開催が目前に迫った<FUJI ROCK FESTIVAL 2023>(以下、フジロック 2023)。最終ラインナップとタイムテーブルが発表され、出演アーティストから逆算してスケジュールを組み始めている人も多いことだろう。しかし、何が起きるかわからないのが苗場のお祭り。ハプニングだらけの3日間で迷ってしまった時、あなたならどうする?

そんな場合に備えて、今回は<フジロック 2023>で見逃せないアーティストを曜日別にご紹介。「とりあえずこの人は見ておきたい!」という目処をつけて、一年に一度のお祭りへと臨んでほしい。

今回はDAY 2、土曜日の出演アーティストを時系列順にピックアップ。当日のステージや予定時間と照らし合わせながら、ハンドブック感覚でどうぞ!

タイムテーブルはこちら

GEZAN with Million Wish Collective
GREEN STAGE 11:00-12:00

常道ともオルタナティブとも括れないルートを転がってきたGEZAN。そんなバンドとフジロックとの歴史は、2012年に「下山」名義で出演したROOKIE A GO-GOにまで遡る。次に両者が顔を付き合わせたのは7年後、2019年のWHITE STAGEだ。短くない期間を経て、三日間の熱源としてモッシュと轟音を生成した4人。思えばその後の2020年、大晦日に行われた無観客での配信ライブ<KEEP ON FUJI ROCKIN’II〜On The Road To Naeba 2021〜>はベーシスト・カルロスの最後の舞台であったし、2021年のRED MARQUEEはベーシスト・ヤクモア加入後の新体制だった。

偶然か必然か、バンドと苗場の森は奇妙な共振をしている。そして2023年、GEZANは初めてGREEN STAHEの舞台に立つ。今年2月にリリースされた『あのち』を引っ提げ、GEZAN with Million Wish Collective編成での登場で、このステージがこの編成の最後のライブとなる。やはり重要な局面となる今回の出演。見ない手はない。

d4vd
RED MARQUEE 14:00-15:00

OASISでゆっくりした後、向かうはテキサス州ヒューストン出身、18歳のシンガーソングライター・デイヴィッドd4vd)のステージ。プロゲーマーを目指し、フォートナイトのストリーマーとして活躍していたデイヴィッドは、自身の配信する動画のBGMとして音楽を自作し始める。インディーロックを参照しつつ、ベッドルーム(妹のクローゼットのなかで制作を進めた、とのこと!)の孤独な空気感を反映した楽曲はバイラルヒットを記録。ついにはビリー・アイリッシュらが所属するレーベル〈Darkroom/Interscope〉との契約を果たした。

ヒューストンのクローゼットと、苗場のRED MARQUEE。全く規模の違う二つのプレイスを、デイヴィッドがどのように架橋するのか、ぜひ目撃してもらいたい。

Weyes Blood
RED MARQUEE 16:00-17:00

ここではRED MARQUEEの新鋭の流れを体感する。現代におけるバロックポップの体現者として、様々なジャンル/シーンのミュージシャンからラブコールを受けるワイズ・ブラッドWeyes Blood)ことナタリー・メーリング(Natalie Mering)。ラナ・デル・レイキラーズドラッグディーラー、そしてジョン・ケイル。その歌声とクラシカルなスタイルは、アメリカ全土へと波及している。批評家筋から賞賛を受け、2019年のベストアルバムとして絶賛されたアルバム『Titanic Rising』から続く三部作の二作目として昨年リリースされた『And in the Darkness, Hearts Aglow』も、コロナ禍を戯画的に切り取った傑作だった。

