――今や巨匠な映画監督ですけど、岩井さんってもともとミュージックビデオ出身な方なんですよね。

そうなんですよね。

――もともと映画はお好きだったんですか?

映画はすごい好きですね。岩井作品にもたくさん影響を受けてきました。でも最近はスプラッター的なものが好きなんです。ドイツ映画がけっこう好きで、肉をたくさん食べる国はやはり血の出が違うなと(苦笑)。

――それは意外ですねぇ。音楽性や歌詞への影響なんてあるんですか?

うーん、どちらかというと真逆ですよね。でも、同系統のものを吸収してるだけじゃ越えられないものがあると思ってるんですよ

――確かに。ちなみに今回のアルバムは、古川さんの中では、これまで生きてきた中で感じてきた、場面場面の記憶が集まって作られているのか、今の時代的なものも反映されているのか、どちらだったりしますか?

自分の中で時代観を投影するということはあんまりないですね。音楽に託す意味が僕にはあんまり感じられなくて。やっぱり今までに吸収してきたものをアウトプットしていくかってことが大事だと思っているんです。でもアルバムの中でも好きな曲である“ストーリーライター”だけは、震災で知り合いの知り合いな人がいなくなってしまった経験からの影響を受けていますね。でも、大きなものに対して自分の音楽で何かを表現しようという気持ちはないんですよ。それを思って曲をつくるくらいなら募金した方がいいなと考えるタイプかもしれません。

“ストーリーライター”

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