――2012年に大会がなくなるまでの数年間、日本代表のDJが毎年世界で2位や3位に入り、まさに強豪国としての存在感を出していた状況で、<DMC JAPAN>が一度無くなってしまったというのはプレイヤーにとっては辛い話ですね。
今の<DMC JAPAN>は既にアーティストとして1本立ちしている、所謂<DMC JAPAN>卒業生の協力で成立してる側面もあります。休止になってしまった現実が大きかったからこそ、惜しみなく力を貸してくれているんです。例えば仙台が地元のKENTAROは「東北予選は俺がやります」と言ってオーガナイズしてくれたり、他にも関西はKIREEKが、関東はIZOHが、沖縄はDJ TA-SHIが旗振りをして<DMC JAPAN>の歴戦のチャンピオンが参加してくれています。もちろん今までもプレイヤーたちが大会をサポートしていたはずですが、ある意味、縦の関係だったと思うんです。今は横並びで肩を組んで一緒に盛り上げていこうぜ!というスタイルで<JAPAN FINAL>に帰結する流れを一緒に作れているので心強いですね。
――そういった協力体制をガッチリ結んでいるからこそ、今回のクラウドファンディングでも、DJたちから私物を提供してもらい、運営資金に充てることが出来るんですね。
これは渡航費をどうしようかということで悩んでいたときにスタッフから出たアイディアだったんです。クラウドファンディングをするにあたって、卒業生や協力者たちからは快く私物を提供してもらいました。渡航費を集めるのは大前提なんですが、クラウドファンディングを通して、直接日本代表を応援して貰ったり、より多くの人が<DMC JAPAN>というものを知ってくれればと考えています。
――今年のクラウドファンディングのリターンでイチオシアイテムはありますか?
やはりアーティストのお宝私物グッズでしょうか。ファンにとっては本当に嬉しいアイテムだと思います。あと支援者だけが手に入れることができるゴールドカラーの「FUN DMC Tシャツ」とか。
限定ゴールドカラーFUN DMC Tシャツ
DJたちの協力とは別に、付け加えておきたいのは賛同してくれるブランドやメーカーへの感謝です。G-SHOCKを中心に今年も関係各社のサポートを貰うことで団体運営ができています。一度、<DMC JAPAN>のHPからサポートしてくれている企業をチェックしてみてください。そこに並んでいるのが、この文化を一緒に盛り上げてくれる超イケてる会社です。
――近年は『フリースタイルダンジョン』や<高校生RAP選手権>などもあって、ラップが盛り上がっている状況ですよね。ラップを入口にヒップホップに興味をもった人たちが、<DMC JAPAN>を通じて、DJカルチャーをより深く知ってもらうことができるといいですよね。
7月にDJ IZOHが『フリースタイルダンジョン』に出演してルーティンを披露したんです。ポピュラーな民放の番組で<DMC>らしいルーティンを披露できるのは大きな意味があります。今の時代ってDJを始めるのがすごくお手軽なものになったじゃないですか。そのこと自体は否定するようなことではないんだけど、一番奥深くにあって、なおかつDJの最もクリエイティヴなスタイルの1つがターンテーブリズムだと思うんです。スクラッチで音を乗せたり、ジャグリングで楽曲を再構築したりするのはDJの存在感や意義を強烈に魅せられる部分なので、多くの人の目に触れる機会は増やしていきたいですね。
あと『フリースタイルダンジョン』の話ついでに言うと今年から<DMC JAPAN>でも「バトル部門」が復活します。DJバトルっていうのは簡単に言ってしまえばMCバトルのDJ版。1対1でDJが向かい合って闘うタイマン勝負です。レコードに入っている「f**k you」って言葉をスクラッチと共に相手にぶつけたり、対戦相手も「k*ll you」って言葉を、さらに難度の高いスクラッチと共にアンサーしたり。喋るわけじゃないから身体の使い方も重要で中指も飛びかいます(笑)。さらに<DMC>のバトル部門は今年からDVS(デジタルバイナルシステム)が解禁になったんです。今まではアナログレコードしか使えないことから、現場へ持っていくことができるネタの数は限られていましたが、DVS解禁で可能性は無限大に広がります。その場で相手のディスを跳ね返すルーティンができるのかもしれない。むしろ、それぐらいのことを期待していますね。今年は新体制になってから3年が経過して、運営も少し落ち着いてきたので満を持して復活させました。意図していた訳じゃないんですが、MCバトルの盛り上がりとリンクしてきたのは面白いですよね。
次ページ:DMC JAPAN DJ CHAMPIONSHIP 2016 FINALの見所は?