関西弁をトラップに乗せて、面白いようにするんじゃなくて、カッコ良くしたかった(Jin Dogg)

——2016年くらいから少しずつメディアでの露出もあって、その反響は感じますか?

Jin Dogg 感じますし、こんな風になるとは思ってなかったというか。昨日も<SUMMER BOMB>に出て、びっくりしましたね。たった1年で、こんなに盛り上がってくれるようになるんだと。去年の<SUMMER BOMB>にはYoung Cocoが出てるんですけど、その時は客が飛び跳ねるとか無かったらしいんですね。ただ、今年出てみたらめっちゃノリ良かったです。

Warkar 観てて興奮した、画面越しでも。

Jin Dogg 小さな画面越しでも(笑)。

——ノリ方がわかった子たちが増えたのかもしれないですね。アルバムの話をより深く聞いていきたいんですが、MVが公開されてるものがいくつかあって、それでリスナーの下地が作られている部分もあると思います。それこそ“アホばっか”とか、反響がすごかったと思うんですよ。

Jin Dogg あれは2015、6……?

Warkar 一昨年の最初の頃じゃない?

Jin Dogg “勢い”が出て、“am2:00”が出て……。

——“am2:00”は出た時は、しばらく帰り道に聴いてました。

Jin Dogg ありがとうございます。

——リリックの話だと“好き好き”や“勢い”など、耳に残る短めなワードがフックを始め多いように感じて。それは音にハメやすいとか理由はあるんですか?

Jin Dogg 僕以外もそうやと思うんですけど、ビートを聴いてて思い浮かばないのもあるし、パッと冗談みたいな感じで言ってみて「それいいやん!」ってなる時がある。

Young Yujiro
 単語を繰り返し言ったりする方が、音楽的にしっくりくる。ノリが優先されるので、そういう感じなのかもしれないですね。

Jin Dogg – アホばっか ft. Young Yujiro & WillyWonka (Prod. Warkar) (Official Music Video)

DJ BULLSET – 好き好き feat. Young Coco, Willy Wonka & Young Yujiro (Official Music Video)

——みなさんがトラップに出会ったのはいつぐらいですか?

Jin Dogg 僕は中学、高校生くらいの時に、昔のスリー・6・マフィアとかリル・ジョンとか、あっち。サウス・ミュージックをすごい聴いてたんですよ。ただ僕自身は最初トラップでやってなくて、Gファンクでやってました(笑)。

Young Yujiro トラップだったものも昔はヒップホップといっしょだったじゃないですか。スリー・6・マフィアとかも、ヒップホップとして聴いてたんで。それこそ2、3年くらい前からしっかりと分けられだしたと思う。僕はそれこそラフ・ライダーズとかが好きやったんですけど、3年前くらいにJin Doggから「トラップやりましょうよ」って言われて意識し始めたというか。

Jin Dogg やってみたら「これ絶対いけるっすわ~!」ってなった。

——最初に聴いた時、関西弁×トラップの組み合わせに衝撃を受けました。

Jin Dogg ほんますか? 最近もろ関西弁の人っていなかったですもんね。僕が高校生の時は、大阪でジャパレゲ(ジャパニーズ・レゲエ)がすごい流行ってたんですよ。ヒップホップよりレゲエ。それも大阪のレゲエのアーティストたちは、ゴリッゴリの関西弁なんですよ。

Warkar 日常でも使わへんようなやつ。

Jin Dogg そう! 「そやさかい」とか絶対僕ら使わんからって。

Young Yujiro ルーツ感を大事にするからね。

Jin Dogg なんかそういうのに、気づかぬうちに影響は受けてると思います。言ってもいいやんというか、聴こえ的には全然おかしくないみたいなのはあったんで。関西弁をトラップに乗せて、面白いようにするんじゃなくて、カッコ良くしたかった。それですね。

アメリカ行ってHIBRIDって言ったら「おおお!」ってなるぐらいの存在になりたい(Jin Dogg)

——今回はフィーチャリングで地元の方もごっそりラインナップされてますよね。

Young Yujiro このアルバムを聴けば、大阪はある程度わかるんじゃないかなと思います。

Jin Dogg でもまだいっぱいいますからね、ここに入ってないイケてるアーティスト。

——韻踏合組合からERONEさん、HIDADDYさん、遊戯さんが参加しています。この話を依頼した時に、先輩方はどんな反応でしたか?

