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「ベルリンと東京」、「雑誌の存在意義」という2つのテーマに基づき、90分に及ぶ長いようで短い時間の中で語った内容を要約してお伝えしたいと思う。

遅刻ばかり、出席日数はギリギリ、文化服装学院に在籍中、私は決して良い生徒ではなかった。しかしながら、今となってはシンボル的存在だった円形校舎はなくなり、大企業の自社ビルの様な立派な校舎に生まれ変わったが、新宿のあの場所に通った2年間は、人生の中で代え難い宝物となり、今の自分に大きく影響したのは確かだ。そこで出会った人たち、そこで経験したこと、様々なことを思い出しながら、この原稿を書いている。

一時帰国中、以前から話をもらっていた特別講義を今回ゲストをお招きして対談という形で実施させてもらった。お相手は、長年モノ雑誌に携わり、最近ではGoodsPress編集長からメディアプロデューサーという立場に移り、いくつもの媒体を兼任している長谷部 敦氏をお迎えした。毎年<フジロック>でトークショーを行うほど音楽にも精通している。

実は、「GoodsPress」のドイツ特集でベルリンページを担当させてもらうまで仕事の絡みはなく、レセプションパーティーで挨拶をさせてもらったぐらいの面識だった。しかし、Facebookを通じて、長谷部さんの正統派な感性とエッジの効いた感覚にとても興味を持っていた。便利な世の中の代表株であるSNSはいろんな人のいろんなことを教えてくれる。何より多忙極まりない中、丁寧で人柄の分かるメッセージをくれるところなど見習うべきことも多く、本音を言えば、お酒でも飲みながらじっくり話がしてみたい人である。

私たちの対談を聴いてくれた学生は、20歳前後の流通ビジネス科とグローバルビジネスデザイン科の皆さんである。帰国子女も多く、将来、プレスやマーチャンダイザーを目指していたり、起業を考えている人までといるという頼もしいクラスだった。

「ベルリンと東京」、「雑誌の存在意義」という2つのテーマに基づき、90分に及ぶ長いようで短い時間の中で語った内容を要約してお伝えしたいと思う。

【スペシャル対談!!】文化服装学院でベルリン、東京、メディアについて語る fes

Berlin Festival 2015

Interview:長谷部 敦 × 宮沢香奈

長谷部「ミュンヘンに行った時に、駅の売店とかで売っている爪切りとかまで全部“Made in Germany”で、そのクオリティーの高さに驚いたよね。僕、おみやげに爪切りばっかり買ってきましたから(笑)。」

長谷部 敦(以下、長谷部) ベルリンに関して言えば、僕は個人的にもすごく聞きたいことが沢山ありますよ。一般的にも“ベルリンおもしろいよね”って良く聞くし、NYにいたDJが最近ベルリンに移ったりとかもしてるけど、今でも昔のように新しいカルチャーが生まれているという実感ってあるんですか?

宮沢香奈(以下、宮沢) “次はベルリン”、“アップカミング”と言われ続けて一体何年経ったんだよ!? って感じはしますが、着実に街は変化していますよね。人口も増えて、古い建物が壊されて、近代的なビルがどんどん出来ています。ただ、東京みたいに新しいお店が出来て、3、4ヶ月でなくなってしまうということはあまりないですね。新しいカルチャーが生まれたと言われる壁崩壊からまだ25年しか経ってないから、その当時に生まれたカルチャーが浸透して、変化もあって現在に至ると言った感じでしょうか。

長谷部 なるほど。僕は東京に40年以上住んでいて、この街はだんだんと沈んできてる街だと思えてしまうのですが、宮沢さんは東京からベルリンに行ったじゃないですか?何か可能性を感じたんですか?

