来日記者会見Q&A

ーーアカデミー主演男優賞に繋がった要因は何だと思いますか?

今回の撮影は私にとって本当に特別なものでした。オスカーを受賞した理由を分析するのは難しいことです。ただやはり、この映画は非常に特別で、参加した全ての人にとって、特別なものになっています。これだけ、人々がつながり、世界観に入り込める作品はなく、私も1年近くこの世界に入り込んでいました。

監督のアレハンドロは、様々なテクニックを使ってこの作品を作り上げ、私はいまでもどうやって撮影したのか分からないことがたくさんあります。映画史に残るような芸術作品が出来上がったと思っています。こういう形でアカデミー賞を受賞したことは、名誉であり、このような映画には二度と関わることはないかもしれないと思っています。私にとっては、本当に重要な第1章のようなものです。

“エンドロールまで観たい映画”ー『レヴェナント:蘇えりし者』 film160415_revenant_2

来日記者会見にて

ーーアカデミー賞主演男優賞を受賞して、どのように変わりましたか?

受賞したばかりで、これからどのように生活が変わるか、俳優としてどう変わっていくか分かりません。私としては、変わらないことを望んでいます。私が仕事をしているのは、こうやって賞をもらうためではなく、元々持っていた理想や夢を追求して、最高の映画を作り上げていくことです。俳優を15歳から初めて、その時から映画の世界は、偉大な俳優たちの方の上に成り立っていることを感じていました。私もその英雄たちの後に続きたい。本当にこの映画の世界が大好きです。

ーー休業宣言を撤回して作品に出演した理由は?

脚本を読んで惹かれました。監督のアレハンドロはずっとファンで、『バベル』を観た時は、なんて画期的な作品なんだと思いました。カメラマンのルベツキとも仕事がしたかったです。アレハンドロの映画は、映画を撮影しているよりも壮大な旅に出ているような感覚です。彼の作品作りはあまりにも特別で、独創的で、この機会を絶対に逃してはいけないと思いました。

撮影はたいへんになることは分かっていました。かなり辺鄙な所で撮影し、極寒の中で撮影する。また、自然光で撮影するために、マジックライトと呼ばれる場所で、1時間半しか撮影しないことも分かっていました。でも、撮影が終わったとき、この体験が映画に貢献したと思いました。過酷な状況だったからこそ、素晴らしい映画ができあがった。監督のアレハンドロは、画期的なことをたくさんし、それをやり遂げたことがこれから評価されると思います。

“エンドロールまで観たい映画”ー『レヴェナント:蘇えりし者』 film160415_revenant_3

来日記者会見にて

ーー1番の過酷な撮影は何でしたか?

いろいろな過酷な状況の中でも、一番のチャレンジは極寒での撮影です。映画の冒頭のショットの撮影には、1ヶ月くらいの準備期間がありましたが、寒さは本当に大変でした。私はオスカーの受賞式の時にも話しましたが(環境問題に関するスピーチ)、本当に極寒の地で撮影していたのに、突然晴れて周囲に雪がなくなってしまったのです。そして、雪を探すためにアルゼンチンの南端まで行かなければならなくなりました。

いろいろな意味で、こういう作品は2度とやらないかもしれません。また、投資してくれる会社はないかもしれません。しかし、私にとってこのチャレンジは、本当に誇りに思うことです。

ーー映画を通じて、改めて環境や自然について考えていることはありますか?

監督とは長い間、人間と自然の関係について話をしました。映画の中に出てくる、原住民対白人のような戦いは、現実に起こっていることです。そういう全てがこの映画の中に入っています。アメリカの大自然が侵されていく。あらゆる所に資本主義が入り込み、森林や動物、何千年も原住民が暮らしてきた場所を大企業が資源のために荒らしていく。

私はこの地球を守っていかないといけないと思いました。この映画には、環境問題を含めた今地球上で起こってること、全てが入っています。

映画『レヴェナントー蘇えりし者』予告編

レヴェナント:蘇えりし者

2016年4月22日(金)TOHOシネマズ 日劇他全国ロードショー

“エンドロールまで観たい映画”ー『レヴェナント:蘇えりし者』 film160415_revenant_1
原題:The Revenant
監督・脚本・製作:アレンハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
撮影:エマニュエル・ルベツキ
音楽:坂本龍一
出演:レオナルド・ディカプリオ、トム・ハーディ、ドーナル・グリーソン、ウィル・ポールター、フォレスト・グッドラック
製作年:2015年 アメリカ
配給:20世紀フォックス映画配給
著作表記:(C)2015 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.

公式ホームページ

photo by Yuka Yoshida