世界最大規模で開催されているEDMの祭典<Ultra Music Festival>。多くの若者を中心に盛り上がりを見せているこのイベントは、どうやら海に住む魚たちにとってかなりのストレスとなっているようだ。

マイアミ近郊の海に生息する魚に多大なストレスがかかっているとの研究結果

<Ultra Music Festival>開催の地、アメリカ・マイアミの海について研究しているローズンズティール・スクール・オブ・マリーン・アンド・アットモスファーリック・サイエンスの発表によると、<Ultra Music Festival>で流れている大音量のEDMサウンドが、マイアミ近郊の海に生息している魚に、天敵から襲われているときと同等のストレスを与えていることが判明した。

研究チームはマイアミに位置するバリア島、バージニア・キーで、<Ultra Music Festival>開催期間中にアンコウ類の魚が孵化する瞬間を調査した結果、同フェスティバルで流れる大音量の音楽によって、コルチゾールと呼ばれるホルモンの分泌量が著しく増えたという。コルチゾールはストレスがかかることで分泌量が増加するとされるホルモンで、大音量によってアンコウの天敵であるバンドウイルカに追いかけられているときと同程度の分泌量が確認されたそう。

また、フェスティバル開催中、バージニア・キーと隣り合わせの島キー・ビスケーンとを結び合わせるベアー・カット橋で、低音域が2〜3デシベルほど上昇していることも指摘されている。海洋科学を研究するクレア・パリス博士は、この現象について「海洋生物による音波活動の変異と<Ultra Music Festival>の開催中に多発するボートの交通によって付加されるノイズが原因となっている」と説明している。

この調査結果を受けてか、現地時間8日(水)に<Ultra Music Festival>の公式Twitterで、今年を最後にマイアミでの開催を取りやめることが発表された。声明の中で運営は「自らマイアミでの開催におけるライセンスを手放しました。20年にも及ぶ我々のストーリ^の一部になってくれたマイアミに感謝します」と、謝辞を述べている。またマイアミ以降の今後の開催予定地については、サウスフロリダに決定したことも伝えている。

胎教音楽やメディテーション・ミュージックなど、人体に良い影響を与える音楽がある一方で、こうして音楽が生態系に悪影響を及ぼすこともある、ということが今回の調査で明らかになった。音楽を楽しめるのは美しい地球環境があってこそ。環境面へのきちんとした配慮が今後も必要だ。

THANK YOU #Ultra2019