トコピージャ
聖なる二重の正方形と悪魔

ホドロフスキー作品の特徴は、ストーリー面では宗教的な逸話の引用とその特殊な解釈によって寓話として仕立て、またヴィジュアル面ではショッキングなまでに強調された現実として呈示するところにある。過剰に感情を揺さぶる叙情詩的な側面と、冷徹に存在を描く叙事詩的な側面の両立。それは『リアリティのダンス』で描かれるトコピージャで過ごした幼少期での、鉱山事故により肉体を欠損した労働者たちや聖・俗が入り交じったゲットーの住人・動物たちとの触れ合いによって育まれた、西欧とも東洋とも異なった「第三世界」的なシュルレアリスムの視点であり、残酷性と祝祭性を帯びた剥き出しの人間・世界に対する優しいまなざしなのであろう。

【特集】カルト映画界の巨匠=アレハンドロ・ホドロフスキーって一体、何者? film150519_alejandro-jodorowsky_realty01

©photos Pascale Montandon-Jodorowsky

【特集】カルト映画界の巨匠=アレハンドロ・ホドロフスキーって一体、何者? film150519_alejandro-jodorowsky_realty03

©photos Pascale Montandon-Jodorowsky

その「超現実」的な熱量・魅力の詳細については、各々が劇場で実際に目撃し体感して頂くとして、引き続き、劇場公開に先立って来日を果たした監督との100人座禅会のレポートを通じて、人物としての魅力を感じ取って頂きたい。

text by yuta3ura

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