――そもそもA.C.E.を結成した経緯というのは?

堂島:たくさんライブをやるにあたって、5人編成とか7人編成とかでやってきたんですけど、楽器数を減らしてでもたくさんライブをやりたいというのと、あとは僕みたいな歌メロが結構立っているタイプのポップミュージックとしては、フェスを含めてかなりライブの話が来るというのがあってですね。そういうところでいうと、ソリッドな形にしてライブをやっていこうと。より個々にプレイヤーとして腕が立って、キャラクターが立ってる。そういったフォーカスが当たりやすくなっている時に声を掛けさせてもらったのが、この3人なんです。

――皆さんはA.C.E.以前にも繋がりがあった4人ですが、A.C.E.という形になってから、それまでの距離感や演奏面に何か変化を感じますか?

奥田:僕は、この一年でA.C.E.と関わることによって生まれる人格みたいなものがある気がしていて。

堂島:人格誕生(笑)。

奥田:(笑)。「サポート仕事に行くぞ」という感じよりは、A.C.E.として過ごしている時間や音楽を含めた上での人格というか。1作目の時はわりと皆でそういうものを話し合いながらだったんですけど、今回はそれが出来ちゃっているから、それで自然に出来たという部分もあったと思うんですよね。人格込みで活動しているところは、A.C.E.というプロジェクトは他と比べて違うところだと思いますね。

小松:僕は元々堂島くんと長くやっていて。

堂島:ここ(堂島と小松、奥田)が一番長いよね。たぶん10年ぐらい。

小松:たしかに他のプロジェクトと違う感じなんだけど、A.C.E.の感じは好きで、A.C.E.になる前から堂島くんとは楽しんでやるというのが染み付いているというか。それがライブで僕がやりたい姿だなとはずっと思っていましたね。

鹿島:僕も堂島くんとやったことで、影響を受けた部分というのはとてもありますね。ステージングが楽というか、なんでもありの人なので、どれだけ面白いのかという感覚をすごくもらったかな。自分のステージングは25年ぐらいやってるんで色々とあるんですけど、またそれと違った自分の感じというか。どれぐらい一緒にやってるんだっけ?

堂島:鹿島さんはA.C.E.前から含めて、もう5、6年ぐらいじゃないですか。

鹿島:そうだよね。堂島くんのことは知ってはいたんだけど、一緒にやるようになってからすごく影響を受けて、他の人のライブで演奏する時も自分の立ち振る舞いが変わってきたというか、「未だに変わるのか!」と驚いていて。

小松:ORIGINAL LOVEの時の鹿島さんはすごくA.C.E.っぽかったですよ。

鹿島:ほんと(笑)?全部自分の人生とリンクしてるんだよね。こうやって知り合えたことで自分のステージングとか音楽のやり方の中に、1つのベクトルが出来たというかさ。それはとても感謝しているところですね。わーわーやるんだけど、皆、元々の素地がある人間なんですよね。堂島くんはそういう蓋を開けるのが上手い人だと思う。

堂島:いま人格という話を皆がしていて、そういえばそうだなと思ったんですけど、僕はA.C.E.をやる時に、あと10年やれるような音楽のやり方を考えていたんですよ。あと10年、これだったらずっとやれるっていう新しい何かを求めていて。蓋を開けるのも、まずは自分のことから始めたと思うんですよね。自分自身へのてこ入れというか。僕は人のことをどうしてもいじっちゃって、皆のことをいじることが多かったんですけど、A.C.E.をやる時に断捨離をやるとずっと言っていて。自分の中の色んなやってきたものは好きだけど、要らないものは要らないと割り切る。その中で要るものはなんだろうなと考えたら、やんちゃさとユーモア、ちょっとスウィート。この3つの要素があったらいいなと思ったのが最初なんですよね。それをどうやったらかっこよくなるかと考えると、次は音楽の話になるんです。

【Interview】やんちゃでユーモア、ちょっとスウィート。堂島孝平とA.C.E.による最新型で真骨頂のエンターテイメント! 歌もののいい音楽で、ロックシーンに立ち向かう。 feature130121_dojima_01-1

【Interview】やんちゃでユーモア、ちょっとスウィート。堂島孝平とA.C.E.による最新型で真骨頂のエンターテイメント! 歌もののいい音楽で、ロックシーンに立ち向かう。 feature130121_dojima_05-1

【Interview】やんちゃでユーモア、ちょっとスウィート。堂島孝平とA.C.E.による最新型で真骨頂のエンターテイメント! 歌もののいい音楽で、ロックシーンに立ち向かう。 feature130121_dojima_02-1

【Interview】やんちゃでユーモア、ちょっとスウィート。堂島孝平とA.C.E.による最新型で真骨頂のエンターテイメント! 歌もののいい音楽で、ロックシーンに立ち向かう。 feature130121_dojima_03-1

――A.C.E.を始めるにあたって、何か音楽的なモデルケースとなる存在はあったんですか?

