【レポート】ホドロフスキーと100人座禅大会

2014.04.26(土)@龍雲寺

【特集】カルト映画界の巨匠=アレハンドロ・ホドロフスキーって一体、何者? film150519_alejandro-jodorowsky_zazen01

7月12日(土)より公開される『リアリティのダンス』のプロモーションの為、アレハンドロ・ホドロフスキー(以下:ホドロフスキー)監督が先月4月に来日を果たした。もちろん、いわゆる普通のプロモーションは一切行わず、プレミア上映会を兼ねた「人間タロット」や「DOMMUNE出演」、極めつけにはこの「100人座禅大会」なのだから、さすがはホドロフスキーだ。そして、「なぜ、座禅???」というのが正直なところ。実は、かのスティーブ・ジョブスと同様に彼は「禅」に傾倒した時期があり、メキシコで日本の禅僧の弟子となって修行を行った経験もあるというのだ。イベントが行われたのは世田谷区の閑静な住宅街に位置する龍雲寺。1000人近い応募の中から選ばれた100人と坐禅会が行われた。

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「金と欲望」というテーマのこの日の説法の最初に、ホドロフスキー監督はメキシコで師事した禅僧・高田慧穣のエピソードと共に「小鳥はなにも言いません。自然に歌っただけです。ですから私も歌います。今、私は歌っています。小鳥の自然な鳴き声こそが説法です」と説く。そして「今日の世界で神とはお金です。今、お金は私たちの科学技術が支える社会の中で生き残るためのものです。でも幸せというものは、小鳥が歌う幸せは、お金でも科学技術でもありません。そして現在は、お金も科学技術もなければ幸せもないのです。でもお金を稼ぐのは物を持つためではありません。稼いだお金は、皆さんの魂をよりよくするためのものです。ですから、生きるのに必要なだけ稼げばいいのです。それで十分なのです。そうすれば皆さんの恐れはとても少なくなると思います。そして、必要なものだけを持っているということで、期待を抱かなくても済むようになります」と続く。

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監督は続けて「もし私がお金を持っていて、あなたが持っていないのなら私も持っていないということです。私が食べているものも、分かち合わなければ、それは食べていないのと等しいのです。私が自分の中に閉じこもっていると、それは私は生きているとは言えないのです。ですから、外に向かって開かなければなりません。ひとつの名前や年齢や国籍、古くて間違った偏見に閉じ込めてしまうことは、自分たちの住む地球を破壊します」と分かちあうことの大切さを語り、最後に「私は師ではありません。もし師であれば、腕もなく、皆さんと今こうしてここにいないでしょう。達磨大師の最初の弟子は弟子入りのために自らの腕を落とし悟りを開きました。私も常に両腕両足を落としたらどうなるか考え続けています。もし頭を落としたら、私の顔は笑ったまま落ちるでしょう。私にとって禅とはそういうものです」と説法を締めくくった。

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現代社会において、なかなか日本人でも触れることができない「座禅」や「禅」。また、今回の説法のテーマであった「金と欲望」。世界的な巨匠がこうやって人々に説くことで、各々が何かを感じる素晴らしい機会になったのではないだろうか。『リアリティのダンス』は2014年7月12日(土)より、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、 渋谷アップリンクほか、全国順次公開となる。

photo by Taisuke Yamada(Qetic)

『リアリティのダンス』

2014年7月12日(土)より、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、 渋谷アップリンクほか、全国順次公開

監督・脚本:アレハンドロ・ホドロフスキー
プロデューサー:ミシェル・セドゥー
出演:ブロンティス・ホドロフスキー、パメラ・フローレス、クリストバル・ホドロフスキー、アダン・ホドロフスキー
音楽:アダン・ホドロフスキー
原作:アレハンドロ・ホドロフスキー『リアリティのダンス』(文遊社)
配給:アップリンク/パルコ
(2013 年/チリ・フランス/130 分/スペイン語/カラー/1:1.85/DCP)
(c) “LE SOLEIL FILMS” CHILE・“CAMERA ONE” FRANCE 2013

 
 
 

『ホドロフスキーのDUNE』

2014年6月14日(土)より、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷アップリンクほか、全国順次公開

監督:フランク・パヴィッチ
出演:アレハンドロ・ホドロフスキー、ミシェル・セドゥー、H.R.ギーガー、クリス・フォス、ニコラス・ウィンディング・レフン
配給:アップリンク/パルコ
(2013年/アメリカ/90分/英語・フランス語・ドイツ語・スペイン語/カラー/16:9)
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