<FUJI ROCK FESTIVAL’19>
2019.07.27(SAT)
GEZAN@WHITE STAGE
GEZAN。現在進行形で、ここまでドラマティックを地でいくバンドもそういないだろう。2012年のROOKIE A GO-GO出演時にはすでに立つことをイメージ出来ていたというWHITE STAGEで、苗場の曇天を真っ赤に染めあげてしまった。
「2019年7月27日、音の海の中で探す存在の証明。いつか思い出に変わる、あらかじめ約束されたあの夏一番うるさい海。GEZAN、はじめますーー」マヒトゥ・ザ・ピーポーの宣誓と怒号で幕を切ったステージ。1曲目、“忘炎”。バリバリと空気を破るサウンドが、まるで火炎放射器で炙るかのように凄まじい勢いで観客たちを激昂させていく。続く“Wasted Youth”ではマヒトもギターを叩き鳴らし、イーグル・タカ(gt.)が「裸の付き合いしようぜ!」とオーディエンスを焚きつける(ちなみに前日に同氏はギターを忘れて東京へ取りに戻るという奇跡の大チョンボを犯したらしい)。爆発的に膨らんでいくエネルギーがステージとの物理的な距離を無にし、屋外とは思えないほど密度を感じる空間になっていた。
カルロス・尾崎(ba.)がディジュリドゥを手にアンプの上に立ち“東京”のイントロが始まる頃にポツポツ降り始めた雨は、“Absolutely Imagination”でモッシュ&ダイブが入り乱れるなか大雨に変わった。鎮座DOPENESSら6名がマイクリレーを披露した“BODY ODD”で、現場は暴動状態に。曲の原型をとどめているのが不思議なほど、ステージ上も狂乱している。降りながらにして雨が蒸発していく。そんな表現が大げさじゃないほどの熱がWHITE STAGE一体を覆い、揺さぶっていた。
そして、ラストの“D.N.A”。まさか、それまで降っていた雨がスッと止んだ。ああ、これがGEZANだと心底思った。降るべきところで雨が降り、吹くべきところで風が吹く。「ここまで連れてきてくれたのは金とかコネとかじゃなくて、想像力」とマヒトは言ったが、たしかに7年後の今彼らがここに立っていることも、それを観た私たちがここまで心が沸き立つのも、すべて理屈ではないのだ。だから、好きか嫌いかではなく誰もGEZANを無視できない。《Absolutely Imagination!》とシンガロングが響く空に、ひらりと飛んでいく蝶を見た。
Photo by ヤマダ
Text by 野中ミサキ(NaNo.works)
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