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PR Presented by SPEEDSTAR RECORDS

潜在的音楽意識集か? はたまたカルマか? 今後の活動指針と本質が浮かび上がったdelofamiliaのニューアルバム。

拭っても拭いきれないもの……。気づいたら滲み出ていたもの……。そんな自身の潜在的音楽意識、いや、カルマとでも称すべきか……。

今年活動開始から10年を迎えた、NAOTO(ORANGE RANGEリーダー/ギター)とシンガーソングライターRie fuを中心としたバンド、(デロファミリア)。彼らのニューアルバム『filament/fuse』は、そんなパーソナルで私信の凝り(こごり)のような感受を私に与えた。

作品や時期毎に自身のブームやフェイバリットを惜しみなく作品に投影してきた彼ら。通算6枚目の今作では、まるでブリストル発信のような作風が印象深い。トリップホップやアブストラクトヒップホップ、MO‘WAXを彷彿とさせるダビーでダーク、無機質なんだけど何か蠢いているかのようなNAOTOの作り出すトラック。

そこに、あえて生命力のある有機的なRie fuの歌声や声が乗り、その両極の融合ならではの新しい景色を曲毎に眼前に広げてくれる、このニューアルバム。

今作の制作を経て、改めて自身の本質に気づかされ、が故に「今後はそれを指針に突き進めていくであろう」とNAOTOに言わしめた、今作は彼らのバックボーンを悟ると共に今後の進むべく道を明るく照らし出すものとなっている。そんなNAOTOが今作を通し、delofamiliaの過去、現在、そして今後を語る。

Interview:NAOTO(

「今作は全て日本とUKとでファイル交換で作られていった」

——今年でdelofamiliaは活動開始から10年を迎えますが、スタート時はNAOTOさんの本質的な音楽面でのアウトプットもですが、その活動がORANGE RANGEへの還元を前提に開始させた感がありました。それらもあり、失礼な話、当初はこの活動が、ここまで長く続くとは想像してもいませんでした(笑)。

僕自身そうですから(笑)。10年前の活動開始の際は、それこそ作品1枚切りでの活動予定だったんです。

——やはり(笑)。それをここまで続けた要因は何だったんですか?

始めたらことのほかそれが楽しくなったんです。形態も当初は、その都度その都度、ボーカリストを変えていく想定だったし。マイペースに作品毎で「次はこのシンガー」「次はこのシンガー」とフレキシブルに変えていこうと思っていたんです。

——結果、2枚目以降はRie fuさんがパーマネントなボーカリストに落ち着きましたが。

Rie fuも当初は2枚目のみの参加予定だったんです。だけど一緒に作ってたら、このユニットでの可能性がグワッと広がっていって。そこから、「この人と一緒にやれば、より面白いことが色々と出来るかも……」と。で、気づいたら一緒にここまで来てました。

——Rie fuさんが加入後の掛け算の比重も段々と増えていきましたよね。ただ歌ってもらうだけでなく、彼女なりのアイデアやアイデンティティが加わることでの相乗効果の比率が作品毎にどんどんアップしていった印象があります。

まさにその通りです! これまでは自分の構築した曲を直接アウトプットだけしていたものが、Rie fuとやることで、その曲を一度二人でこねくり回し1曲を作り出していくので、自分にとっても凄く新鮮で。おかげさまで、Rie fuと組んでからは、「あれ、入り口は確かにここで、あそこを目指していたのに、気づいたら違った出口にでちゃったよ」。なんていい意味での意外性や予想外の景色を楽しめるようになりましたから。元々彼女のシンガーソングライター的な才能や存在、センスが好きで手伝ってもらったんですが、指摘されることやアドバイスも的確だし。かと思えば奇抜でとんでもない意見や注文をしてきたり。そのバランス感も気に入ってます。

——自身完結型だと着地点を想定して作る関係上、想像以上のものは生まれにくいですもんね。イニシアティブとしては、2nd以降はどんな感じに移っていったんですか?

4枚目ぐらいまでの主導は僕でした。しかし、徐々にイーブンに移ってきて。近々完全にイーブンになっていくんじゃないかな。

——そう考えると今作は非常に双方イーブンに近いんじゃないですか。NAOTOさんのバックボーンや好きな音楽によるバックトラックに、Rie fuさんが自分なりに思いついたり、浮かんだものを自由に乗せて、そこで完成していく。いわゆる各々セパレートしたものが合わさった感が凄くしました。

その辺りは作風に出ているとは自分でも思います。実は今回、制作段階で一度も実際に顔を合わせていないんです。全て日本とUK(Rie fuはUK在住)でのメールでのファイルのやり取りだけで作っていって。お互い12時間の時差で音や歌のキャッチボールをして作っていったんです。

