器を用いることに対して抵抗が無くなったんだ。アルバムの中のボーカルについてはライブの影響が反映されたものだよ。ステージでは必ず歌っていて、ゆっくりとだけど僕らの音楽のひとつのレイヤーを成すようになったんだ。

挑戦という意味合いにおいては、自分たちが興奮できる新しいサウンドを見つけることだったね。かなりの間、脆弱なアイデアしか出てこなくて、ゴミの山の中で途方に暮れていたんだ。だけどとある時、新しい機材を買ったことをきっかけに僕ら二人ともが魅了されたサウンドを見つけたんだよね。その機材というのが『デイブ・スミス・テンペスト』(*デイブ・スミスはジェイムス・ブレイクをはじめとした多くのクリエイターが愛用するシンセサイザー『プロフェット』の開発者でもある)というドラムマシーンで、エレクトロ・ハーモニクス社の『カテドラル』というギター・エフェクターと同じくらい極めて重要な役割を果たしたんだ。テンペストをカテドラルに繋げば何時間でも時間を潰せるくらいにね。

――今作では以前に比べボーカルをフィーチャーしていますが、僕にはあくまでも楽器の一部として扱っているように聴こえました。ボーカルの使い方において共感できる作品やアーティストは何かありますか?

そう考えるのは正しいと思うね。僕らの作品におけるボーカルは単にひとつのレイヤーだからね。影響としてはダブ・ミュージックにおけるボーカルの使い方にはインスパイアされたね。あとはカリブー(マニトバなどの名義でも活動するカナダのミュージシャン)も大きかった。ボーカル・メロディに関しては、特にスイム(オーストラリアのブリスベン出身のエレクトロ/ダンス・アクト)とか、ミカチュー、後は勿論キング・クルー等のアーティストに影響を受けたね。

――マウント・キンビーのサウンドテクスチャーは抑制されて、霞がかったようなアンビエンスが特徴であり、とてもイギリス的だと思います。もしこの表現が正しいとしたら、これらは何に起因するものなのでしょうか?

それについては説明出来ないな。僕にとっては、マウント・キンビーの音楽ってロンドンのヘビーな部分、例えば公園や公営住宅団地、埃っぽくて霧がかった空気とかを思い出させるんだよ。思うに、典型的なイギリスの人々っていうのは大仰なステートメントをぶち上げたり、大げさに自分たちの考えを表明するってことに対して控えめというか、居心地の悪さを感じているんじゃないかな。

――僕はマウント・キンビーはダンス・シーンと適切な距離感があるというか、深入りし過ぎていないという印象を持っています。あなた達自身はとダンス・シーンの関係をどう表現するのが適切だと思いますか?

ダンス・ミュージックは僕らにずっと大きい影響を与え続けてきたよ。と同時に僕らは今居る場所に心地よさを感じてもいる。ファースト・アルバムの頃は、僕らは特定のシーンやサウンドにハマっていたけど、セカンドを出したことでその繋がりは今は、ある種の緊張状態にあるかもね。僕らは本当に色んなスタイルの音楽から影響を取り込んでいるし、様々な可能性を探求することを恐れていない。何でも貪欲に追求するからね。

――別のインタビューであなたは「何が良い音楽か前よりもより理解している」と話していたのですが、あなたにとっての「良い音楽」とは何でしょうか?

それはあくまでも僕ら自身のアイデアについてのコメントなんだよね。つまり今は自分たちが生み出したいサウンドが何なのかをより明確に理解しているということなんだ。自分たちの耳に対してより自信が付いたという意味でもある。

――(編集部より)Qeticを読んでいる日本のファンへメッセージをお願いします。

Qeticの読者の皆、僕らをサポートしてくれてありがとう。日本でのライブで会えることを楽しみにしてるよ! それまでは安全な旅を心がけるぜ!

Q1-5:interview/translation by Keigo SADAKANE
Q6:interview by Qetic/translation by Keigo SADAKANE

Event Information

Red Bull Music Academy x Liquidroom 9th Anniversary
“HOUSE OF LIQUID”

2013.7.12(金)@LIQUIDROOM
OPEN/START 21:00
ADV ¥4,500/DOOR ¥5,000
※20歳未満の方のご入場はお断り致します。
年齢確認のため、顔写真付きの公的身分証明書をご持参下さい。
(You must be 20 and over with photo ID.)

LINE UP:
Mount Kimbie
Sinjin Hawke(Pelican Fly, Barcelona)
Seiho(Day Tripper Records, Sugar’s Campaign)
Zora Jones(Pelican Fly, Barcelona)
Moodman(House of Liquid, Godfather, Slowmotion)
and more…

Ticket Information
ローチケ(Lコード:73788)、イープラス、tixee、LIQUIDROOM、beatkart
店頭販売:BEAMS RECORDS(原宿)、DISC SHOP ZERO(下北沢)、disk union(渋谷 CLUB MUSIC SHOP/新宿 CLUB MUSIC SHOP/下北沢CLUB MUSIC SHOP/吉祥寺店)、JET SET TOKYO(下北沢)、MORE RECORDS(大宮)、TECHNIQUE(渋谷)
TOWER RECORDS(新宿店/秋葉原店)

Information
LIQUIDROOM(03-5464-0800)、BEATINK(03-5768-1277)

Release Information

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