ューヨークに位置するメトロポリタン美術館は、大英博物館(ロンドン)、ルーヴル美術館(パリ)に並ぶ世界3大美術館のひとつです。約200万点に及ぶ多岐にわたる所蔵品のなかでも、発掘調査や富豪からの寄贈によって築いた質の高いエジプト・コレクションは同館の中核をなしています。これまで、日本では、数多くのエジプト展が開催されてきましたが、同館が所蔵するエジプト・コレクションをまとまった形で紹介される機会がありませんでした。ついに今年、「女王と女神」をテーマに厳選された約200点の至宝が来日、全点が日本初公開となります!!

ひざまずくハトシェプスト女王

古代エジプトでは、男性神と並んで多くの女性神が篤い信仰を集めました。また女性ファラオ・ハトシェプストを筆頭に、歴史上において大きな権力を手にした女性の存在が度々見られます。本展では、“女性”をキーワードの中心に据え、古代エジプトの芸術文化を紹介します。最大の見どころは約3500年前に君臨したハトシェプスト女王ゆかりの品々。男性の役割だったファラオ(王)の伝統に沿って頭巾やつけひげをまとった「男装の女王」の実像を、自身が建てた巨大葬祭殿からの出土品などでひもといていきます。

ネフェルタリ、ティイなどの王妃や王族の女性の身近にあったとされる優品も紹介。王女の頭のかたちをした、ミイラの内臓を保存するためのカノポス容器、金や色とりどりのガラスで彩られた宝飾品、愛らしいデザインをした化粧道具の数々は王室での豊かな暮らしぶりを今に伝えます。さらに美と愛を象徴するハトホルをはじめ、信仰の対象とされた女神にまつわる名品も必見。これまでのエジプト展とは一味違った視点で、いにしえの「女性」の息吹を感じることができるまたとない機会となるでしょう。

メイン画像は「2つのガゼルの頭が付いた王冠」

メトロポリタン美術館のエジプト・コレクションとは・・・

1906年、古代エジプト部門が創設され、アメリカの調査団がエジプトに派遣されました。調査団は主に、テーベとリシュトで発掘を行い、これらが最初のエジプト・コレクションとなりました。また後に、エジプトで発掘を行ったセオドア・デービスやカーナボン卿などからも多数の寄贈を受け、世界に誇るエジプト・コレクションが完成しました。

美術館の目玉である、サックラーホールに展示されているデンドゥール神殿は、アスワンハイダム工事により水没の危機にあったヌビア遺跡を救うため、アメリカが行った援助に感謝してエジプト政府から寄贈されたもの。同館では、デンドゥール神殿を復元・設置するためにガラス張りの吹き抜けの大展示ホールを増設しました。

Images © The Metropolitan Museum of Art.

Event Information

メトロポリタン美術館 古代エジプト展 ― 女王と女神
2014.07.19(土)~09.23(火・祝)@東京都美術館
2014.10.13(月・祝)~2015.01.12(月・祝)@神戸市立博物館