VHSビデオテープとほぼ同じサイズに設計され、シンセサイザーやリズム・マシン、サンプラーなどを内蔵し、お手頃な価格と簡単な操作性で、誰でもダンス・ミュージックを演奏できる、大人気のKORG「volca(ヴォルカ)シリーズ」。

同シリーズはそれぞれのサウンドに特徴があり、内蔵の「SYNC端子」、「MIDI IN端子」から、複数の「volcaシリーズ」やDAWと接続し、同じテンポでプレイさせる事が可能で、組み合わせて使う事でサウンドのバリエーションを増やしていく楽しさがあります。

現在までに発売されている「volcaシリーズ」をざっとご紹介すると、アナログ・ループ・シンセ『volca keys』、アナログ・ベース・マシン『volca bass』、アナログ・リズム・マシン『volca beats』、デジタル・サンプル・シーケンサーの『volca sample』と『volca sample OK GO edition』、デジタル・FM・シンセサイザー『volca fm』、アナログ・キック・ジェネレーター『volca kick』などがあり、最近では、それらをミックスするための、アナログ・パフォーマンス・ミキサー『volca mix』が発売され、今後はどんな製品が登場するのか期待が高まります。

今回ご紹介しますのは『volca fm』(ヴォルカ・エフエム)です。本製品は、あの有名なFM音源のシンセサイザーのサウンド・エンジンを完全に再現し、互換性を持った3ボイスのデジタルFMシンセサイザーで、「volca」ならではのインターフェイスによって、FM音源に詳しくない方でも簡単に音を作る事ができます。コンパクトに設計された『volca fm』で、80年代に一世を風靡した、きらびやかなFMサウンドを気軽に楽しむ事が出来るのです。

80年代に一世を風靡したFM音源をコンパクト・サイズで気軽に楽しめる、KORG『volca fm』の魅力 technology180606_volcafm_2-1200x802

こちらがKORG 『volca fm』(ヴォルカ・エフエム)です。

ボディーの側面と裏側は、艶のある黒い半透明のプラスチックで作られています。暗がりで見ると、側面から赤いランプの光や、内部のメカニズムがうっすらと透けて見えてなんともカッコいいです。正面のコントロール・パネルは黒と言うよりも、ややダーク・ブラウンで、そこにライト・グリーンのボタンが並んでいます。このカラーリングはかつて大ヒットした、伝説的FM音源シンセサイザー、YAMAHA「DX7」を彷彿とさせます。

『volca fm』は、6オペレーター、32アルゴリズムのFM音源を搭載したポリフォニック・デジタル・シンセサイザー

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『volca fm』は、YAMAHA「DX7」と同じ、6つのオペレーターと32個のアルゴリズムのFM音源を搭載したポリフォニック・デジタル・シンセサイザーなのです。

FM音源とシーケンサーがコンパクトにまとめられた本製品は、往年の名機、YAMAHA「DX7」を彷彿とさせる配色と、きらびやかなサウンドが魅力的で、机の上に置いてあると思わずいじって遊びたくなります。

YAMAHA「DX7」を知らない方の為に軽くご説明します。「DX7」というのは1983年に発売され、世界的に大ヒットしたデジタル・シンセサイザーで、従来のアナログ・シンセでは出す事が難しかった、きらびやかで金属的なサウンドを出す事ができました。ツマミ類が一切なく、液晶ディスプレイをいち早く採用したデザインは画期的で、時代の先端を行くシンセサイザーだったのです。

当時は多くのミュージシャンが「DX7」を使用していましたが、中でもおすすめなのは、坂本龍一のアルバム『未来派野郎』で、そのデジタルなサウンドを聴く事ができます。気になる方はチェックしてみてください。

外部機器からMIDI接続して『volca fm』の音源を鳴らしたり、YAMAHA「DX7」の「SYXファイル」を受信して同じ音色を鳴らす事も可能

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本製品の右上にはいくつかの接続端子があります。「MIDI IN 端子」に外部のシーケンサーなどからMIDIケーブルを接続して『volca fm』を音源として鳴らす事はもちろん、YAMAHA「DX7」と接続し「SYXファイル」を受信すれば、「DX7」と同じ音色を『volca fm』で鳴らす事もできる優れものなのです。

