昨今のコロナ禍中、おうちにいる時間が増えたという方も多いことだろう。

これほどまで多く、そして唐突におうちにいる時間が増えてしまうと、余暇をどう過ごしたらいいのかわからない。なかには、家でヒマを持て余してしまっている方もいらっしゃるはずだ。

かくいうQetic編集部も、おうちで何をしたらいいんだろう、なんて思いにふけりながらNetflixで配信中の映画やドラマなんかを観ていたところ、こんな考えがふと頭をよぎった。「アーティストの人たちってこの作品を観て、どんなことを考えているんだろう?

ということで、Qeticではこの度、Netflixで現在配信中の映画やドラマ、ドキュメンタリーなどの映像作品の中から、アーティストの方々にひとつの作品を選んでいただき、その作品に対してどんな思いや感情を抱いているのかを赤裸々に語っていただいた。彼らの意見を聞いた上で作品を観れば、きっと思いを共有できるはず!

第5弾となる今回は、Ovallのギタリスト関口シンゴが語る『ベター・コール・ソウル』。

関口シンゴ(Ovall)-『ベター・コール・ソウル』

あの破壊的なまでの伝説的名作「ブレイキング・バッド」に登場する弁護士ソウル・グッドマンを主軸にしたスピンオフ作品。
とんでもなく濃いキャラクターがひしめき合う「ブレイキング・バッド」の登場人物の中でも、ひときわ”気になる”オーラを放ち続けたソウル。
完全に道徳を踏み外した犯罪弁護士なのにも関わらず、どこか人間味というか人なつっこさがにじみ出てしまっていて、それが人間の複雑さやおかしみをあぶり出しているような気がしていた。

本作品はそんなソウルの若き日(「ブレイキング・バッド」に至る数年間)を描いている。
まあ観ていて毎度まいど「ああ、そんなことしちゃだめだって」「うわ、それはまずいだろ」と思わず目をふさいでしまうほど、問題にぶち当たるごとに道徳からはみ出していくソウルの姿が滑稽なのだ。
それなのに気がついたらソウルを応援してしまっている自分がいることに気づく。
この先、彼がずる賢い悪徳弁護士になっていくことはわかっているのに。(しかも時折挿入される、更に何年後かのシーンで見られる年老いたソウルの姿に、彼の未来が明るくないことが想像される)
兄との確執やパートナーとの微妙な恋模様から映し出されるソウルの根底にある優しさを垣間見てしまうと、うん、やっぱり嫌いになれないんだよなぁ。
そのあたりの人物の描き方、人間ドラマの見せ方が改めてものすごい。

「ブレイキング・バッド」に登場した他のキャラクターの前日譚からも目が離せない。一人ひとりの人物描写が深く、どのようにして彼らの運命が決まっていったかの物語から目が離せない。そして散りばめられた伏線の数々が話が進むにつれてどんどん絡み合ってくる。これ本当にどうやって脚本書いているんだか。
ついに次のシーズン6で完結するといわれているので、これを機にアルバカーキの世界に浸ってみてはいかがだろうか。

ベター・コール・ソウル 予告編 – Netflix

Netflix『ベター・コール・ソウル』

INFORMATION

関口シンゴ

アーティストの視点から観るNetflixの映画・ドラマ・ドキュメンタリー|Vol.5 関口シンゴ(Ovall)『ベター・コール・ソウル』 ac200529_netflix_shingo_sekiguchi-1440x960
ギタリスト/プロデューサー。Ovallのギタリストとして、またソロアーティストとして国内外のフェスに出演。ジャズ、ソウル、ロック、ポップスなどを独自のセンスで解釈した音作りが世界中から賞賛される。プロデューサー/ギタリストとして、あいみょん、矢野顕子、Chara、秦基博、坂本美雨、藤原さくら、さかいゆうなどのライブや作品に参加。
InstagramやYouTubeでほぼ毎日公開中の演奏動画が話題となっている。

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RELEASE INFORMATION

North Wing

アーティストの視点から観るNetflixの映画・ドラマ・ドキュメンタリー|Vol.5 関口シンゴ(Ovall)『ベター・コール・ソウル』 ac200529_netflix_shingo_sekiguchi_02-1440x1440
2020.02.07(金)
関口シンゴ
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Vol.4