Yukiko それすごい分かります! 私もSayuriさんと同じ状況で2、3人しか知らなかったんです。だから、最初の年はこれでもかって程どこでも顔出してました。行く度に知り合いも増えていくし、知り合いになった人から紹介してもらえるからまたそこから友達の輪が広がっていくんですよね。

Kana まず、友達が全然いない国に住もうと思う勇気がすごいし、オープニングパーティーで友達を作るっていう感覚は初めて知りました!

Yukiko でも、この感覚がすごく楽しくなかったですか??

Sayuri 楽しかった!!

Yukiko 5年前ってまだベルリンに今ほど日本人がいなかったから、興味を持ってもらえることが多かったし、話がスムーズに進んだんですよね。あと、マルチな人が多かったからそれがおもしろかったですね。モデルをやりつつ、イラストレーターをやってたりとか。一つの仕事に縛られずにいろんな肩書きを持ってるフリーランスのクリエイターやアーティストが多くて、そういう人たちとの出会いが楽しくて、良い意味でアドレナリンが出る街だと思ったんですよ。

Kana 確かに、肩書きをいっぱい持ってる人多いですよね。その背景には一つの肩書きだけだと生活が成り立たないからっていう現実もあると思いますが、自分がやりたいことを自由にやれる環境ではありますよね。Yukikoちゃんは今でこそ一緒に撮影や取材の仕事をやってるけど、その前まではずっとファッション畑で、自分のアパレルレーベルをやりながら「Sameheads」で働いてましたよね? 

Yukiko そうですね。Sameheadsは3年間ショップスタッフとして、デザイナーやアーティストを発掘したり、イベントをオーガナイズしていました。自分のレーベル〈MAGPIE〉やたまにスタイリストとしての活動も続けています。実は私、去年肩書き迷子になってたんですよ(笑)。今でこそ、PR、ライター、コーディネーターをメインでやっていこうって決意が出来たんですけど、それまでいろんなことをやり過ぎて、どれか一つに絞るべきか、はたまた全部続けるべきか迷ってて。

MAGPIE 2016_2
Photography by Maansi Jain
Model by Louis Labron-Johnson
Make-up by Maria Boman
Set design by yuk maan

Kana 何でも器用にやれちゃうイメージありますからね。それだからこそ余計に迷ってしまうのかも? コーディネーターとかアテンドの仕事は前からやってましたよね?

Yukiko はい。でも、最初はボランティアだったんですよ。友達が来たら連れ回したいタイプなので、いろいろ知り合いをアテンドしてるうちに、大阪から来たデザイナーさんに“これを仕事に出来るよ”って言われたんです。友達までならいいけど、第三者が介入してきた時に、これをちゃんと仕事にしないといけないなと思ったんですよね。そんな時にちょうどKanaさんがFacebookでアシスタントを募集してるのも見て、これだ! と思ってすぐに連絡しました(笑)。

Kana あ、そのタイミングだったんだ! (笑)。私的にはYukikoちゃんはベルリンでファッションを長くやってる人ってイメージで、パーティーとかでもいつもスナップ撮られてる『FRUiTS』とか『STREET』に出てるようなアヴァンギャルドファッション女子のイメージでした。だから、最初連絡もらった時は、“え、アシスタントでの良いの??”ってすごいビックリしましたね。歳もこんなに若いって知らなかったし(笑)。

Sayuri 確かにユキちゃんみたいなファッションの日本人っていなかったかも。撮影とか取材の仕事に関して言えば、5年前ってもっと難しかったですよね? ベルリンへの取材自体が少なかったと思います。

Kana ああ、確かに。雑誌で“ベルリン特集”とかほとんどなかったですよね(笑)。

Yukiko でも、個人的に5年前の方がショップはおもしろかったと思います。ミッテに“UNI+FORM”とか“Superficial”っていうセレクトショップがあったんですけど、そこに出入りしていた人たちとかめちゃくちゃカッコよかったんですよ! 地価が高騰したせいで事実上閉店しちゃったんですけど。ベルリンが日本で注目されるようになったのってここ5年ぐらいだと思いますが、同時にエッジの効いたショップとか人が少なくなっちゃったんですよね。日本でも当時は、今よりも派手や個性が評価されて、自己表現するということをもっと身近に感じていました。

Kana ベルリン自体シンプル路線いってますからね。北欧系ブランドが相変わらず人気だし、ヨーロッパならではのシンプルというか、トレンドに関係なく全体的に地味だなあと思ってしまいます。
話は変わりますが、コミュニケーション取る上で絶対に不可欠な語学はどうやって学んだんですか?

Yukiko ほぼ独学ですね。中学の時から英語に興味がありました。あと、洋楽が好きだったり、大学やライブで出会った外国人の友達と英語で話したくて勉強してました。スクールに行ってやるというよりは自分で進めていく方がペースが掴めてやりやすいんです。 

Kana 日本にいながら独学ってすごいモチベーションですね、それって。前から聞こうと思ってたんですが、なんでそんなにしっかりしてるの?? (笑)。

ベルリンで生きる女性たち Part.3 DSC7316-700x467
山根裕紀子 / Yukiko Yamane

Yukiko (笑)。しっかりしないといけなかったんですよー! 女の子一人で海外に住むなんて、しかも、22歳単身でベルリンですよ。私、地元が広島の田舎なんですけど、行きたいライブも遠くて全然行けなかったり。だから大学進学をきっかけに地元を離れた途端、スポンジのように新しい情報をなんでも吸収しちゃってたんですよね。スポンジ時期の第一次が大阪で、第二次がベルリンです。大学時代、東京にも定期的にライブや展示を見に行ったり、ショップを回ったりしていました。特に高円寺は大好きで、正直ベルリンもちょっと高円寺っぽいと思うんです。東京も好きなのですが、東京で生活するというよりは、海外への関心が圧倒的に強かったですね。

Kana なるほど。スポンジ女子的には東京より海外を選んだんですね。私も長野の田舎が地元なので都会への憧れはものすごかったですが、やはりそれが東京でしたね。