──“イエス、アイム・チェンジング”は、自己陶酔している世界から抜け出して、現実世界(雑踏)へと一歩踏み出していくような、心境の変化を感じられた楽曲。

自分自身の変化を誰かに対して認めているっていう内容だよ。誰かが、お前は変わったとずっと言っていて、自分はずっとそれを否定してきたけど、もう否定せずに、それを認めようっていう内容。それがこの曲で歌われていることなんだ。

──これは前回のアルバムから変化したあなた自身を表現している?

その通り。さっきも言ったように皆に自由に解釈して欲しいからあまり話したくはないけど、俺にとっては一番パワフルな曲で、かつ自分自身を最も詰め込んだ曲だと思う。

──書いている時は、すごくエモーショナルになりました?

かなりね。曲作りって、俺にとってはセラピーみたいなものなんだ。自分があまり人に話したくないようなことを表現するから。だから、そういうのが音楽に出てくると、すごくパワフルになるんだよ。言葉では説明出来ないことが殆どだから。少なくとも俺はそういう感情を言葉には出来ないから、音楽で外に出すしかないんだ」

──“パスト・ライフ”の冒頭にある朗読は誰が?

俺だよ(笑)。でも声を変えたんだ。そっちの方がもっと面白いと思って。それに俺、自分の声が嫌いだから(笑)。

──曲の中では何を朗読しているんですか?

自分で書いたストーリー。誰かが、自分に起こったクレイジーな出来事を思い出しているっていう内容。まるでインタビューで昔のことを物語っているみたいにね。

──このアイディアはどこから?

わからない(笑)。長い間会っていなかった人に会った時とかかな。そういうしばらく自分の中で閉ざされていたものが甦ってくる瞬間。まるで頬をビンタされたみたいに、昔のパワフルな記憶が思い起こされるあの感覚だよ。

──今回のアルバムのなかで、最もエキサイティングだった瞬間は?それはどの曲のどのフレーズに描かれている?

仕上げた時(笑)。あとは曲作りを始めた時だね。各曲を作り始めた時と仕上げた時の両方が一番エキサイティングだった。その間はまるで拷問(笑)。でも新しい発見が出来るとワクワクするから、作り始めは常にエキサイティングだし、完成が近づいて先が見えた時も嬉しいしね。

──アルバムで特にプロセスが思い出深い、お気に入りの曲はありますか?

それを選ぶのは無理。全曲が自分の子供みたいな存在だから(笑)。親が、どの子が一番お気に入りかって考えるのは間違ってるからね(笑)。

──またアートワークについて教えてください。不思議なグラフィックデザインですが、ここに込めた思いとは?

アルバムを聴き込むとアルバムの内容がわかってきて、このアートワークの意味がわかるようになってくると思う。それもまた人それぞれ解釈は違うかもしれないけど、しっくりくるようになるはずだよ。

──デザインはあなたが?

アイディアは俺のアイディア。平たい、落ち着いた環境に動揺を起こすもの。そして、それが起こす動きをその流れに任せるっていうアイディアをデザイナーに伝えたんだ。

──日本でも、是非ショーを観たいです。その予定は? 13年の<フジロック>に出演しましたが、日本の印象は?

早く日本でもショーが出来たらいいけどね。前回行った時も日本は最高だったし、他とは違う国だから。クレイジーでありながら繊細だし、エモーショナルにさせてくれる国なんだ。その理由が何かはわからないけど、何かを感じるんだよね」

──<フジロック>はいかがでしたか?

最高だったよ。すごく遠かったけど(笑)。着いて半日くらいしかいれなかったんだ。でも日本にはまた是非行きたいし、その時はもっとゆっくり色々な場所を見れるといいな。住みたくなっちゃうかも(笑)。

──日本のファンに向けて、アルバムの楽しみ方、もしくはどういう風景を感じてもらいたいか? メッセージをください。

自由に楽しんでくれたらと思う。音楽が人生の大切な一部になる瞬間に聴いて欲しいね。俺はサウンドがどう聴こえるかを気にかけるからヘッドフォンで聴くけど、皆にはとにかくラウドに楽しんで欲しい。ヘッドフォンでも、そうじゃなくてもいいんだ。原動力が必要な、または原動力みなぎる環境で聴いてもらえると嬉しいな。

▼Tame Impala -“’Cause I’m A Man”

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