クラプトンやニルヴァーナも出演『MTV Unplugged』の歴史を振り返る

00年代からは日本版もスタート！ 『MTV Unplugged』の広がり

Salyu（Photo by Hisana Hiranuma）

そして、01年1月1日に『MTVジャパン』が開局したことをきっかけに、同年には日本版『MTV Unplugged』の第一弾として宇多田ヒカルが登場！　海外版ではCHAGE and ASKAが96年に出演していたものの、日本発信の『MTV Unplugged』はこれが初。その後も平井堅が番組発祥の地であるNYで日本人初となる収録を行ったり、東日本大震災から3ヶ月目を迎えた日にはSalyuの収録がBillboard Live Tokyoで行なわれたりと、国内アーティストからも様々な名演が生まれることに。

Ken Hirai and Nivea – You Are The Sunshine of My Life（Live MTV Unplugged）

（ニベアとともに披露したスティーヴィー・ワンダーのカヴァー）

また、絢香の回には彼女がジャネット・ジャクソンのライブを観て歌手を目指すきっかけになった場所＝大阪城ホールで収録されるなど、開催場所にも様々なドラマが。一言でアンプラグドといってもシチュエーションや選曲／見せ方は人によって本当に様々で、「生演奏」という制約を設けることで普段よりもそれぞれの違いや個性が際立って見えるのが、このシリーズの何よりの特徴になっているのです。

特番の内容もすごいぞ！　今回の注目はこの5組。

JUJU（Photo by Mayumi Nashida）

では、ここからは今回の特番での注目アーティストをご紹介。まずは何と言ってもこの人、宇多田ヒカル。01年に出演した彼女はオーケストラや黒人ドラマーらを従えて人気曲を立て続けに演奏。中でもJ-POP史を代表する名バラードのひとつ“First Love”が、その魅力を最も引き立てるアンプラグド形式で披露される様子は必見。

宇多田ヒカル – First Love

一方マイリー・サイラスの回は、アークティック・モンキーズの“Why’d You Only Call Me When You’re High?”のカヴァーを披露するなど、お行儀のいいポップ・アイコン像にはとどまらない彼女らしさ全開のステージ。中でも最大の見所は某超大物シンガーとの競演で、女性ポップ・アイコンの歴史に思いを馳せずにはいられない仕上がりに。それが誰なのかはぜひ放送でチェックしてみてください。

Miley Cyrus – We Can’t Stop

12年のJUJUのステージには、歴史ある『MTV Unplugged』ならではのエピソードが。というのも、平井堅がNYのスタジオで『MTV Unplugged』を収録していた時、その観客席にいたのが歌手デビューを目指して単身NYに飛び込んでいたデビュー前のJUJU。そしてこの日の収録場所はかつて観客として平井堅のステージを観た思い出のNYのスタジオ。アジア人女性としては初となるNYでの収録になっています。

JUJU – 奇跡を望むなら…

また、同じく12年に登場したCharaはジャズ・バンド編制のしっとりセクシーなステージ。類まれな歌声にアーティストとしての円熟した魅力が加わった現在の魅力がぎゅっと凝縮された雰囲気で、会場となったBillboard Live Tokyoのステージ奥に広がる東京の夜景をバックに、大人のパフォーマンスを披露してくれる。

Chara – やさしい気持ち

そして13年に出演した西野カナは、ラテン・ジャズ風の“会いたくて 会いたくて”やボサノヴァ調に姿を変えた“Best Friend”など、普段とは大きくアレンジを変えたライブを披露。“Distance”がアコースティックになったり、“One Way Love”のように普段はライブで聴ける機会が少ない曲も演奏されたりと、歌詞に焦点が当たることも多い彼女の歌声の魅力が改めて伝わってくる、シンガー西野カナの真骨頂とも言えるライブに。

西野カナ- Distance

どの放送回にも言えるのは、おおよそここだけでしか観られない名演の数々が楽しめるということ。原曲を知ってから楽しむもよし、放送で気になった演奏から原曲をたどってみるもよし。今回の特集企画でも、『MTV Unplugged』ならではの魅力に浸ってみてください。