「どんなトラックでもRie fuが歌えば大丈夫。そんな自信や安心感があった」

——ライブやツアーを経て作られたこともあり、もっと融合感や一緒感、それからバンド感や躍動感がある作風予想でした。結果、凄くバックトラックとボーカル的な楽曲や、無機質さと有機的なものといった相反するものの融合が垣間見られる楽曲が多かったのが意外でした。

ビジョン的には、打ち込み感とバンド感を同等にしたかったんです。1stはガチガチの打ち込みで、あえてポップ感を出していく挑戦だったのが、2~3枚目はバンドサウンド、4~5枚目から打ち込みの要素が増え始めて。で、今作では、それこそアブストラクト感やちょっとダウナーさを出してみるのも面白いんじゃないかなと。なので、一度バンドサウンドっぽく作った曲も途中、打ち込みを交えたくなって差し替えたものもあります。

——ドラムも本来なら生で入れるところを、あえて808感(ローランドの80年代リズムマシーンの名機DR-808の音色のこと。ドライで張った感のあるスネアの音が特徴的)を出したりしていますもんね。

毎回そうなんですが、その時の気持ちが作品に現われちゃうんです。今回だったらちょっと室内感や密室感、オープンではない感じが自分のモードで。それこそ808のマシーンだけのグルーヴ感、粗削りでいびつなところをもってきて、そのまま出して、武骨だったら武骨なままで、あえて制御させずに入れたかったんです。素材感を大事にしたかったと言うか……。

——確かにドラムマシーンのビートなのにダンサブルさを排除しています。

「電子音楽なんだけど、それをダンス的なものだけに使わない。」、そんなこだわりが制作中もありました。それもありリズムマシーンを起用したにも関わらず踊る要素を極力排除させたんです。ビートの組み方もあえてダンスミュージック仕様にしてないし。基本、聴き手のイマジネーションに委ねたいですから。

——凄く90年代中盤のブリストル系の雰囲気を感じました。アブストラクトやトリップホップといった。

それが自分の中で最近の静かなブームでもあったんです。ブリストル系に関しては、高校の頃から大好きでよく聴いていたんで、染みついてるんでしょう。未だに聴き返しますもん。その度に当時は気づかなかった発見も色々と出てくるのも面白くて。

——非常にあの頃のどんより感が、現在ならではの手法も交えて表現されている部分にも耳が惹かれました。

作るとどうしてもあのどんよりとした空の感じになっちゃう(笑)。むかし受けた衝撃が未だに残ってるんでしょうね。でも、どんなトラックを作っても、Rie fuが歌えば大丈夫。彼女なら上手く乗りこなせる。そんな自信や安心感はありました。

——トラックの無機質な感じにあえて合わせず、逆に有機的に彼女が歌った印象が今作にあります。

歌は何パターンも考えてくれました。なのでハマらずにボツになった曲も沢山あって。基本、収まりが良かったり、すんなり聴けるものは採用しませんでしたね。どこか違和感やいびつなもの、耳に引っかかるものがないものは、あえて外しました。なので同じ楽曲でも、上手かったりキチンと出来たテイクよりも、多少未完成だったり、ズレていたり、ヨレてても雰囲気の良いものを選んだんです。

——Rie fuさんも割とハッキリとものを申すタイプですが、その辺りのお互いの協調性は大丈夫でしたか?

基本、彼女は何でもトライしてくれました。とは言え自分をしっかりと持っている方なので、これは融合しても合わないと感じたり、タイプ的に歌いたくないものは、きっぱりと断ったり、意見をくれたり、アドバイスをくれたりしましたね。まぁ、多少のメール越しのバトルはありましたが(笑)。やはり彼女は外国人気質があり、「イエス」「ノー」がはっきりしているので、逆に潔く作業を進められました。

——作品全体のトーンはけっこう統一していながらも、その中での曲のタイプのバラエティさやバランスも面白かったです。

大好きなテイストだけあって、どの曲も似ちゃう傾向はあるみたいです。自分では気づかないんですが。Rie fuからも言われましたもん。「あれ、この曲、あの曲と関係があるの? 近しいけど。」って(笑)。自然と出ちゃったり、拭っても拭い切れないところはあるんでしょう。

「気づいたら出てきたのは自分の身に染みついたものばかりだった」

——今作には、People In The Boxの波多野さん(Vo.&G.)もポエトリーリーディング等で参加しています。

僕が大好きでオファーしました。ORANGE RANGEで一度共演したことがあるんですが、そこで初めて観て衝撃を受けたんです。日本にもこんなアヴァンギャルドなバンドが居たんだ!? って。そこで声をかけたのが出会いでした。delofamiliaとも2マンをやったことがあるし。彼らの都内でのライブは可能な限り観にいってるくらい大好きなバンドなんです。

——収録に際して彼には何かリクエストを?

