©Louis Vuitton / Jérémie Souteyrat Courtesy of Espace Louis Vuitton Tokyo

昨年1月にオープンしたルイ・ヴィトンのアートスペース、エスパス ルイ・ヴィトン東京。第7回目として開催されるエキシビション<Monuments of Traffic>展では、ドイツ人アーティスト、トーマス・バイルレを迎える。

1960年代のメディアアート、ポップアートのパイオニアとして名高いバイルレは、自身のキュレーションを通じて会場をミニマルでありながらどこかユーモラスな空間を作り上げた。本展示でのバイルレの目的は、都会の雑踏と喧騒の中で、あえて密閉されたミニマルなインスタレーションを創り出すことだった。それは、エスパス ルイ・ヴィトン東京の「ガラスの箱」を、ある種のユーモアを維持しつつ、神秘的な空間へと変化させることなどに表現されている。

陰鬱なテーマをユーモラスに表現。トーマス・バイルレの展覧会がエスパス ルイ・ヴィトン東京にて開催。 art130517_espace_1-1

陰鬱なテーマをユーモラスに表現。トーマス・バイルレの展覧会がエスパス ルイ・ヴィトン東京にて開催。 art130517_espace_3-1

また、展示会場の中央に置かれているのは、本展のための新作『Conducteur(指揮者)』である。スチールの支柱にはこの作品の為に制作されたワイパーが設置してあり、そのアームはリズミカルに動き、まるで本展全体を指揮する指揮者のように見える。そして2012年、世界最大の現代美術展のひとつ<ドクメンタ(13)>でインパクトを与えた巨大作品『Carmageddon(カーマゲドン)』の一部がその前に広がる。

本展示でバイルレはそれぞれの作品を通じて、連続性、動作、音、リズムの対話を生み出すことにより、彼の作品にとってマシーンと自然の関係性がいかに大切であるかを表現している。そして、交通量の増量による自然破壊や事故といった一見陰鬱なテーマを扱いながらも、それらをどこかユーモラスに表現しているのもバイルレの作風の特徴であると言える。エスパス ルイ・ヴィトン東京の空間で織りなされたトーマス・バイルレの世界は、生きていく上でポジティブな考え方へのヒントをくれそうだ。ぜひこの展覧会に足を運んでみてほしい。

Event Information

Monuments of Traffic
2013.05.18(土)~09.01(日)@エスパス ルイ・ヴィトン東京
12:00 – 20:00(無休)
入場無料
東京都渋谷区神宮前5-7-5 ルイ・ヴィトン 表参道ビル 7 階
03-5766-1094