——いよいよ以前からの公約通り、ライブレコーディングによる新作がリリースされます。前回の取材で、「新ドラマーが馴染んでからになる」とのことでしたが、予想以上に早期に完成しましたね。

IKKE あの時は、そうは言ったものの実現には多少諦め気味でしたから。

TOMOYA 思ったよりも早く順応してくれたんで助かりました。Steveが入ったのが2月で、初ライブが3月、ライブレコーディングが5月でしたからね。

——入って3ヶ月でいきなりライブレコーディングを!?

TOMOYA さぞかしSteveは大変だったでしょう。昔の曲も覚えながら新曲も作っていったんで。今回の作品って、以前のドラムが居た頃に作っていた曲は一曲も入れてないんです。全部この5人が揃ってからの新曲ばかりで。新しいメンバーになって新しい音楽を作りたかったんです。逆に5人で作った感は凄くあります。

【インタビュー】FEELFLIP、一発録りの最新作『Recording Now!!!』で示したライブバンドとしての実力 interview_feelflip_2-700x467

——短いスパンのわりには、各楽曲もキチンと練られていて驚きました。

TOMOYA 今回は一発勝負の緊張感もあったんで、その分、キチンと曲を練って挑みました。時間こそ短かったけど、みんなフレーズやら練って、一度きちんとプリプロ(録音前の作業)もしてから本番に挑みましたから。いつもはレコーディング時に完成させていた歌詞も、今回はプリプロまでに全て作り終えたし。

——お客さんも交えてのいわば公開レコーディングですもんね。

TOMOYA 編集も一切なしの一発録りのね(笑)。逆に今までは編集に甘えて、必要以上のことをし過ぎていたことに、改めて気づかされました。いわば今回は逆に削ぎ落とした中に、多少の面白さを加えてみたり、ライブをより重視し、お客さんのノリやコーラスも前提で作りましたからね。

——ある種、みなさんにとってのこれまでの集大成のような作品となる印象を持ちました。みなさんが提唱しているSkhaoticがギュッと各曲で凝縮されているというか。

TOMOYA それこそ10数年の俺らの歴史をかいつまんだものになった自負があります。出来にも満足してるし。今回はある種、原点回帰でもあったんです。メンバーも変わり、これからうちらも変わらなきゃいけないし、それこそバンド名を換えていいぐらいの心機一転さを図りたかったんで。「じゃあ、ここであえて昔のFEELFLIPを出して行こう!!」と。昔からの一本の幹に俺らが積み重ねてきた枝を足す。そんなイメージで挑みました。

——個人的には、新曲でのライブレコーディングなんてリスクしかないように見受けられます。一般的にはライブレコーディングって、バンドもやり慣れた曲で、お客さんも楽曲を知っていて、一緒に場を盛り上げたり、創り上げたものをパッケージするものじゃないですか。しかし、全編新曲だとそれが成立しませんよね?

MOCK 当日は緊張感も半端なかったし、凄まじいものがありましたからね。

TOMOYA イメージ的には公開レコーディングととって下さい。「Recording Now!!!」のタイトルにしても、よくバンドマンがSNS等でレコーディング中に「いまレコーディングなう」とかつぶやくじゃないですか。あれ、僕、全く馴染めなくて。いわゆるレコーディングって水面下で進めるもので、いきなり「CD出します!!」というのがカッコイイと思っているタイプなんで。FEELFLIPはレコーディング中は、あえてつぶやいてませんから。

——確かに今作は共有レコーディングといった趣きを持っています。

TOMOYA 「一緒にアルバムを作っちゃおうぜ!!」との感覚で挑みました。なので、いきなりライブハウスに出て、新曲をパーッとお客さんの前で演って、それを収めたものとはちょっと違うんです。

——それはどの辺りが?

TOMOYA ホント、「今レコーディングを一緒にしています」って状況を試みました。ちゃんとみんなに先に歌詞を配って、その歌詞にも日本語の訳詞を乗せて、その曲に対する思いや含めた意味やメッセージ等をキチンと先にみんなに伝えてから実際の演奏に臨んだんです。「コーラスの部分はこうやってここでやりますよ」と先にレクチャーしたりもしたし。1曲1曲にキチンとお客さんにも感情移入してもらってからのレコーディングだったんです。

PON いきなり新曲をやっても盛り上がらないし、お客さんを置いておきぼりにするのが目に見えてましたから。

【インタビュー】FEELFLIP、一発録りの最新作『Recording Now!!!』で示したライブバンドとしての実力 interview_feelflip_27-700x467

——では、かなりの仕込みを経てのレコーディングだったんですね。

TOMOYA おかげさまで集まってくれたお客さんとの距離はかなり縮まりました。楽曲もより深く理解してくれたり、知ってくれただろうし。そうそう、その模様は「『レコーディングなう』ってつぶやいていいよ」と、しっかりみなさんに奨励し、拡散してもらいましたから(笑)。」