──マーク・ロンソンとはコラボしましたよね? 彼とのコラボレーションはどうでしたか?

あれは最高だったよ。マークは飛び抜けて素晴らしいプロデューサーだからね。彼からは多くを学んだよ。色々な音を一つにまとめる方法は特にそう。俺には俺のやり方があったんだけど、彼と作業したことで、もっと色々な方法があるんだっていう。

──最新作『カレンツ』は、マークとの仕事の影響を感じる、ソウルフルな要素のある作品に仕上がっていますが、彼との出会いがこの作品にもたらしたものはある?

それはどうだろう。マークの音楽は好きだし、彼の作業の進め方も気に入ってる。でも、彼のアプローチが『カレンツ』に影響しているかどうかはわからない。多分答えはノーだと思う。バンドの曲作りは、またそれとは別モノだからね。

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──これまでのアルバムとの違いは?

正直表向きはそんなに違いはないと思う。でも俺自身にとっては、色々と新しいことやレコーディング技術を試したから、そこが違いかな。

──何か新しい楽器は使いましたか?

殆どは同じ楽器だよ。ギアも同じ。でも今回のアルバムでは、いくつか新しいキーボードを使ってるんだ。意外と使っている楽器はあまり変わらないんだよ。

──サウンド的に過去2作と今作は何が違うと思いますか?

今回は、サウンドに対してもっとクレバーなアプローチが出来たと思う。今回は一つの要素にフォーカスして、それを強化することが出来たからね。前回のアルバムは、ギターとキーボードを同時にとか、すごくごちゃごちゃしてたから(笑)。今回のほうがもっとシンプルなんだ。

──その反面で、過去2作と変わらないと感じた部分は、サイケデリック、もしくはドリーミー感。バンドにとって「サイケデリック」感は重要な要素?

確かに、重要ではあるよ。でも、ちゃんとサイケデリックになれているかいないかという見方で自分の音楽を判断することなはいね。サイケデリックと思うか思わないかはリスナー次第。実は、俺自身は前回のアルバムがサイケデリックだとは思ってないんだよ。でも皆はあのアルバムをサイケデリックと呼ぶんだよね(笑)。だからサイケデリックっていうのは自分で意識して作っているものではないし、何がサイケデリックと見なされているのかも正直よくわからないんだ。自分の音楽をカテゴライズするのは好きじゃないから、そこはリスナーが自由に決めてくれたらいいと思う。

──周囲からサイケデリック・ミュージックを作る、または演奏するのを求められているような気はしますか?

どうだろう……確かにあるかもしれないな。でも、誰であっても自分以外の人間に何かを期待して、それが叶うとは限らない。俺の場合、何かを期待されると、それが逆にインスピレーションになって、その真反対の事をしたくなったりもするんだ(笑)。

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