ルッソ監督はこう言った。「大きな衝撃に備えろ」、と。「そこには悲劇がある」、と。サノスは打ち負かすことのできない存在であり、彼に立ち向かうには大きな代償を払う事になる、と。

払い過ぎだよ、馬鹿野郎。

世界が待ちわびていた、想像を絶する展開。

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マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の記念すべき一作目、『アイアンマン』に私たちが感動したのは10年前の事だ。それから、『マイティ・ソー』、『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャーズ』と、私たちの愛するコミックのキャラクター達に命が吹き込まれて来た。

そして、『アベンジャーズ』。あのヒーローとあのヒーローが、同じスクリーン上で悪と戦っている! 最高にアツい! そんな風にファンの心を鷲掴みにして、離さなかった。

しかし、この『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』はその比ではない。どこかのヤクザ映画のキャッチコピーのように「全員ヒーロー」と言っても過言ではないほど、出演者は皆ヒーローだ。一般人といえば、一瞬うつる街を逃げ惑う人々や、ピーター・パーカーの相棒である“椅子の男”役のアイツくらい。

しかし、この映画の本当のキャッチコピーは酷な事に「アベンジャーズ、全滅」だ。

そう、我々は『アベンジャーズ』以上にこの作品にワクワクするし、本当に悲しいけれど、それ以上に、否どんなヒーロー映画よりも打ちのめされてしまうのだ。

サノスというヴィランを理解すること

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今作を観たマーベルのファンの中には、スクリーンにポップコーンとコーラをぶちまけて暴れだす人もいるかもしれない。それか、その場を竦んで動けなくなってしまうだろう(ちなみに私は後者だった)。そんな大きな衝撃をもたらすのは、今作の、そしてマーベル史上最強の敵であるサノスだ。そして、あなたはこのサノスを「紫色の喋るでかいゴリラ」以上に理解しておく必要があるだろう。

何故、サノスが虐殺を繰り返すのか。それは彼がニヒリズム(虚無主義)に倒錯しているからである。何故そんな事になったのか。それは彼の抱える辛い過去に起因する。

コミックではもともとタイタン(サノスの故郷)の人は皆、容姿が美しいという特徴があった。しかし、サノスは違った。彼は醜く産まれてしまったが故に、実の母親から生まれた事を恨まれ、殺されそうになる。そんな幼少期のトラウマを抱えて育ったサノスは、それから“死”に固執しはじめ、ニヒリズムに倒錯し、実の母親を手にかけるのだった。

しかし、そんな彼でも母の墓参りのために追放された星をこっそり訪れたりするように、しっかりと感情を持ち合わせている。今作では、幼少期にサノスに攫われて娘となったガモーラと、彼との出会いが描かれた上で、彼らの再会を目の当たりにする。そのやりとりのシーンの深みは、サノスを理解すればするほど、深く、思わず泣けてしまうのだ。

未来と希望は、そのガントレットに託された

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さて、先述の通り今作は想像以上にアツいシーンが続出する。それは予告編でもわかることだ。そして何より、皆に守るべき存在がいて、その愛する者のために戦っている事が強く描かれているため、心を動かされる。

そして、それ以上に想像を絶する展開も待ち受けている。しかし、ヒーロー映画というものは犠牲という名の悲しみ、そしてそれを打ち負かす希望で成り立ってきたのではないだろうか。

私は、信じている。必ず、ヒーローが勝つと。しかし、それと同時にヴィラン・サノスの、そのガントレットを携えた左手にも期待を寄せたいのだ。自分の目指す「無の世界」、その先にあるものに気づいた時、彼が何を想うのか。大袈裟に言うわけではないが、マーベルの世界は本当に彼の手にかかっている。

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アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー

4月27日(金)全国公開

原題:Avengers: Infinity War
監督:アンソニー・ルッソ&ジョー・ルッソ
製作:ケヴィン・ファイギ
出演:ロバート・ダウニーJr./クリス・エヴァンス/ベネディクト・カンバーバッチ/トム・ホランド 全米公開:2018年4月27日
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©2018MARVEL
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