堂島:「このバンドみたいなことをやりましょう」ということは、実はあまりなかったんですけど、ただ前作を録った中盤過ぎぐらいに、誰かが「これ、ニューウェーブだな」って言ったのをすごく覚えていて。そこで「あ、ニューウェーブだ」とはじめて思ったんですよ(笑)。削ぎ落していった結果、如何に青くなるか、青いことをどう大人がやるのかというか、皆ふざけることが好きだったけど、ふざけない方が大人っぽく見られるじゃないですか。僕はそれを目指すと、おそらく駄目になっていくタイプの人間だと、30歳ぐらいのジャッジとしてあったんですよね(笑)。人前で出来る限りかっこつけるんじゃなくて、そちらかというと、やんちゃするというか、ふざけたことを言ってる方がいいなというモードがあって。

――それを音楽として落とし込んだのがA.C.E.なんですね。

堂島:そうそう。かっこいいものを作ろうとなった時に、かっこつけるんだけど、青くかっこつけるやり方。それが最初のコンセプトだったと思うので、そういう精神性という意味で、80年代のニューウェーブシーンは近しいものがあると思うんですよね。皆そこら辺の音楽が好きで、僕はシンガーソングライターものが好きなので、例えばエルビス・コステロだったり、ヘアカット100のニック・ヘイワードのソロが好きだったり、そういう感じに個々の好みがあって。小松くんはイアン・デューリーだったもんね。

小松:うんうん。

堂島:レコーディングの時にアイデアを出すんですけど、鹿島さんはプリファブ(プリファブ・ストラウト)とかをダイレクトに通っていて、リアリティのある鹿島さんがいてくれたのはかなり大きかったですね。

奥田:音楽的な共通項はかなり多いよね。基本的に皆、ソウルミュージックも好きで、でもその対極にあるような青くて未完成の部分が剥き出しの音楽の良さも分かっていて。それは言葉にするものではないし、自然にいい感じを求めていったら、そういうテイストになるみたいなところだよね。

堂島:そうそう。皆、ソウルミュージックやAORだったり、いわゆるアーバンな音楽がすごく好きなんですよ。語弊があるかもしれないけど、洋楽の洒落てる感じを全員が好きで、どちらかというと、そういうところでプレーしてることの方が、この3人は僕以外の現場では多いと思うんです。だけど、いいなと思ったのが、全員の音楽の入口がロックンロールだったりするんですよ。オッケン(奥田)が言ってた未完成の青さみたいなものが、匂いとしてもムードとしても好きで。それからポップミュージックの基盤が出来ているみたいなところがあるんです。僕はA.C.E.をやる前に「HARD CORE POP!」という名前を付けていて、その前は「モダンポップ・ミーツ・ロックンロール」を掲げてやってたんですけど、たぶんそういうことだと思うんですよ。

――いわゆる洒落てることやアーバンなことを、ロックンロールの精神でやるといいますか。

堂島:そうそう。それがA.C.E.のクレイジーな部分なんだとすごく思うんですね。たぶん要らないなって思う手札って各自あったと思うんです。例えば演奏上、弾き過ぎちゃうとか、埋めたくなっちゃうとか。どうしてもそういう癖が付いちゃってるんですけど、自分が19歳とか20歳の頃に打ち込みした音源を聴いてみると、なんにもやってないですよね。知ってるコードを弾いてるだけで、そこに一生懸命歌を歌っているみたいな。それが結構グッときたりするんですよ。そういうところの良さというか、それは幼稚なのではなくて、鋭さみたいなものになっていく。そこはこのメンツでA.C.E.をやった出来上がりとして、良かったことですね。

――A.C.E.は10年、15年前では出来なかったプロジェクトなのかなと思っていて。

小松:やったとしても、そんなに説得力がない可能性がありますよね。だから、これまでを踏まえた上でのA.C.E.なのかなという感じはしますね。当時やっていたら、1周する前の初期衝動で終わっていたのかも。

奥田:うん、もっと頭でっかちになっていたと思う。

★新作『A.C.E2』の背景や今後のプロジェクトなど、インタビューまだまだ続く!!
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