念願の初来日となった今回はRED MARQUEEに登場。流麗な進行のアンサンブルとともに、フジの森が巨大な舞台装置へと変わる。

Louis Cole
WHITE STAGE 22:00-23:30

友人と歓談するもよし、休憩するもよし、何をしてもよし。フジロックの空間に浸っていると、すぐに時間は経過していく。そうして向かうはWHITE STAGE。ルイス・コールLouis Cole)は、ここ10年のポップミュージックに奇天烈な変化をもたらした張本人の一人と言っても過言ではないだろう。レッド・ホット・チリ・ペッパーズクインシー・ジョーンズといった大物からレーベルメイトのフライング・ロータス、さらに国内から星野源がリスペクトを示すなど、まさに「超人」といった働きぶりでスターを魅了。昨年は盟友・サンダーキャットの来日ツアーにドラマーとして参加し、暮れにはビッグバンドを引き連れての来日公演を成功させた。

今回は、昨年のツアーで披露したビッグバンド編成で登場。ノウワーKnower)のメンバーであるジェネヴィエーブ・アルターディがバックボーカルで登場するほか、日本からは馬場智章武嶋聡MELRAWといった名うてのホーンセクションがステージに上がる。じっとりと踊れる時間帯だ、摩訶不思議なルイスの世界に浸ってほしい。

長谷川白紙
RED MARQUEE「TRIBAL CIRCUS」23:30-24:20

二日目、盛運の一夜はここからスタート。なんとしてでも見逃したくないのは、ちょうど昨日フライング・ロータス(Flying Lotus)主催レーベル〈Brainfeeder〉との契約を発表し、異次元の第1弾シングル“口の花火”をリリースしたばかりの長谷川白紙。目まぐるしく展開される音の調和と混沌を、このベストなタイミングで体験できる超貴重な機会になる。

日本人として初の〈Brainfeeder〉所属アーティストになる意義は凄まじい。新たなシーンの開拓者として世界に認められた長谷川白紙のステージを目に耳に焼き付けてほしい。

TSHA
RED MARQUEE「TRIBAL CIRCUS」24:30-25:20

そして続くはこちらも大注目、ロンドンを拠点に活動するプロデューサー、ティーシャTSHA)。ディプロとのコラボレートや、フォールズやリアン・ラ・ハヴァスといった英国ミュージシャンたちのリミキサーを担当するなど、次世代のトップ・プロデューサーとして注目を浴びている。昨年〈Ninja Tune〉よりリリースされた1stアルバム『Capricorn Sun』からは数々のヒットチューンが生まれた。

ティーシャが紡いでいく音楽と、そのうねりを作っていく彼女自身のダンスは否が応でも身体に染み込んでいく。そんな彼女は今回、DJではなくライブを披露する。多幸感のあるサウンドスケープを描きながらもメロディックな、懐かしいようで新鮮なティーシャのトラック。深い森の中で迎えるサタデーナイトを、ロンドン直輸入のビートと共に堪能してほしい。

Romy
RED MARQUEE「TRIBAL CIRCUS」25:30-27:00

夜はまだまだまだまだ続く。2017年のフジロックに出演し、ベストアクトの呼び声も高かったザ・エックス・エックス。そのメンバーであり、プロデューサー/ソングライター/DJとしても活躍するロミーRomy)がソロとして<フジロック 2023>に登場する。マーク・ロンソンディプロと共に参加したデュア・リパのヒットシングル“Electricity”やフレッド・アゲインとの共作シングル“Strong”など、ザ・エックス・エックスのハウス/テクノ成分を凝縮したアーシーなビートが特徴だ。

初となるソロアルバムのリリースを控えるロミー。今年2月にはFENDIのフラッグシップストアのオープンを祝し、表参道でDJを披露した。心地よい陶酔を誘うプレイに身を委ねてほしい。

EVENT INFORMATION

FUJI ROCK FESTIVAL 2023

話題の長谷川白紙も出演──<FUJI ROCK FESTIVAL 2023>直前ハンドブック〜DAY 2 土曜日編 music230726-fujirockfestival2023-sat1

2023.07.28(金), 29(土), 30(日)

新潟県 湯沢町 苗場スキー場

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