Sayuri 私は大阪ですけど、東京への憧れはめちゃくちゃありましたよ。23、4歳ぐらいで東京に出たんですけど、その当時は海外移住なんて考えてなかったし、全信頼を日本に置いていたから、その中心である東京には絶対に行きたいと思ってました。でも、移住して数ヶ月で3.11が起きて、すべてがガラガラと崩れてしまったんですよね。本当にここでいいのか? って疑問と、しっかりしなきゃ! って思ったんです。それで、このままここに居続けたら日本語の新聞しか読めないし、外のリアルな情報を知ることが出来ないって思ったんですよね。
Kana それすごく分かります。私なんて、19年間東京にいましたからね! 3.11が起きるまではそこが全てでしたよね。それまでにも海外には何度も行っていたし、興味もあったけど、移住を考え始めたのはやはりそれ以降でした。では、Sayuriちゃんはそこから英会話を始めたんですか?
Sayuri 半年間だけ英会話教室に通ってたんですけど、そこの英会話教室って授業を録音してよかったんですよ。それで、最後の録音が残ってたので久しぶりに聞いたら、“あんたよくそれで卒業できたね?? ”ってぐらい何も出来てなかったんです(笑)。ただ、高い授業料払ってシャイな部分だけはなくなってたから、スクールを辞めた後も先生とプライベートで会ってもらったりして、少しマシにしてからこっちに来ました。
Kana 私も英会話教室やマンツー英会話やってたことありますが、それでちょっとは分かってる気になって、いざこっちに来たら全然聞き取れないし、話せなくて、何やってたんだ?? って猛烈反省しましたよね。もちろんここはドイツなので英語がネイティブではないですが、まず最初にコミュニケーション取るために必要な言語ですよね。二人はドイツ語は?
Sayuri 実は今、語学学校行ってるんですけど、とにかく難しいです! でも、長く住むには必要かなと思って頑張っています。
Yukiko もう5年ぐらいいるとドイツ語が出来ないと深い話が出来ないなっていうのは思ってきましたね。ただ、ドイツ語って順番が難しいんですよ! 聞き取れるけど、正しい順番で返せない。でも、出来たら仕事も友達も幅が広がると思うので、今年は頑張ります。
Kana でも撮影とかになると外国人スタッフも多いからほとんど英語ですよね?
Sayuri 撮影はもうみんな英語ですね。でも、現場でドイツ人同士がパパッと話してる会話を聞き取れるかそうでないかでは全然違うと思うんです。細かく求められてることが分かったらもっと良いなと思いますね。言語を学んでると言語だけぢゃなくてその国の考え方や文化に触れられてる気がして、それがおもしろいです。
Kana 言語を学ぶ=住んでる国の歴史とか文化に触れられるというのはステキですね。今日は限られた時間の中でいろんなことを聞きたいんですが、Sayuriちゃんは夏季限定のカフェもやってますよね?? ものすごい手広いなと驚いたんですが。
Sayuri もともと料理は好きだったんですが、そのカフェ「Café zum Löwen」も自分の店ではなく、友人シェフのあゆみさんのお手伝いをしているんです。しかもベルリンではなく、ブランデンブルグで、ここからだと電車で1時間、最寄り駅から自転車で50分のところにあって、あ、ベルリンからだったら自転車で6時間です。
Kana 自転車では絶対に行かないから大丈夫です(笑)。始めたきっかけは何だったんですか?
Sayuri 最初は現地で映画のフェスがあって、50人分のケータリングを頼まれていて、それの手伝いに行ったのがきっかけですね。そのフェスを主催していた映画監督の夫婦が土地を持っていて、昔駅だった場所をリノベーションして映画フェスの会場になってたんですけど、そこから12kmぐらい離れたところにそのフェスを主催していた映画監督が家とものすごく広い庭を購入していて、それで“キミたちカフェやらない?”って話を持ちかけられたのがきっかけです。
Kana すごい!! カフェやりたいって言ったんじゃないんですね。ベルリンドリーム!! ブランデンブルグは有機栽培でも有名な場所が多いし、すごく興味があります。今年の夏こそ取材に行かせてください! Yukikoちゃんは、これはやっていきたいっていう今後の展望とかありますか? ロンドン、パリも視野に入れていきたいって言っていましたが?
Yukiko そうですね。今年は絶対にロンドン、パリへ行きます。
Kana 私も今ロンドンが気になってますね、個人的に。ファッションウィークとかだけでなく、音楽とかアートとかカルチャー全般において。EU離脱という混沌とした時期にあえて行きたいです。ポンドも安いし。
Yukiko 私は日本とヨーロッパを繋げるパイプ役になりたいんですよね。ベルリンにはオリジナリティの溢れるおもしろいアーティストやデザイナーたちがいます。空間と時間があって、干渉されない街なので、自由に制作は出来るんですが、上手くビジネスまで持っていけてない場合が多いんですよね。アーティスト自体は多いからお互い助け合ったり、コラボレートする環境には恵まれているんです。でもそこからセールスに繋げられる人、才能のある人を引っこ抜いてくれる人がいない。それが原因で、活動を停止する人たちも実際見てきました。それってすごくもったいないと思ったんですよね。だから、何とかこの状況を変えたいと思ったんです。これは「Sameheads」での3年間があってこそ気付けたことです。実際に一部Sameheadsデザイナーを取り扱って頂いている大阪「excube」をはじめ、ラフォーレ原宿やDog原宿で「Sameheads」のPOPUPをオーガナイズしたのはそういった背景からなんです。
参考リンク
Kana 実際やってみてどうですか?
Yukiko ベルリンより全然反応が良いです。その場でデザイナーへのアドバイスとかもらえることも嬉しいですし。例えば袖を長めにしたほうがいい、アームホールをもう少し広げて欲しいとか。コマーシャルになり過ぎるのは良くないけど、デザイナーにはどういうものが求められているのかリアルなフィードバックを伝えたいですし、見て頂く方にはブランドやアーティストのことを知ってもらうと同時に、実際手に取って購入してもらうことが大事だと思うんです。あとは訪れた人達がベルリンに興味を持つ良いきっかけになれば尚嬉しいですね。
Kana ベルリン発のものを日本に広げていきたいってことですか? 常にアンテナを張ってるし、ファッションだけに限らずアートとか音楽とかいろんなジャンルで先見性を持ってると思うんですよね。
Yukiko どっちもですね。サブカルチャーが好きなので、日本・ベルリン関係なくおもしろい部分はどんどん繋げていきたいです。アーティストの間に自分が入ることで、単発で終わってしまうんではなく、そこからそれぞれ発展していって欲しいんですよね。自分が関わった取材やアテンド、ポップアップをきっかけに、アーティスト達が次のステップへ進んでいってもらえることが何より嬉しいです。何でベルリンでファッションなんてやってるの? って日本の方に言われることが多いんですけど、特に8~10年前頃のベルリンファッションウィークを訪れている人達、ロンドンやパリをメインに回っている方から言われます。昔はおもしろかったけど今は前ほどおもしろくないから難しいよねって。でも、私的には街は変わってきたかもしれないけど、実際まだまだおもしろい人たちはいますし、新しいカルチャーは生み出されていると感じています。