乱交パーティー・・・良くも悪くも“欲”があまりない僕ら若い世代からすれば、そんなものはアダルト・ビデオの世界の中でしかなく、そこに一体どんな思いや感情が渦巻くのかは正直、想像の範疇外だ。3月1日(土)より公開される映画『愛の渦』はそんな乱交パーティーを題材にし、“欲”を剥き出しにした人間の生々しい姿を見事に描ききった作品となっている。
閑静な住宅街にあるマンションの一室。その名も「秘密クラブ ガンダーラ」。そこには「セックスがしたくてたまらない」人たちが思い思いに集まってくる。暗いニートの男、茶髪のフリーター、真面目そうなサラリーマン、工場勤務の太った男、メガネの女子大生、気の強そうな保育士、可愛らしい今どきのOL、大量のピアスを付け痩せぎすの女と様々だ。時間は午前0時~5時。料金は男:2万円、女:1千円、カップル5千円。あとは思いのままセックスするだけだ。
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監督は人気劇作家であり演劇ユニット〈ポツドール〉主宰、商業映画監督デビュー作『ボーイズ・オン・ザ・ラン』でも高い評価を得た、三浦大輔。自身の戯曲であり脚本も務めた映画『恋の渦』は、『モテキ』の大根仁監督によって映画化され、異例のヒット&ロングランを記録した。そして、今回は“恋”ではなくて“愛”。第50回岸田國士戯曲賞受賞した〈ポツドール〉の代表作『愛の渦』を第2の監督作に選んだのだ。
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また、特筆すべきは主演の2人。働きもせずにひきこもり、親の仕送りを使ってまで乱交パーティに参加する“ニート”役には若手実力派俳優として頭角を現してきた池松壮亮。もう1人は、三浦監督が 「彼女と心中するつもりで作品を撮ると決めた」というほど、その存在感にほれ込み、抜擢した女優・門脇麦。東京ガスのCM「ガスの仮面」シリーズで彼女のことを知った方も多いだろう。そんな彼女は“地味で真面目そうな容姿ながら、誰よりも性欲が強い女子大生”という役に挑んだ。双方ともこれから期待がされる俳優にも関わらず、濡れ場を堂々と演じきる姿には圧巻の一言だ。
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「セックスし放題なんて最高じゃないか」と僕みたいな思春期引きずっている男子は思いがちだが、もちろんそんなうまくはいかない。羞恥心、滑稽さ、切なさ、色々な感情がぶつかり合い「やっぱり私たちは人間なのだ」と痛感させられる。この乱交をテーマにした前代未聞の人間ドラマ『愛の渦』をぜひ劇場の大きなスクリーンで目にしていただきたい。
(text by Qetic・Taisuke Yamada)
『愛の渦』
2014年3月1日(土)テアトル新宿他にて公開
原作・脚本・監督:三浦大輔
出演:池松壮亮、門脇麦、新井浩文、滝藤賢一、三津谷葉子、窪塚洋介、田中哲司
制作プロダクション:ステアウェイ
製作:映画「愛の渦」製作委員会(東映ビデオ、クロックワークス)
配給:クロックワークス
©2014映画「愛の渦」製作委員会
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