Jin Dogg それ以前にいつも褒めてくれますね。僕は絶対嫌われると思ってたんですけど。

——なぜですか?

Jin Dogg 絶対認めてくれないんやろうなっていう覚悟でやり始めたんですよ。ただ会うといっつも「頑張ってるやん。ええやん」って。めっちゃ言うてくれるんですよ、あの人たち。

——いいエピソードですね。じゃあ今回も全然OKみたいな感じでしたか?

Young Yujiro もっと誘ってくれみたいな感じですよ。

Jin Dogg 韻踏合組合にはイベントにも出てもらったし。

3ch Jin Doggの1stのリリースパーティーだっけ。

Jin Dogg そう。その次に自分らでやったイベントで<忘れられない夜>っていうのがあるんですけど、その第2回にも韻踏合組合のSatussyさんに出ていただきました。盛り上がったっすねぇ。

Young Yujiro 第2回は本当に盛り上がった。

——大阪の新旧そろい踏みは凄そう。あと若手のラッパーもたくさんフックアップしてますね。

Jin Dogg Fresh Dude Crewは大学が一緒。スケボーばっかやってる子らで、23vrszは16、7くらいから知ってるんですけど、こいつはその時から歌を歌おうとしてた。もう一人のKenayeboiって子は、バッチバチにスケボーばっかりやってた子ですね。

——さらに大阪以外だとSEEDAさんも参加していますが、これはニートtokyoからですか?

Young Yujiro ニートtokyoからでもありますね。その収録に行った日に「今度大阪行くから、次の日もし空いてたら曲でも作らないか」って言うところから始まった感じで、実際一人でスタジオに来はって。全部フリースタイルで録ってました、一切書かずに。

Jin Dogg 流行ってるんですかね、それって最近。

Warkar 確かにそれ最近聞きますよね。

Young Yujiro できないよね。

インタビュー | 大阪から世界へ——HIBRID ENTERTAINMENTのアルバム『HIBRID OR DIE VOL.1』は見据える未来への序章でしかない 0910_hibridentertainment-al_pickup_08-1200x801

——BAD HOPのT-Pablowくんとかもフリースタイルで最近やったりしてるみたいですけどね。

Jin Dogg kiLLaクルーのYDIZZYも最近そういう感じですね。

——最近では大阪以外の人との絡みも盛んになってきてますか?

Jin Dogg まあ最近になってからです。それまでも数えられるくらいの人たちとの関わりはあったんですけど。でもみんな今みたいに曲やってくれませんでしたよ。

——イベントも大阪が多かったんですか?

Jin Dogg 大阪しかなかったです。大阪か神戸。それくらいですね。

——YouTubeに上がってるライブ映像を見ると、エゲつない盛り上がり方をしてますけど。

Jin Dogg あれもほんまにイベントによるんですよ。

Warkar 元からお客があんまりいなかったりとか。

Jin Dogg
 いっぱいありますからね。東京でもそういうのは余裕でありますよ。

——今回のアルバムをきっかけにいろいろなところからライブのオファーがありそうですね。

Jin Dogg 全国行けたらいいな。

3ch 海外も行けたらいいですよね。

——どこに行きたいですか?

3ch アジア。近場だったらやっぱり韓国にみんなちょこちょこ行ってるので。もちろんアメリカも行きたいですけど。

Jin Dogg やっぱり目標はアメリカ。アメリカ行ってHIBRIDって言ったら「おおお!」ってなるぐらいの存在になりたい。道歩いてたら「Jin Dogg!」って言われるような。