『ミューテーションズ』のジャケ写に一目惚れをしてから早12年。メロウ・ゴールドで英語を勉強し、デビュー時のベックに憧れて髪の毛を切り、アンチフォークを聞くのがかっこいいと思い込み、青春の思い出を見事に取りこぼしながらひたすらベックとアメリカ文化への夢を見続けた結果、気がつけばベックを追いかけてアメリカ在住7年目になりました、LOVE SPREADのnarumiです。どれだけベックが好きなのか? というと、新曲が発表される度に小躍りをし、毎年ベックの公演はほぼ最前で見届け、インタビューでは毎回ベックの話をし、自身のライブで “Loser”を歌う際は、クラウドサーフしながら「ベックが好きだー!!」と叫んでしまうくらい好きです……。

ベックの魅力をフジロック出演バンド=LOVE SPREADメンバーが語る music160704_beck_2

LOVE SPREAD

LOVE SPREAD “Loser”

さて、アメリカでは細々とライブをしていたベックなのですが、最後の来日は2009年のモダン・ギルト・ツアー、よって<フジロック・フェスティバル>が7年ぶりの来日公演です。日本の夏フェスにはなんと11年ぶりの出演! ベックの気合いも相当だと勝手に妄想している中、アメリカはニューヨークにて6月3日に行われた<ガバナーズ・ボール・ミュージック・フェスティバル(以下、ガバナーズ・ボール)>にて一足先に2016年夏のベックを体感してきました!

ベックの魅力をフジロック出演バンド=LOVE SPREADメンバーが語る music160704_beck_1

Photo by Narumi Iyama

ベックの出番はザ・ストロークスの前ということで親交のあるニックやファブ(共にストロークスのメンバー)の飛び入りなどあるかと少し期待をしたのですが…。そんな期待をしたのが失礼に思えるほどの大迫力のベックオンステージ! もしベストアルバムを発売するならこうだ! というお馴染みの曲の連続に観客も大喜び! 単独ではなく、フェスだからこその構成で、M83やバット・フォー・ラッシーズとのコラボでベックを知った今時のインディーキッズも、私のようにベックのかつての前座であったMGMTやアーケイド・ファイア世代も、はたまたベックと同じようにプリンスやデヴィッド・ボウイを聞いて育った世代も(この日はプリンスの“Raspberry Beret”をカバーし、ホロリとする一幕も)、テイラー・スウィフトと共演したことしか知らないミレニアルズ(日本でいう”ゆとり世代“)たちも…そんな老若男女全てを笑顔にさせ、熱気と、ベックの歴史がギュッとつめこまれた時間でした。

BECK “Raspberry Beret(Prince Cover)”

当時は体調不良によりモダン・ギルトのツアーが最後になるかもしれないと語っていたベック。思春期真っ盛の私は遅れてファンになった自分を呪ったものです…。が! 今年のベックは違います。 7年前の東京公演、ゆらゆら帝国の後なかなかでてこないベックにやきもきした人も、名古屋公演で新幹線に腕が挟まり包帯姿のベックを見て心配した人も…安心してください、これがグラミー賞受賞アーティスト=ベックだ! という圧巻のパフォーマンスを届けてくれます!

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