テニス選手がバトミントンやるみたいものですかね。

――では、今後映画に対して“観る側”という感覚を一切離脱させて、100%“演じる側”になるということはないですか?

それはどっちも出来るし、ある意味出来ないですよね。映画に関しては、お願いされて今でも実際何本も決まっているんですけど、生きていくためにやらなきゃいけないんですよ(笑)。どちらかと言えば特技じゃないですね。テニス選手がバトミントンやるみたいものですかね。

――ちなみに監督など映画を作る側に回ることは興味はないですか?

全くないですね。本当に映画は観ているのが一番いいですね。出演を始めとして、色々なことはやりましたけど、基本映画は観るのが一番いい。でも演劇は一番やるのが楽しいと思っています。観ていても面白くないんで、演劇は(笑)。

――話変わりまして、昔映画館のチケットのもぎりのアルバイトをしながらお芝居をやられていたと思うのですが、今なお女優やお芝居をやられているという現在からその頃を振り返ってみるといかがですか?

本当に自分は幸せだなと思っています。中学から映画がずっと好きで、映画館で働きたいと思っていたので、もぎりのバイトをやったんですよ。毎日映画が見られて、一番映画の傍にいれる仕事ですよね。映画会社に就職して、宣伝の仕事をしたりだとか中に入る仕事も考えたんですけど、結局未だにもぎりの仕事が一番いいなと思っています。映画を最後にお客様にお届けする仕事ですからね。映画は、若い頃に巡り合った好きなものなので、ありがたいって言ったら変ですけど、それに関わることをこれまでやり続けられるというのはラッキーとしか言いようがないですね。

――今の話に繋がるのですが、今の若い世代って、片桐さんのように好きなものに真っ直ぐに向かうという人が少なくなってきていると思うのですよね。

でも、好きな物って誰でもありますよね? 体動かすこととか。足の速い人とか。それがすぐ職業に結びつくかというと、みんなそれぞれあるのだろうけど。

――個人的な見解としては、好きな物は何となくあるけど、他にも選択肢が沢山ある中で何か1つのものに向かうというのが難しいのだと思うんですよね。

そうですね。物が溢れているから1つにしぼれないんだろうね。多分、携帯をいじっている間にたまに好きなことがみつかるみたいなレベルだからじゃないのかな。私らの時は他にすることがなかったもの。映画といったら映画みるしかないし。映画のこと調べたかったら映画雑誌なんて3、4種類しかないわけだから(笑)。インターネットなんかないわけですしね。

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