あの『スター・ウォーズ』シリーズや『ハリー・ポッター』シリーズを超えて、累計興行収入1兆円を突破した世界No.1シリーズのマーベル・スタジオ最新作『ブラックパンサー』が、日本でついに公開となった。

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©Marvel Studios 2018

『ブラックパンサー』の全米オープニング週末興行収入は映画史上歴代5位、マーベル・スタジオ作品史上では『アベンジャーズ』に次ぐ歴代2位を記録。さらに、ケンドリック・ラマーがプロデュースした『ブラックパンサー ザ・アルバム』は全米ビルボードチャートで1位を獲得するなど、すでに世界中で“ブラックパンサー旋風”が巻き起こっている。

「ブラックパンサー」予告編

「ブラックパンサー」【RAP:SKY-HI】CM Ver.1

「ブラックパンサー」【RAP:SKY-HI】CM Ver.2

ただし、記録以上に本作で描かれる深い人間ドラマや強烈なメッセージ性が各界で評判を呼び、“ヒーロー映画の歴史を変え、もはや文化的事件”とまで評されているのだ。

そこで今回は、マーベルの熱狂的ファンであるIMALUさんに試写の直後にインタビュー! 作品の見どころはもちろん、ケンドリック・ラマーについてや海外での人種にまつわるエピソード、さらに作品の設定に紐付けてIMALUさん自身の両親にまつわる話までたっぷり伺った。

Interview:IMALU

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——試写を見終わった直後の興奮そのままにいろいろ聞かせてください。

いやあ……『ブラックパンサー』はこれまでのマーベル作品と比べてもスケールがさらに大きくて、ストーリーも深いところまで描いてる感じがしました。アメリカン・コミックスの派手さやアクションの激しさだけじゃなくて、アイデンティティとか自分のルーツとかを考えさせられましたね。『アベンジャーズ』とかは戦いのシーンですごいワクワクするんですけど、『ブラックパンサー』はハラハラするというか、感じ方がこれまでと違って新鮮でした。今の時代の流れの中で人種問題とか、あとアメリカの映画界でも女性が立ち上がってるじゃないですか? そういう意味で『ブラックパンサー』のような作品に勇気付けられる人も多いのかなって。世界がひとつになろうよ! っていう中で、ワカンダの国の人たちの気持ちもわかるし、敵になる……。

——キルモンガー?

そう、彼の言い分も理解できるといえばできる。いつもそうですけど、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』とかも「どっちの気持ちもわかるけど……」みたいな。

——観た直後なのにけっこう感想がまとまってますね。

そうですか? あと瞬きしたくないぐらいすべてのシーンがめちゃくちゃカッコよかったです。ケンドリック・ラマーの曲ももちろんカッコよかった。彼も人種問題とかへのメッセージを発信しているアーティストじゃないですか? 『ブラックパンサー』の曲をケンドリック・ラマーが作るって……やり方が洒落てるなと思いました。

Kendrick Lamar, SZA – All The Stars

——ライアン・クーグラー監督がケンドリック・ラマーとのコラボを熱望して実現したというのもアツい。ケンドリック・ラマー好きということですが、聴き始めたのはいつぐらいですか?

“i”が入っているアルバム(『To Pimp a Butterfly』)からなのでそれほど早くはないんですが、フェスとかこの間のグラミーとか、パフォーマンスがいつもカッコいい。自分は英語が完璧じゃないので、もっとわかったらより彼の音楽を楽しめるのかなって。ただ彼のメッセージとかアーティスト性は純粋にカッコいいなと思います。

Kendrick Lamar – i (Official Video)

——『ブラックパンサー ザ・アルバム』は従来のサントラという形ではなく、この作品の“インスパイアード・アルバム”というのも特徴で。まあこの映画に関してケンドリック・ラマーほど適任はいないですよね。あと彼に関して言えば、今年の<フジロック>への出演も決定しています。

流れがきてますよね。今年はまだ行けるかわからないんですけど、あのメンツを見るとちゃんと休みを取って行きたいですね。スクリレックスも大好きですし、N.E.R.Dも出ますし。ケンドリック・ラマーはまだ生で観たことないんですよ、前の<フジロック>の時は観られなくて。

The Weeknd, Kendrick Lamar – Pray For Me (Audio)

Kendrick Lamar – Humble (Skrillex Remix)

N.E.R.D & Rihanna – Lemon

——ならなおさらですね。作品の話に戻っていろいろ伺いたいんですが、まず作品を観て印象に残った登場人物は誰でしたか?

