Kana ベルリンのファッションシーンは今後発展していくと思いますか? 私は正直まだ分からないんですよね。今もまだその流れがあるけど、身近なクリエイターとかアーティストがこぞっていなくなった時は、ああ、大丈夫なのかなって正直心配になりました。

Yukiko 移民も増え、今までこの街に無縁だったトレンドも浸透してきたので、徐々にファッションもカルチャーも他の都市と同化している傾向にあると思います。その分、アイコン的な存在は際立っていると思うんですよ。例えばマガジンでいえば『032c』はすごい勢いあるし、やってることもワールドワイドですよね。ファッションエディターのMarcをはじめ、『032c』周辺はオリジナリティのあるアイコン的な存在が集まっています。あとはロンドンやNYからベルリンに拠点を移したけど、実際に入る仕事は他の都市だから普段あまりベルリンにいないクリエイター達も多いなーとは思います(笑)。

Yukiko’s work

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032c『men’s FUDGE』
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KATE FRIENDインタビュー『Them magazine』

Sayuri ベルリンってとにかく独特ですよね。もう“生きてゆくリアル”みたいな。でも可能性は見えますね。むしろ、可能性しかないと思ってます。今は他の都市と似てきている傾向にあるけど、好きなことをやらせてくれる雰囲気がまだまだありますよね。ここに根付いて、一から積み上げてきたものってあるじゃないですか? そうゆうインディペンデントなものが多くておもしろいと思います。

Yukiko ああ、分かります。そうゆう背景を知った時にすごいアドレナリンが出ます!

Sayuri そうそう。お金がどうこうではなく、例えばここのヴィーガンドーナツみたいに、“他にないから自分たちがやろうよ”っていう気持ちとか、他の街よりたくさん見れる気がするんですよね。

Kana 二人ともベルリンが本当に好きなんですね。話を聞いていてよく伝わってきました。逆にツラかったこととかないですか? 海外暮らしならではの大変さとかあったと思うんですけど?

Yukiko うーん……まず、ホームシックにもならないし、みんな冬が嫌いっていうけど、私は夏の方が苦手です(笑)。

Sayuri & Kana えー、なんでなんで?? 夏最高じゃん!!

Yukiko 夏になると人がアホほど増えるじゃないですか? もともと暑いとこが苦手なので、そこに人が増えちゃうともう……(笑)。えっと、辛かったことですよねー? うーん……ちょっと宿題にさせてもらってもいいですか?

Kana いや、ないなら無理して言わなくて大丈夫です(笑)。

Sayuri 私とかかなり何も持たずに来た感あったけど、こっちに来てみたら、“あ、みんなも持ってないし、いっかー”ってなりましたね。

Yukiko & Kana (爆笑)。

Sayuri あと、寒いのとか暗いのとかキライで鬱ぎ込んじゃうなら帰れば? って思っちゃうんですよね。

Kana 私も来たばかりの時に、冬は鬱になるって言われて、それが全然分かんなくて、え、なんで? って。逆に夏は最高過ぎて仕事したくないし、冬の方がはかどりますよね? (笑)。では、二人とも辛かったことはなし! ということで。珍しいですね(笑)。

Sayuri あ、でも、自分の意見を言うことに慣れてなかったから、それはすごく必要だと思いました。何も意見を言わないってことはその場にいないのも同然ってことなんですよ。日本独特の文化だと思うのが、“へえー”の一言で通過できることって多いと思うんです。でもこっちに“へえー”の文化はないんですよね。だから、撮影現場とか特にそうですけど、意見を言えなくて、あ、今、私の存在残らなかったなって感じたことがありました。

Kana 海外で仕事するならではの良いアドバイスですね! ベルリンはまだまだ人気でこれからも日本人が増えていくと思いますが、ワーホリとか移住したいと思ってる人たちに他にも何かアドバイスがあったら教えてください。

