寒の砌、暦の上では、大寒を越え立春へと向かっていますが、木枯しが身を刺す季節ですが、みなさまに於かれましては、ますますのご壮健のこと慶び申し上げます。

さて、今回は「春が待ち遠しい人に捧げるレシピ」を紹介します。

それは、「鰤しゃぶ」です。

鰤という魚は、春の産卵に向けて、冬場に栄養を蓄え晩冬の今が旬です。
晩冬の今に旨さのピークを迎える最後の冬の味覚である寒鰤は春を待ち受けるには、最適な食材です。

また、冬場の料理といえば、やはり鍋料理だと思います。
冬を送り、春を迎えるという意味で、鍋という調理方法を選ばせて頂きました。
重ねて、鍋納め、〆の鍋ということであまりくどくならないようにしゃぶしゃぶ鍋を選びました。

汁は、昆布と日本酒のみとシンプルにし、具は香味野菜で魚の臭みを殺しつつ、甘みを加え、タレは煎酒を使い淡麗な味付けに致しました。

春を思いつつ、出汁の旨味、野菜の旨味が、魚の旨味を補完し、煎酒がそれらをまとめるさまをご堪能ください。(煎酒は醤油ができる、江戸時代以前に使われていた調味料で、梅干と昆布を日本酒で煮詰めた調味料です。上品な旨味と爽やかな酸味が特徴です。スーパーでは見かけませんが、百貨店の食品売場で売っています。)

また、鍋料理というものは、鍋奉行という言葉があるくらい各家庭、店舗によってハウスルールがある個々の個性が重要な料理です。◯◯を△△グラム、××分加熱するなんてレシピはそれぞれの鍋の個性を殺す野暮ったいものでしかありません。そこで、「〇〇へ捧げるレシピ」では、大まかな流れを説明するのみで、読者のみなさまが、アレンジを加えやすいように致しました。

下記にレシピをまとめさせて頂きましたので、ご参照下さい。

春が待ち遠しい人に捧げるレシピ:鰤しゃぶ

「鰤しゃぶ」 - 春が待ち遠しい人に捧げるレシピ column150122_okamura_main

材料
出汁昆布…一枚
水…1l
日本酒…30cc
生姜…1切
鰤…300g
香味野菜…適量
今回は、長葱、紫蘇、セロリ、大根、水菜を使いましたがみなさまのお好みの野菜をお使い下さい。
煎酒…適量

作り方
①出汁昆布を一晩、1lの水に付けます。
②①に、生姜、日本酒を加え、煮立つ直前で火を止めます。
③鰤を刺身にし、野菜を食べやすい様に包丁を入れます。
④①をガスコンロなどで沸騰しない程度に加熱しつつ、③を浸し加減の良きところで、煎り酒に付けて食べます。

タレは煎酒にこだわらず、ポン酢などでも美味しく頂けます。

「鰤しゃぶ」 - 春が待ち遠しい人に捧げるレシピ column150122_okamura_1

岡村飛龍
「鰤しゃぶ」 - 春が待ち遠しい人に捧げるレシピ column_recipe_okamura-in01