オコエがカッコよかったです。個人的にウォーキング・デッドが大好きで、「ミショーンきたー!」みたいな感じでした。真っ赤なゴージャスなドレスで、槍一本でバシバシ戦っていく……あれはもうぶっ飛ばされるカッコ良さというか。予告編を見る限り、次の『アべンジャーズ/インフィニティ・ウォー』も出演するじゃないですか? めちゃくちゃ楽しみですね。

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©Marvel Studios 2018

——先ほど話の中に出てきたキルモンガーも、マーベル・スタジオ作品の中でもとりわけ感情移入してしまうヴィラン(悪役)でしたね。

そうですね〜どこかで別の展開も期待したけど……。ビジュアル的にはクール顔のイケメンなので、ティ・チャラのちょっとかわいらしい顔が引き立ちますよね。あと、キルモンガーがブラックパンサーに「what’s up!」って言ったりするのも、王様にwhat’s up!ってみたいな感じでマーベルらしいユーモアがおもしろかったです。

——そういうストリートのノリもセリフなどに入ってましたね。IMALUさんは海外で生活したことがあるんですよね?

はい、高校の時にカナダで3年間過ごしました。私のいた地域は黒人の方はそんなにいなかったんですけど、やっぱり向こうの学校って留学生もいるので、そういう意味ではメキシコ人とか中国人とか韓国人とかいろんな人種がいましたね。

——行く前から英語は勉強してたんですか?

なんとなくですね。あんまり机に座ってって感じではなかったんですが、好きな映画とか音楽で英語に触れてました。

「ブラックパンサー」国王陛下、出番です。

——HIPHOPとかブラックカルチャーを好きになったのもその頃ですか?

でもHIPHOPのもともとの入りはダンスでした。HIPHOPダンスにハマった時にいろいろ聴いて、そこから洋楽全般を聴くようになりました。

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——『ブラックパンサー』では人種の問題も描かれていましたが、IMALUさん自身、海外で人種について考えるような経験はありましたか?

“日本人だから”というので少しはあったんですが、カナダはのどかな田舎なので、それほど大変な思いをしたわけではないですね。それよりも海外ではLGBTの人とかが集まれるクラブがあったり、「自分自身のありのままの姿でいい」という考え方はいいなと思いました。

——人種に限らず、いまアメリカ全体でマイノリティの声が高まっていて。この『ブラックパンサー』も単純なヒーロー映画に留まらないメッセージ性が評価されているのかなと思います。批評家から「これは文化的な事件だ」と評されていたりとか。

「最もアカデミー賞に近いマーベル作品」とか「ヒーローものは観ないけどこれは違う!」とか、そういうのが全てを言い表してる気がしますよね。

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——アカデミー賞に関しては主要部門だけではなく、映像や衣装なども含めて可能性がありそうですよね。特に高度な文明と雄大な自然が共存した風景は美しかった。

「もしかしたら本当にこういう世界があるのかな」って想像しちゃいますよね。故郷の自然と最新テクノロジーの融合にワクワクしました。最新テクノロジーを描く映画って、そこが進み過ぎちゃうと少し怖い未来を想像しちゃいますけど、ワカンダみたいに原始的な部分と最新の部分が混ざり合ってるのはほっとするというか、憧れるというか。

——マーベル・スタジオ作品シリーズを通じてさまざまなテクノロジーを描いてきましたが、本作でその“終着点”を描いたような印象を受けました。

ブラックパンサーは言ったら最強ですよね? 『アイアンマン』より防御力は強いだろうし……。あとブラックパンサーのデザインもカッコいいですよね。『シビル・ウォー』ではふわっと登場した感じでしたけど、ここでブラックパンサーのカッコいいところをたっぷり観られました。

「ブラックパンサー」遠隔運転システムのカーチェイス

——高まった期待を軽く越えてきた感じですね。あと本作では家族というテーマも深く描かれていました。マーベル・スタジオ作品って、お父さんがやらかしちゃったみたいのが多いじゃないですか?

ピュアな子どもも多いですよね、それを真剣に受け止めちゃうっていう。

——悩める若き王の葛藤は本作でも大きな見どころで。偉大な両親を持つという意味では、IMALUさんも共感する部分はありましたか?

うちと比べるとスケールめっちゃデカイですけどね、『ブラックパンサー』は。自分を重ねて観てはなかったですけど、でもやっぱ表舞台に出る仕事としては小さいころから両親の背中を見て育っているので、ふたりへのリスペクトはあります。自分が仕事を始めてからふたりのすごさをより感じますし、自分が何かダメなことをするとふたりの名前に傷がつくのかな……とかは考えたりします。“守る”というとすごい大げさかもしれないですけど。

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