「SYNC IN SYNC OUT端子」は本製品と他の「Volcaシリーズ」を付属のケーブルで接続し、それらを同じテンポで同期させて演奏する時に使用します。また、本製品で作った音色を、もう一台の『volca fm』にケーブルで接続し、エクスポートして鳴らす事も可能です。

「ヘッドホン端子」は3.5mmのステレオ・ミニ・プラグのヘッドホンを接続し、スピーカーに接続する時もこの端子を使用します。何も接続しなければ、本製品の裏側にある小型の内蔵スピーカーから音が出ます。

その下にあります「ARP」と書かれているセクションはアルペジェーターです。「TYPEノブ」を回してアルペジェーターの種類を選び、「DIVEノブ」で、どのくらいの細かさで鳴らすかを設定します。一番細かく設定すると、かなりのスピードでアルペジオを自動演奏できます。「TEMPOノブ」は、内蔵シーケンサーや、アルペジェーターのテンポを設定し、「VOLUMEノブ」で出力する音の大きさを調節します。

さらにその下には4つのボタンがあります。「PLAYボタン」を押すとシーケンスが頭から再生され、もう一度押すとストップします。シーケンサーにリアルタイムで演奏を打ち込む時は、「RECボタン」を押してから「PLAYボタン」を押して録音をスタートします。再生している状態から「RECボタン」を押して録音する事も可能です。

「MEMORYボタン」はシーケンスをロードしたり、「FUNC(ファンクション)ボタン」と同時に押せば作ったシーケンスをセーブできます。「FUNCボタン」を押したまま鍵盤ボタンを押すと色々な機能を設定できるのですが、それについては後半でご説明します。

別売りのACアダプターKORG「KA-350」、もしくは単三乾電池6本で駆動

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本製品左上にあります「電源ボタン」を一秒間押したままにするとスイッチがオンになります。もう一度押せばオフにできますが、4時間何も操作しなければ自動的に電源が切れるようになっています。

その隣の「DC9V端子」は、アダプターを接続するための端子ですが、本製品には電源アダプターが付属されていないため、別売りのKORG 「KA-350」ACアダプターを同時に購入する事をおすすめします。持ち運んで使いたい時には、本製品の裏側にある電池ボックスに付属の単三乾電池6本を入れて駆動する事もできます。

デジタルの大きな文字が赤く表示される「ディスプレイ」は、80年代の製品のような雰囲気がありカッコいいです。操作すると音色名やパラメーターの数値などが表示されます。

8つのノブを操作して音色を作り、ノブの動きをシーケンスに記録して、音色変化するフレーズを作る事も可能

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ディスプレイの下にあります8つのノブは、音色を作るためのセクションです。

右上の黒いノブは「PROGRAMノブ」で、ノブを回すと音色が切り替わります。EDITモードにした時は、FM音源のパラメーターを選択するのに使用します。

その下の「ALGRTMノブ」は、1~32のアルゴリズムの中から作りたい音色に近いサウンドを選びます。本製品はノブの動き自体をシーケンスに記録できるので、時間と共にアルゴリズムが「ギゴガギー」と変化するメカニックなフレーズを打ち込む事もできるので面白いです。

「LFOセクション」では音に揺らぎを付けたい時に使用し、「RATEノブ」で、どのくらいの周期で音を揺らすのかを設定、「P.DEPTHノブ」で、どのくらいの深さで揺らすかを設定します。

「CARRIERセクション」はモジュレーターから変調を受け、音を出すためのオシレーターで、「ATTACKノブ」と「DECAYノブ」を操作して音量の変化を設定します。「MODURATORセクション」はキャリアの音を変調するためのオシレーターで、「ATTACKノブ」と「DECAYノブ」を操作して音色の変化を設定します。