先日、最新3rdアルバム『アートポップ』のプロモーションのため約1年半ぶりの来日を果たしたレディー・ガガ。世界最速リリースの地として日本を選んでくれた今作では、ギリシャ神話、ローマ神話、あるいはジョージ・ウォーエルといった作家にインスピレーションを受けたそうだが、マデオンやゼッドをはじめEDMのトップランナー達を共同プロデューサーに招いたことからも明らかなように、サウンドはバッキバキのエレクトロ&シンセポップに仕上がっている。とはいえ、R・ケリーをフィーチャリングした“ドゥ・ホワット・ユー・ウォント”で近年のR&B再評価にも目配せしてみせるなど、ショービジネスの女王としての存在感と嗅覚の鋭さを世に知らしめた格好だ。滑膜炎治療のために長らく活動休止を余儀なくされていたガガであるが、まさに「完全復活」を告げるアルバムだと断言できるだろう。
今回の来日でも、メディアとお茶の間を沸かせまくった彼女。何と言っても最大のサプライズは、「日本のアートポップ」として作られたガガそっくりの等身大人形「GAGADOLL」の存在に他ならない。実はこの「GAGADOLL」、ドールの胸に顔を当てて抱きしめると、内臓された骨伝導スピーカーによって『アートポップ』の楽曲と本人からのメッセージを聴くことができるという等身大人間型試聴機。〈Google “World Wide Maze”〉や〈Toyota ” Backseat Driver”〉シリーズをはじめインタラクティブな広告キャンペーンを数多く手がけるクリエイティブラボ「PARTY」が指揮をとり、知る人ぞ知る等身大人形専門メーカー「オリエント工業」がドール制作を請け負うなど、 まさに日本最先端のクリエイティブ技術と叡智を結集したプロジェクトなのだ。文字通りアート・カルチャーとポップ・カルチャーの融合を目指したという『アートポップ』の世界観が、作者の手を離れた場所=日本で再構築されていく構図は実に面白い。
Lady Gaga – Making of “GAGADOLL”
ガガ本人も太鼓判を押した「GAGADOLL」の誕生秘話、および制作背景を探るべく、Qeticでは オリエント工業の技術者3名、ドール造形師靍久暢行氏、ドールメイク草野真希子氏、ドールディレクター大澤瑞紀氏にインタビューを試みた。レディー・ガガとリアルドールを通して浮かび上がったのは、「メイド・イン・ジャパン」ならではの職人気質なプライドとこだわり。そして、“ものづくり”の本質だった。
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