2019年に創設60周年を迎えた音楽レーベル〈モータウン〉の正史を映し出したドキュメンタリー映画『メイキング・オブ・モータウン』が、9月18日(金)より順次全国公開となる。その公開を記念して、ギンザレコード主催によるトーク&DJイベントが9月5日(土)に開催された。イベントでは、DJ JIN(RHYMESTER)とギンザレコード代表・新川宰久が登壇。2人が本作と〈モータウン〉の魅力を余すところなく語った。
レポート:『メイキング・オブ・モータウン』公開記念イベント
━━映画について
DJ JIN 〈モータウン〉という音楽レーベルが語り尽くされている中、ベリー・ゴーディのワンマン社長というイメージがありますが、この『メイキング・オブ・モータウン』は初めてベリー・ゴーディ本人が受けたドキュメンタリーで、当時の副社長だったスモーキー・ロビンソンと一緒に答えています。独りよがりなイメージがあったんですが、この映画を観ると人間的な温かさも感じられました。
新川 僕も数年前に、〈モータウン〉を舞台化した<モータウンレビュー>を観てきたんですが、やっぱりベリー・ゴーディが自身のイメージに対しての説明的な要素はありましたね(笑)。
━━JINさんの好きなソングライター/ミュージシャンは?
DJ JIN やっぱりスモーキー・ロビンソンですね。ボブ・ディランが現代最高の詩人というだけあります。以前、ユニバーサルさんの企画で、ハマ・オカモトさんと対談したんですが、彼はベーシストなので、ジェームズ・ジェマ―ソンの一本指について話してましたね。
新川 僕も映画三回観たんですが、一本指は注目しましたね。
━━〈モータウン〉&ベリー・ゴーディについて
DJ JIN 色んなDJの方と話していると、「最終的に〈モータウン〉だけあればいい」という話になることがあるんですが、〈モータウン〉は音楽への「最高の入り口」であり「最高の最終点」とも言えるレーベルですね。とにかくアーティスト達が鍛え抜かれてて、映画の中にもありましたが本当に競争につぐ競争の中から出てきた人達。でも彼らの下には、日の目をみなかったアーティストがズラーッといると思います。本当に、〈モータウン〉はソウルを震わせる楽曲を生み出しているレーベル。その一方で、映画の最後に「〈モータウン〉社歌」が出てくるんです。これがとんでもない社畜ソング(笑)。しかもライティングは、スモーキー・ロビンソン! ボブ・ディランが現代最高の詩人と讃えた人はダサい方に振り切っても、ここまでいくのか! という楽曲になっています(笑)。
新川 ベリー・ゴーディは、「黒人・白人関係ない」「女性も有能な人は役職に」など現代社会で言われていることを既に実行してたんですよね。映画で会議のシーンを観て、特に僕が感じたのは「会議室の狭さ」。それこそスネ毛が当たるような距離感での会議。あんまり広いと大事なことが決まらなかったりするので、ああいう狭い環境で話し合う会議は大事だと思いました。あと何でも、ベリーの一存で決まってたわけではなかった。
DJ JIN そうなんですよね。重要なところでちゃんと折れてるんですよね。ベリーは強情なんだけど、最後はなんだかんだで、ちゃんと折れるんですよね。
━━最後に
DJ JIN 音楽を作る身として、心を揺さぶられる気持ちで映画を観て、大泣きしました。あの頃のみんなに響く音楽を作るという思いが伝わってくる作品でした。〈モータウン〉の事も分かりやすい映画だと思います。
今回のイベントでは、2人が元々繋がっていたこともあり、リラックスした中でプログラムが開催された。トークセッションでは〈モータウン〉や映画について、DJ JINはアーティストとして語り、新川はビジネス的な側面から語っていた。
またイベントでは、DJ JINが〈モータウン〉の楽曲から1枚だけをチョイスするコーナーも実施。クラブミュージックの切り口ということで、数々のダンスミュージック/ヒップホップの元ネタとしても知られているシスターズラブ(Sisters Love)の“Give Me Your Love”がチョイスされた。
そして両者が「〈モータウン〉で何を聴くと言ったら、まずはスティーヴィー・ワンダー!」と口を揃えたパートでは、2人共、娘の名前がスティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)にちなんだ名前であり、漢字まで同じだということが発覚。トーク後は、DJ JINによるDJプレイタイムも盛り込まれ、終始、来場者の体が揺れるイベントとなっていた。
マーヴィン・ゲイ(Marvin Gaye)やダイアナ・ロス&スプリームス(Diana Ross & the Supremes)、ジャクソン5(The Jackson 5)、テンプテーションズ(The Temptations)、ミラクルズ(Miracles)、フォー・トップス(Four Tops)、マーサ&ザ・ヴァンデラス(Martha & The Vandellas)らを輩出したモータウン。
9月11日(土)・12日(日)には、そんな〈モータウン〉が生んだスター達の音楽を、ギンザレコード併設のリスニングルームにあるハイエンドオーディオで楽しめるイベントも開催される。映画『メイキング・オブ・モータウン』を観る前に、上質な音質で〈モータウン〉の世界を楽しんでみては。
映画『メイキング・オブ・モータウン』9月18日(金)/本予告
EVENT INFORMATION
『メイキング・オブ・モータウン』公開記念 スペシャルトークショー&DJイベント
2020年9月5日(土)
場所:阪急メンズ東京内 特設会場
登壇:DJ JIN(RHYMESTER/breakthrough)、新川宰久(ギンザレコード)
観客:ギンザレコードで募集した、無料招待のお客様
内容:DJ JINと新川の〈モータウン〉トーク/DJ JINによる、〈モータウン〉楽曲のDJプレイ
補足:会場に入る関係者&登壇者&観客は、検温・マスク着用・入場時のアルコール消毒/会場内では間隔2m以上を維持を実施
『メイキング・オブ・モータウン』リスニングセッション
2020年9月11日(土)・12日(日)
場所:ギンザレコード・リスニングルーム
INFORMATION
メイキング・オブ・モータウン
9月18日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国順次ロードショー
監督:ベンジャミン・ターナー、ゲイブ・ターナー
出演:ベリー・ゴーディ、スモーキー・ロビンソン
原題:Hitsville: The Making of Motown
字幕翻訳:石田泰子
監修:林剛
配給:ショウゲート
2019/カラー/5.1ch/アメリカ、イギリス/ビスタ/112分
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