宮沢 やはり沈んでしまうんでしょうか……。ベルリンに関してはやっぱり感じましたね。それがなかったら人生の半分以上を過ごした東京生活をやめてまで行こうとは思わないですからね(笑)。

長谷部 それはそうですよね(笑)。でも実際に行ってどうですか? ドイツ人と日本人って合うイメージはありますけどね。

宮沢 仕事で関わっていたレーベルやパーティーもベルリンのアーティストが多かったし、ライフスタイルにも影響されまくってるのに一度も行ったことないっていうのはどうなんだろう? と思って行ったのがきっかけだったんですけど音楽やクラブだけじゃなくて、街全体に惚れ込んでしまったんですよね。退廃的な建物の壁にはグラフィティーだらけ、いちげんさんお断りな雰囲気のレコードショップもカッコよかったし、独特の雰囲気を持ってる街にゾクゾクしました。

ファッションウィークに関しては、メルセデスベンツをスポンサーに年に2回きちんと開催されていて、歴史もありますが、正直あんまり盛り上がってはないですけどね(笑)。

長谷部 そうなんですか(笑)? ファッションに関してはそうなのかもしれませんね。あんまり聞かないし。でも、プロダクトはすごいですよね?僕が最初にドイツに行ったのはミュンヘンで、時計の取材か何かで行ったのかな。行く前から、職人の物作りがすごくしっかりしているってことは知っていたけど、駅にあるような売店で売ってる爪切りとかヤスリとかまで全部“Made in Germany”でクオリティーも高くて、すごく驚いたのを覚えていますね。おみやげに爪切りばっかりいっぱい買ってきましたから(笑)。

宮沢 爪切りですか?? 気にして見たことないかも(笑)。

長谷部 日本の場合、そういうところで売ってるものって、ほとんど中国製の安いものになっちゃってるじゃないですか? でも、ドイツはそういうところもちゃんと国内で作って、ちゃんと消費してるんだなってすごく感心したんですよね。

宮沢 なるほど。確かにプロダクトの評価は高いですよね。自信も持っていると思います。でも私の場合、入りが音楽でベルリンなので、他のドイツの都市に全く詳しくないんですよね。正直なところ他の都市にはあまり興味がないんですよ(笑)。そういった意味でもベルリンは特別な街だと思っています。

長谷部 僕もテクノが好きだからドイツに行った時にテクノを味わえるかなと思ってたんですけど、そんな雰囲気全くなかったですね。あれはベルリンだけのものかあと思いました(笑)。

宮沢 確かに(笑)。もちろん他の都市にも有名レーベルやクラブ、レコードショップはありますけど。

長谷部 何かベルリンって昔のNYのSOHOみたいなイメージですね。ゲットーで何もなかった場所に貧しいアーティストとかが集まって行って、新しいものが生まれていった。何もないからこそ何でも出来たと思うんですよね。日本というか、東京にはそこまで変化した場所はないけど、でもいわゆる“裏原”と呼ばれていたところは商業地域としては何もなくて、そこにインディペンデントな店が徐々に出来ていってあの形になったわけですから。かつての中目黒あたりにも通じるところはありますよね。東京は昔に比べておもしろくなくなったってみんな言いますが、それって、東京だけに限らず、NYでもパリでもロンドンでも同じだと思うんですよ。先進国全般的に同じ状況になっちゃってますよね。

宮沢 そうですね。そういった意味でもベルリンはまだまだ発展途上な部分があって、おもしろいと感じるんだと思います。

長谷部 ベルリン行ってみたいなー。

【スペシャル対談!!】文化服装学院でベルリン、東京、メディアについて語る URBAN-SPREE

URBAN SPREE

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宮沢香奈(Kana Miyazawa)

宮沢香奈(Kana Miyazawa)

フリーランスライター/コラムニスト

長野県生まれ。文化服装学院ファッションビジネス科卒業。 セレクトショップのプレス、ブランドディレクターを経たのち、フリーランスとしてPR事業をスタートさせる。ファッションと音楽の二本を柱に独自のスタイルで実績を積む。2012年頃からライターとして本格的に執筆活動を開始し、ヨーロッパのフェスやローカルカルチャーを取材するなど活動の幅を海外へと広げる。2014年に東京からベルリンへと活動拠点を移す。現在、Qetic,VOGUE,繊研,men's FUDGEなどで連載を持ち、多くのファッション誌やカルチャー誌に寄稿している。また、国内外のカルチャー情報&体験を提供するアクティビティーコマースBANANAにて、現地ガイドを担う。

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