――あなたはUFOにもハマって、今回のアルバム制作中にそれをテーマにした曲を作るのをサイモンに反対され続けていたそうですね(笑)。

フィリックス (笑)。UFOを見たことは自分にとって大きな出来事だった。……でもこうやってUFOのことを話して相手のリアクションを見ていると、「みんな了見が狭いな」って思うことが多いんだよ(苦笑)。本来、可能性はどの方向にも開かれているべきなのにね。でも今の世の中を見ていると、自分の理解できないことに対してとても冷たいんだよ。怒りとか恐怖とか羨望とか不満とか、そういうものに支配されている人がとても多いと思う。それじゃあ世の中はいい方向に向かわないし、人は幸せになれないよね。誰もが幸せになりたいし、苦労はしたくないはずなのに。だから今回は、その共通項を前面に押し出して、いい方向に進んでいきたいと思ったんだ。そういうテーマが最もストレートに語られているのが“パワー・トゥ・ザ・ピープル”。これは「人はみんな自分たちの声を見つけなきゃいけない。それを見つけた時に初めて、その声で世の中に訴えかけていけるんだから」という曲だね。“ウィー・アー・ノット・アローン”もそう。こっちは「一人でやってダメなことも、みんなでやれば解決への糸口を見つけられるんじゃないか?」というテーマを持った曲なんだ。

――こうして新作『フント』を完成させた今、ベースメント・ジャックスはどんなアーティストになったと思っていますか?

フィリックス 音楽的な話をすると、ベースメント・ジャックスはずっと独自の道を歩んできたと思う。周りが「ディープ・ハウスだ」、「EDMだ」って騒いでいても、その時代によって少しずつ少しずつ姿を変えながら、自分たちのやりたいことを続けてきた。僕らはただ、自分たちのやり方で進んできただけなんだ。そして、これからも出来るだけ過去は振り返りたくないな。そういうのは、もっと年寄りになってからでもできるからね(笑)!

(text&interview by Jin Sugiyama)

Basement Jaxx -“Galactical”

Basement Jaxx -“Wherever You Go”(ゲスト:Chara)

ベースメント・ジャックス『フント』全曲試聴

Release Information

[amazonjs asin=”B00KKS0IWC” locale=”JP” title=”フント”]