パーティーのディレクション、展示会プロデュース、現場スタッフのキャスティングからアーティストブッキングまで、期間も予算も内容も全く違う案件がゼロの状態で次から次へとやってくる。それを的確に素早く対応しなければならない。常にプレッシャーと責任とが隣り合わせにある立場だ。
メディアで伝えられるのはパーティーの本番わずか2~3時間。どんな著名人が来て、何人の来場者が来たのか? そこが重要視されるし、PRに求められる仕事もそこだ。でも彼らは、大掛かりなものであれば何ヶ月も前から仕込み準備に入り、試行策後の上、本番直前ギリギリまで作り込む、本番中に前に出ることはほとんどない。そして、パーティーが終わったら誰もいなくなった会場で黙々とバラし作業を行う。あとに残らないものを日々作り続ける人々。そもそもパーティーとは一体誰のためにあるのか。
「僕は会社に属していて、会社として仕事を請負う以上、自分の判断で“それは出来ません”とは言えないわけですよね。“イヤ、それ知らないです。”は絶対に通用しない。だからどんな案件で、どんな条件を投げられてもオールマイティーに対応出来る知識とアンテナは常に張っているように心掛けています。主役はクライアントであって、自分ではない。だから、クライアントが理想としているプランニングやキャスティングを相手側に立って考えるようにしています。例えば、先日の渋谷PARCOで行われたsophilaとEDDY GRACEのローンチでは、感度の高い女性へ向けたブランドだから空間デザイナーは誰々さんにお願いするのが適任だなとかBAYFLOWの時もDJが必要だったので、ショップのコンセプトである西海岸のイメージに合うDJと、来場者はファッション関係者が多いからその人達に喜ばれるようなブッキングをしました。もし自分が主役になってしまったらエゴの固まりでしかなくなってしまうし、自己満足な世界で終わってしまうと思うんですね。」