＃7 レゲエサウンドシステム MIGHTY CROWN UK TOUR 【LIFE of LONDON】

宮田維人｜ 2018.05.30 Wed

MIGHTY CROWN。

近年では国内のロックフェスなどにも出演し、ノーボーダーな姿勢で活躍している。

彼らを紹介するのに最も適したフレーズは「最強レゲエサウンドシステム」。 

サウンドシステムとは、文字通りスピーカーなどの音響機材とそれを所有するクルーの総称。そのクルーの中にはDJ(レゲエシーンではセレクターと呼ぶ)とMC、そしてアーティストまでも所属する。

わかりやすく言うと、サウンドシステムは自分たちのスピーカーを使って各地でパーティを行う「移動式ディスコ」で、このカルチャーはレゲエの故郷ジャマイカはもちろん、US、ヨーロッパ、日本など全世界に存在する。 

MIGHTY CROWNはその中で「最強」であり、この評価は全世界で変わることはない。 

なにが「最強」なのか。

レゲエシーン独自のサウンドシステムカルチャーの中には「サウンドクラッシュ」というものがある。要は「サウンドシステム同士が音楽を掛け合って勝負する」ということ。大抵の場合ジャッジはオーディエンスで、どのサウンドシステムが1番盛り上げたか、1番説得力があるプレイをしたか、それらを総合して勝者が決まる。

MIGHTY CROWNはその世界一を決める大会「ワールドクラッシュ」で1999年に初優勝して以来、サウンドシステム界のトップに君臨し続けている。もちろん優勝はこの1回だけではなく、ニューヨーク、ロンドン、ジャマイカなど、世界各地のクラッシュに幾度となく勝利し、ここ3年は巨大クルーズ内で行われる海の上の戦いで三連覇を果たしている。 

「最強」なのだ。 

99年のワールドクラッシュで名実共に「世界最強」となった彼らには世界各地からオファーが届き、それから現在まで約20年間途切れることなく海外公演を年に何度も行っている。

ここUKでもMIGHTY CROWNは大人気で、毎年ツアーを開催している。今回はそのツアーに帯同させてもらった。 

UK各地には「O2アカデミー」というコンサートホールが点在し、著名アーティストが日々ライブを行っている。今回のMIGHTY CROWNもオックスフォードとバーミンガムのO2アカデミーでヘッドライナーとしてプレイした。 

バーミンガムでは彼らの他にジャマイカから人気レゲエアーティストも出演したのだが、その中においてもこの「最強レゲエサウンドシステム」の出番は大トリ。 

イベントMCが「みんな誰を見に来たんだ？最後のファー・イースト・ルーラーズまでバイブス満タンでいけるか？」と聞くと2000人ほどでパンパンに埋まった会場が歓声を上げる。MIGHTY CROWNは「ファー・イースト・ルーラーズ」としても良く知られている。 

午前3時30分、「極東の支配者」のSAMI-Tが「はいどうもこんばんは～」と日本語で話しながら大歓声と共にステージに登場。ここから英語とパトワに切り替えて彼らのショータイムが始まる。

日本／海外に関係なく、MIGHTY CROWNがお客さんを盛り上げる武器はダブ・プレート。これもレゲエ特有の文化。市販の音源ではなく、自分たちの名前を入れ、「自分たちがイケてる」「自分たちは凄いサウンドなんだ」という内容の歌詞に変えた曲をアーティストに歌い直してもらい、それをプレイする。要は替え歌のようなものだ。 

MIGHTY CROWNのそれは特によく練られた歌詞で、UKのお客さんも声や手を挙げて反応する。みんなMIGHTY CROWNの最新ダブ・プレートを聴きたくて来ていると言っても言い過ぎではない。

この日は約40分間、MCと噛み合ったツボを突いた選曲で盛り上げっぱなし。

それはこのUKツアーだけでなく、世界中のショー、日本でも同じである。とにかく盛り上げる。 

終演後に「今日も凄かったですね」と声をかけると、「まあずっと海外でやってるし、こんなもんだよ」の一言。 

そして、会場を出ると「写真撮ってー！」の行列。

MIGHTY CROWNを観るためにアフリカのウガンダから来たという人にも出会った。

我らがMIGHTY CROWNは間違いなく世界のスーパースターだ。 

オックスフォードから始まり、ブラッドフォード、バーミンガム、クロイドン、ノッティンガム、ロンドンと、6ヶ所を周り、各地のカリビアンコミュニティやローカルの人たちを沸かせた今回のUKツアー。自分としては、子どもの頃からのヒーローと行動を共にさせてもらって感謝しかない。これからのロンドン生活のターニングポイントになること間違いなし。 

そんなファー・イースト・ルーラーズはまた7月にワールドクラッシュに参戦する。舞台はレゲエの故郷ジャマイカ。 

ジャマイカ、、、行こうかな。

つづく 