Yukiko もう基本ですけど、やっぱり英語は勉強してきた方がいいですよね。言葉でつまづいちゃうと、目的を果たせないまま1年で去ることになってしまったり、それってとてももったいないなと思います。あとは、とにかくいろんな人に会って欲しいですね。国もジャンルも違う人に。ベルリンは人の入れ替わりが激しく、出会いの多い街です。ただいろんな人がいるので、その人がどんな人かは自分で見極めてもらって。さっきの話じゃないんですけど、パーティーに行きまくるとか、知り合いがいない状態でこの街に来て、何かを得たいんだったら、とにかくアンテナ張らないとダメだと思いますね。若い子には特にやって欲しいと思います。

Sayuri あと、自己アピールは出来た方が良いですよね。日本人って自分がやってることを恥ずかしがって言わない人多くないですか? 例えば、本当は絵を描いてるけど、それでは食べていけてないからバイトしてて、それを隠す人が多い気がします。

Kana え、“自分が何者です。”って自己紹介するのって、日本人とか関係なく常識的なことではないんですか??

Sayuri サロンで働いていた時も、2、3回髪を切るようになってから、“実は絵を描いていて”とか“作家で”とかカミングアウトされることが多かったんです。お金を稼いでない=プロだと思ってないから言わないんですよね。こっちだったら、そんなことは関係なく本気でやってることだったらみんな自信持って言うじゃないですか?

Kana あ、日本での話ですね……うーん、趣味レベルでも言ってしまうからなー……趣味が仕事になることだってあるし、何がチャンスになるか分からないから、やっぱり自己アピールは必要ですね。

Sayuri あと、これはアドバイスとかではないんですが、ベルリンへ来て思ったのが、自分がゼロになれるってことがとにかく嬉しかったですね。もう裸でモデルとかできるんじゃないかって思うぐらい違う自分になれましたもん。私、仕事なかったらベルリンでホットドッグ売ってもいいなって思いましたから(笑)。

Yukiko & Kana ホットドッグ!!! (笑)。

Kana ああ、でもそれすごく分かります!! クラブに一人で行った時の楽しさと新鮮さったらなかった!! (笑)。東京だったらもうどこに行っても知り合いがいるから、誰も知らないっていう状況が楽しくて仕方なかったですね。この真逆の環境を楽しめないと海外暮らしは辛いものになってしまうかもしれないですね。

Sayuriちゃん、Yukikoちゃん、今日は貴重な時間と楽しいお話をありがとうございました!!

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Photo by Saki Hinatsu
Thanks to Brammibal’s Donuts
Instagram:@sakihina_photography

Sayuri Sakairi/坂入小百合 プロフィール:

1986年2月17日生まれ。
フリーランスのヘア&メイクアップアーティスト。8年間美容室LIMグループにて勤めたのち、2014年よりドイツのベルリンを拠点に、日本、ヨーロッパをぶんぶん往復し世界旅しながら活動している。
カフェ:Café zum Löwen
オフィシャルサイト

Yukiko Yamane/山根裕紀子 プロフィール:

ベルリンの壁が崩壊した年、広島に生まれる。2012年よりドイツ・ベルリンへ拠点を移し、PRライター&コーディネーター、アーティストとして活動中。刺激的なベルリンカルチャーにますます惹かれる中、2015年より、新たにコーディネート・ライター業をスタート。現在men’s FUDGEにて連載を持つ。ガイドには載っていないコアなエリアやローカルネタ、移り変わりが激しく混沌としたベルリンのアート・ファッションシーンを独自の視点で発信。雑誌等の取材・アテンド・通訳をはじめ、国内外のアーティスト・デザイナーとの撮影やポップアップショップのオーガナイズ、ファッションウィーク・トレードショーのアテンドなどを中心に、日本とベルリンの架け橋としてマルチに活躍中。
オフィシャルサイト
MAGPIEInstagram

日本のPRを担当しているベルリンのインディ・ポストパンクバンド Isolation Berlin
現在〈Alffo Records〉”にて国内独占入荷中。(3月末に再入荷予定。)

お問い合わせ先: info@alfforecords.net
参考リンク