久しぶりのコラムとなってしまった。言い訳にしかならないが、忙殺されているうちに相当の時間が経過してしまったわけである。年々時間の経過するスピードが加速していく、という話を聞くが、そんなわけはないはずなのに本当にそうなんじゃないかと思えてくる。人の感覚とはあてにならないものである。さて、ここから本題。『ファイナルファンタジー』というゲームをみなさんご存知だろうか。いわゆるRPG(ロールプレイングゲーム)なわけだが、僕が最初にプレイしたのは『ファイナルファンタジーⅧ』だった。小学生のときに、『ファイナルファンタジー』キャラクターのフィギュアキーホルダー(200円の高いガチャガチャ)が近所のスーパーに導入されて話題になったのだが、僕はゲームをプレイしていなかったので、何のことだかわからず、クラスの流行についていけなかった。その後、『ドラゴンクエストⅥ』を初めてのRPGとしてプレイしたわけなのだが、そこでRPGの魅力にどっぷりと浸かってしまったのである。『ドラクエⅥ』の一番最初の村で、主人公の家を出たときに流れたBGMの爽やかさというか、清涼感というか、まさに「朝!」という感じに衝撃を受けたものである。これはゲーム音楽の巨匠・すぎやまこういち先生の作曲によるものなのだが、当時小学生の僕はそんなことも知らずに夢中になってプレイしたものである。ムドーがラスボスだと思ってゲームを進めていた僕はムドーを倒した後もまだまだ冒険が続くということを知って絶望したものである。『ドラゴンクエスト』のサウンドトラックはすぎやまこういち先生、『ファイナルファンタジー』は植松伸夫先生、もちろん他にもシリーズの作品に関わられている著名な作曲家が数多くいらっしゃるのだが、やはりこの御二方がゲーム音楽界の双璧であると言っても過言ではないのではないかと個人的には思っている。サウンドトラックの作曲に興味が湧いたのも、『ファイナルファンタジーⅩ』のサウンドトラックに大きな感銘を受けたことがきっかけであった。作品冒頭のムービーで流れるピアノがとても印象的であったのだ。そのモチーフが作品全体を通して大変効果的に用いられていて、そこで繰り広げられるドラマの説得力が格段に増しているのを感じたものである。小生は大学で映画音楽を専攻していたのだが、それはこういったバックグラウンドが影響してのものであるように思う。

【Lyric, Qetic, Music】第五回「ゲーム音楽のお話」 77488

先日、池袋でイベントを終えて外に出たらものすごい人だかり。何があったのかと思いきや、ポケモンであった。何やら激アツなことになっていたらしい。プレイしたことがないので、全然状況についていけなかった。

なぜ急にゲームの話になったのかというと、この度発売された『FINAL FANTASY Record Keeper』のオリジナル・サウンドトラックで、何曲かギターを弾かせていただいたことがきっかけで当時の想いが再燃したからである。植松伸夫先生が作曲の“ビッグブリッヂの死闘”と“決戦”でギターを弾かせていただいたのだが、これはどちらも鈴木克崇氏の編曲によるものである。鈴木氏には赤マルダッシュ☆の楽曲などでもお世話になっているので、こういった形でご一緒させていただくことができて光栄な限りである。サウンドトラックの公式サイトでは楽曲試聴もできるので、ぜひチェックしてみていただきたい。使用ギターはもちろん愛器のDon Groshです(笑)。

【Lyric, Qetic, Music】第五回「ゲーム音楽のお話」 77489

とある日のレコーディング風景。これが愛器・Don Groshです。アンプはDivided by 13。一生この組み合わせでやっていける感じがします。

先日、イベントで滋賀に遠征した際に見た琵琶湖の美しさにほっこりした。サックスを練習しに来ている青年がいて、ふと昔を思い出した。家ではうるさいと言われるからここに来ているのであろう。琵琶湖のほとりが練習場所とはなんとも贅沢なものである。上達もさぞかし早いのではなかろうか。テクニック的なものより音の情感が豊かになりそうな気がする。なんだかんだで音楽において大切なことはそこなんじゃないかなあと思うようになりました。昔は速弾きばかりを追い求めていたのに。ほんと人の感覚とはあてにならないものですね(笑)。

【Lyric, Qetic, Music】第五回「ゲーム音楽のお話」 77490

とある日の琵琶湖の風景。イベントで遠征した際に撮影したもの。会場が琵琶湖のほとりでした。最高のロケーション。

「FINAL FANTASY Record Keeper」オリジナル・サウンドトラック公式サイト(※楽曲試聴あり)