「波多野さんを存分に出して下さい」とだけお願いしました。それで返ってきたのがあのポエトリーリーディングで。いつか僕が「波多野さんのポエトリーリーディングが好きだ!」と伝えたことを覚えてくれていたんでしょう。でも、これも実はファイル交換で作ったんです。なのでレコーディングの作業では一度も顔を合わせてないんです。プライベートではしょっちゅう顔を合わせているのに(笑)。

——基本、ファイル交換で完成させてるじゃないですか。距離感や好きな時に出来る、あと時短以外に、そのメリットって何でしょう? 私からするとやはり会って一緒に作った方が、より良い作品作りに繋がりそうなイメージですが?

Rie fuとはずっとそれ(ファイル交換での制作)ですからね。お互い東京に居る時も、楽曲作りに関しては会わないという(笑)。ファイル交換の方が音での対話があるので、より分かりやすいし、変な感情が介在することがないんです。メールの方が言葉がダイレクトだったりするし。

——顔を見ると流されて、言いたいことも言えなくなる場合もあり、妥協に繋がる懸念もありますもんね。

なので、お互いファイル交換の方がすっきりしているし、精神衛生上もいいと思いますよ。ただ、文字なので、ニュアンスが伝わりきらなかったり、必要以上に言葉がキツく感じられることもありますが。

——NAOTOさん的に今作を創り上げたことで見えたものってありましたか?

自分のバックボーンや好きなものってやっぱり変わらないんだなってところかな。自分の拭いきれないものや、つい癖としてでちゃうもの、カラーやいつも近いことをしている自分に改めて気づくことが出来ました。前作から3年のインターバルがあったんで、自分でも何かしらの新しいアウトプットがあるだろうと制作に入ったんですが、あまり新しいものは出てこなくて。出てくるのは自分の身に染みついたものばかりだったんです。

人間、本質はあまり変わらないことに改めて気づかされました。だったら、これからはこれを推し進めて行こう。そう強く決意させてくれたアルバムになったかなって。言い換えると、今後も自分の中から自然に出てくるもの、拭っても拭い切れないものや滲み出てくるものを大切にし、それを作品としてより出して行こうと改めて思わせてくれた1枚になりました。

——まさにタイトルのfilamentやfuse感じゃないですか。

それもあり今回、このタイトルにしたんです。Rie fuにもそれは伝えました。「やはり人間、芯みたいなものはあるし、残っていくものだから。」と。それを意識してくれての今回のメインビジュアルを含んだアートワーク(作:Rie fu)だとも思うんです。

——ORANGE RANGEの新作も同日発売ですが。

同じ人間が制作しているとは思えないほど、こっちはこっち、あっちはあっちで全く世界観の違った作品になってます。どちらも振り切ってるし、こっちがやれているからこそ、ORANGE RANGEでも違った筋肉を存分に使えるところもあります。自分的にも双方の活動が面白いですからね。

——最後に『filament/fuse』の話に戻ると。このアルバムの曲順も大きな流れを感じられて、一つの大きなサイクルを想起させてくれます。

今の時代、難しいことかもしれませんが、やはり1曲目から10曲目までを通してキチンと、可能であればヘッドホンではなくステレオで空気を通して聴いてもらいたいです。特に曲順はこの作品の大きなファクターでもあるし。それこそ1枚で1曲って言いたいぐらい、一つの大きな長い物語と思っているので、その辺りも楽しんで欲しいです。インストも入れているんですが、僕的には、そこじゃないと意味を成さなかったりするので。あと、ローやミッドもかなり前面に出しているので、聴くのはもちろん、是非体感したり、浴びたり、揺蕩いながら楽しんで欲しいです。

RELEASE INFORMATION

filament/fuse

【インタビュー】delofamilia最新作を通し見えてくるORANGE RANGE・NAOTOの音楽的本質 interview_delofamilia_interview_delofamilia_2-700x700
2017.11.01(水)
delofamilia
VICL-64867
¥2,800(+tax)

iTunes

詳細はこちら

RELEASE INFORMATION

7inch Single「delight/balance」

【インタビュー】delofamilia最新作を通し見えてくるORANGE RANGE・NAOTOの音楽的本質 interview_delofamilia_interview_delofamilia_1-700x700
delofamilia
HR7S073
¥1,700(+tax)

SIDE A:delight
SIDE B:balance ~love and hate~ (10th Anniversary ver.)

11.22(水)よりHMV record shop(渋谷/新宿ALTA/コピス吉祥寺)
「ORANGE RANGE LIVE TOUR 017-018〜UNITY〜」ツアー会場にて先行販売スタート
11.29(水)一般販売

詳細はこちら

text and interview by池田スカオ和宏

池田スカオ和宏

池田スカオ和宏

ライター/インタビュアー/編集人

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