70~80年代の音楽を最近聞き始めたんですけど、
詩がとても感動するものが多くて

––––あとは、歌詞がより抽象度が高くなっている気がしました、歌詞について、今作を作るにあたって気をつけたポイントは?

どんどんシンプルに、決めつけし過ぎないようにというか、限定的にしすぎないようにしました。英語だと響きはカッコいいし、音にはめやすいんですけど、カタカナ英語ぐらいしか使わないように心がけました。今回は日本語を主体として作りたかったんです。日本語の中でも難しくてかっこいい言葉ってあると思うんですけど、なるべくそういうものではなく、だれでも使えるような、普段日常の会話で使っているような言葉を使うようにしました。あと特に今回は、歌詞の構成をこだわって書いてみたんです。“ムーンチャイルド”という曲では、最初と最後の2行の言葉を同じ言葉でまとめたり、“Comedy”という曲では1番目と2番目のバースの頭が同じなんだけど、真逆の意味になっている。今まではバーッて最初から思いついた通りに書いていたんですけど、言葉の並べ方・構成にこだわって今回は書いてみました。

––––聴いてもらえる人にいろいろ考えてもらえるような歌詞の作りですよね。そういうのもヒップホップというよりかはポップス、昔の歌謡曲の歌詞に近いのかなと思いました。

最近僕、それこそシティ・ポップだったり、山口百恵さん、サザンさんと達郎さんなど、70~80年代の音楽を聞き始めたんですけど、詩がとても感動するものが多くて。僕は88年生まれで、主に90年代の音楽を聴いてきた人間だから逆に、その前の年代っぽくなったのかなって思いました。だから、きっと僕の次の世代は90年代っぽくなっていったりとそういう周期がある気がしていて、“Good Times”という曲では「時代はまたBack to 80」ってラップしているんです。僕は全然その音楽を知らなかったのにも関わらず、勝手にシンパシーを受ける音楽がいっぱい80年代にあって、自然とそうなっていっているのは興味深いです。

SALU – “Good Times”

––––今作はファンタジーの色も入ってきている感じがあります。より視点が俯瞰して、ストーリーテリングとはまた違った遊び心のある夢の世界が介在してきて面白いなと思いました。

僕はラッパーとしてライヴしたり、CD出したりっていうのが夢だったんで。そういう意味では、日常が遂に夢に突入したというか、ずっと夢見ているような状態で、まさに中二病っていう言葉がぴったりだと思うんですけど(笑)。なので自然とこういう歌詞になりました(笑)。

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