東京を拠点に活動するDJ/プロデューサーであるDJ Liberateのファースト・ソロ・アルバム『Scenes In The Gravity』が遂に完成。高田馬場にあるクリエイティブレストラン「九州珠-KUSUDAMA-」が2021年末に始動させた新鋭レーベル〈Hoodish Recordings〉から5月30日(月)にリリースされた。
客演にSTONEDZ(MEGA-G&DOGMA)、鎮座DOPENESS、前里慎太郎、Fortune Dら
本作はコロナ禍で発売延期となっていたDJ Liberate によるオリジナル楽曲をFumitake Tamura(BUN)がミックス/アレンジし、再構築したアルバム。客演にSTONEDZ(MEGA-G&DOGMA)、鎮座DOPENESS、前里慎太郎、Fortune D、MORI、BDR、KSと巧みなスキルを持ち、シーンを牽引するラッパーたちが参加した。さらにMaL(PART2STYLE)、ATSUKIが2曲のリミックスを提供した。
【MV】DJ Liberate – Lost In The Crowd feat. Fortune D
マスタリングはメジャーからアンダーグラウンドまで様々なアーティストを手掛ける木村健太郎(kimken studio)が担当。ジャケットデザインは自身のビジュアルアートやハードコア/パンク、アダルトを軸に活動するKEI SASAKI。MVはOshirasamaが撮影・編集を行なった。
カセットテープにはダウンロードコードも付いてくるので是非ダウンロードしてイヤフォンやヘッドフォン、クラブのスピーカーでこだわりの鳴りを楽しんでいただきたい。なお、6月4日(土)には渋谷Contactでレーベル〈Hoodish Recordings〉とZEN RYDAZ所属レーベル〈CROSSPOINT〉が企画する大型イベント<OUT OF THE KITCHEN -三巴->が開催。DJ LiberateはIRONSRTONE、ACHARUとともにレーベルショーケースに登場する。
『Scenes In The Gravity』リリースに寄せて
1990、2000年代にもそうした融合や横断はあり、その後もそうしたミクスチャーは進行していた。しかし、誤解をおそれずにいえば、ある時期からそうしたサウンドは非常に限られたシーンで支持されるものだったが、この作品のサウンドにはそうした閉鎖性をぶち破るエネルギーと洗練があり、風通しが良い。これこそがいま求められている音だと、私はおもう。
例えば、冒頭曲「ANYAKU」に鎮座DOPENESSが登場するのも象徴的だ。彼のオリジナルなスタイルはいまや広く認められているものの、2000年代に日本語ラップ、ラガ、レゲエを横断する特異性はアンダーグラウンドで際立つものだった。日本の主流の音楽シーンや音楽産業と呼ばれる世界の中で、アメリカのヒップホップ/ラップを追うひとびとと、UKやヨーロッパ諸国に連綿と受け継がれるサウンドシステム・カルチャーにアクセスするひとびとの隔たりは、両者を愛する音楽ファンからすれば、想像以上に大きかった。
だが時代は変わった。DJ Liberateのサウンド/プロダクションはUKドリルやトラップも通過した上でベース・ミュージックやダブを追求しているように聴ける。その音が歌い手のことばとフロウと化学反応を起こしている。STONEDZ(MEGA-G, DOGMA)、Fortune D、BDR、KS、MORI、前里慎太郎 a.k.a.ICといった個性的な面子の参加も然ることながら、あのFumitake Tamuraが作品の再構築に関わっていることも見逃せない。リミックスも2曲ある。こうした挑戦的な作品を起点に何かが動き始めるのは間違いない。
二木信(音楽ライター)
RELEASE INFORMATION
Scenes In The Gravity
DJ Liberate
2022.05.30(月)
Hoodish Recordings
Tracklist
1. ANYAKU feat.前里慎太郎 a.k.a.IC, 鎮座DOPENESS
2. Above The Clouds feat.STONEDZ(Mega-G, Dogma)
3. Walk feat.BDR, KS
4. Lost In The Crowd feat.Fortune D
5. State Of Behind feat.MORI
6. Calling feat.BDR
7. Bamboo Steppa feat.Fortune D
8. Above The Clouds feat.STONEDZ(ATSUKI Remix)
9. Bamboo Steppa feat.Fortune D(MaL Remix)
※上記はデジタルリリース版の曲順になります。
Produced by DJ Liberate
Mixed and additional production by Fumitake Tamura
Mastered by KIMKEN
Artwork by Kei Sasaki
P&C Hoodish Recordings