「歌うように踊る」三浦大知のイメージが定着したアルバム『FEVER』時代。音楽への素直な愛情が何よりの魅力

“Anchor”(2014年)

三浦大知のオリジナリティを高めたおなじみのNao’ymtが作詞、作曲、アレンジを手がけたミディアム・ナンバー。ストリングス・リフやピアノが印象的で、時代的にもロックバンドやR&Bといったジャンル感を超えてスケールの大きな楽曲が認知された背景もある。それまでカッティングエッジな音楽性を追求してきたその次の表現として、肩の力の抜けた新しいポピュラーソングの意義は深い。

“ふれあうだけで 〜Always with you〜”(2014年)

“ふれあうだけで 〜Always with you〜 /IT’S THE RIGHT TIME”の両A面シングルとしてリリース。バイオリン、ビオラ、チェロとピアノがスケール感を醸し出すバラードで、三浦大知史上初の“踊らないミュージック・ビデオ”が話題になったほど。また、ニベアのCMに起用され、「伸びやかで癒される声」として、歌そのものにスポットが当たるきっかけになった1曲。

三浦大知 (Daichi Miura) / ふれあうだけで ~Always with you~ -Music Video- from “BEST” (2018/3/7 ON SALE)

“IT’S THE RIGHT TIME”(2014年)

両A面シングルのもう一方のこの曲は、よりシンプルなアレンジのピアノ・バラード。三浦大知も作詞の軸を担っているが、困難すら人生につきものと言わんばかりのニュートラルなスタンスが心強く、肩の力の抜けた歌唱も素晴らしい。エッジーなダンス・パフォーマンスのイメージが強いが、アルバム『FEVER』の時期は、心の奥底にある熱を表現したバラードの名曲が多数生まれたことを実感できる。

“Unlock”(2015年)

三浦大知の楽曲イメージの一翼を担ったNao’ymtが手がけたこのナンバーは、平歌でのクールさと、ハウス・ミュージックのように上昇・膨張感のあるサビへのドラマティックな変化が、ボーカルにも映画的でドラマティックな影響を与えているように感じる。また、菅原小春とのバトルするようなスリリングなダンスを見せたコレオビデオ(ダンスに特化したビデオ)に圧倒されたリスナーも多いはず。

三浦大知 (Daichi Miura) / Unlock -Choreo Video with Koharu Sugawara-

“music”(2015年)

アルバム『FEVER』の軸になっていた、音楽に対する愛情、歌うことの楽しさを全開にしたナンバーと言えるのがこの曲。AORもモータウンソウルも、チェンバーポップ的な要素も融合された、思わずハンドクラップしたくなるチアフルなポップチューン。三浦大知の誠実なキャラクターがあって成立するポジティヴ・ソングだ。

Seihoも迎えさらに尖った表現を実現した“Cry & Fight”をはじめ、ブレイクスルーした最新アルバム『HIT』期の楽曲の充実

“Cry & Fight”(2016年)

長年、楽曲を担当してきたUTAに加え、先鋭的なビートメーカーとして活躍するSeihoとタッグを組んだトラックは、J-ポップ・シーンにフューチャー・ベース的なサウンドを送り込んだ快作。一瞬の嵐が通り過ぎるような体験的なトラックに対して、静と動を極端に行き来するボーカル表現を聴かせている。また同曲の振り付けで、曲がブレイクした部分での無音シンクロダンスは「紅白歌合戦」などでも驚愕の反応を獲得。尽きることのないイメージとスキルを見せつけた1曲だ。

三浦大知 (Daichi Miura) / Cry & Fight -Music Video- from “BEST” (2018/3/7 ON SALE)

“(RE)PLAY”(2016年)

UTAと三浦大知がタッグを組んだトラックは、重厚な音像のロック寄りのダンスアクトを彼ら流に再構築したような力強さのあるもの。ドラムのタムなど、生のビート感も打ち出している。前作“Cry & Fight”もそうだが、もはやアメリカ追従のダンスミュージックという印象はない。自分というエンターテイナーを通じて実現できるあらゆるコラボを楽しんでいる感のある頼もしいナンバーだ。

“EXCITE”(2017年)

「仮面ライダーエグゼイド」の楽曲としてリリースされた同曲は、念願のチャート1位を獲得。ドラマの内容に沿った部分もあるのだろう、ハイテンションのサビ、速いBPMなど、わかりやすいハードさが盛り込まれた仕上がりだ。“Cry & Fight”からの3作を含むアルバム『HIT』は三浦大知の代表作と言っても過言ではないだろう。

三浦大知 (Daichi Miura) / EXCITE -Music Video- from “BEST” (2018/3/7 ON SALE)