世代ダブバンドTAMTAMが遂にメジャーデビューを果たす。プレデビュー盤『クライマクス&REMIXES』を経て2014年4月23日(水)にリリースされるのは、全6曲収録のミニアルバム『For Bored Dancers』だ。“クライマクス”を筆頭に、歌心とダブを軸にした多種多様な楽曲をラインナップ。文字通り「退屈しているダンサーたち」に向けた新世代のダンスミュージックである。

【ダブバンド対談】TAMTAM×池永正二(あら恋)、お互いの出会いや共通項を語る interview140421_tamtam_jk-1

TAMTAM『For Bored Dancers』

これまでQeticでは、タワーレコード17店舗限定でカセットテープを無料配布した冒険的なプロモーション、ミュージックビデオに共通する「回転」を手掛かりにした作品レビューなど、独自の視点からTAMTAMの動向を追ってきた。今回お届けするのは、同じダブを共通項に持つバンド、あらかじめ決められた恋人たちへ(以下、あら恋)のフロントマン、池永正二との対談だ。

池永と言えば、映画や舞台、アーティストへの楽曲提供するコンポーザーやリミキサーとしての一面を持つクリエイター。TAMTAMの作品においては、『クライマクス&REMIXES』に“クライマクス”のリミックス曲を提供している。メンバー自身も敬愛する池永とのタッグはまさに念願成就。最良の形でメジャーデビューの瞬間を迎えることとなった。

ダブという共通言語を持ちながらも、TAMTAMとあら恋のアプローチは対極にある。TAMTAMは歌モノ、あら恋はインストと、ヴォーカリストの有無が両バンドの特徴だ。彼らが生み出す音楽はレゲエをルーツとするダブを感じさせながらも、踊れるだけのダンスミュージックではない。細分化すれば、UKロックや、ダブから派生したダブステップなどのエッセンスを感じ取れる多種多様な音楽性だが、純粋にその音世界とパフォーマンスに感情移入できるという意味で、新しいダブの形を示している。それは彼らの音楽だけが持つ特有のエネルギー。独自のダブミュージックを生み出し続ける両者の対話から、何が見えてくるのか。注目の対談が今、幕を開ける。

Interview:TAMTAM×池永正二(あらかじめ決められた恋人たちへ)

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左から: junet kobayashi(TAMTAM)/kuro(TAMTAM)/池永正二(あらかじめ決められた恋人たちへ)

––––TAMTAMとあら恋が最初に共演したのは、2013年1月にWWWで競演したスリーマンライブですよね。

junet そうですね。僕とあら恋との出会いは、晴海埠頭でやっていた<KAIKOO POPWAVE FESTIVAL’10(以下、KAIKOO)>なんです。あら恋の名前は知っていたけれど、名前の響きからポストロックバンドかなと最初は思っていて(笑)。

池永 名前的に弾き語りっぽい感じもあるよね(笑)。

junet 当時学生だった僕は、就職活動をしながら「何か違うな」と思いながら、一人でフェスに2日間行っていて、ちょっと寂しかったんです(笑)。それであら恋ってどんな音楽なんだろうと思って、ライブを観に行ったらお客さんがパンパンで入れなくて。ステージからピアニカの音と轟音でパーンとか聴こえてきて、「え、これってダブじゃん!」と思ったんですよね。やっと池永さんが見えたら、ピアニカを持っているバンドなんだと分かって、たしか“ラセン”とか“Fire Glove”とかをやっていたのかな。エモーショナルなダブバンドを観たことなくて、「こんなバンドがおるんやな……」と衝撃を受けました。

池永 その時はTAMTAMをやっていたの?

junet はい。2008年からやっていて。

池永 え? もう5〜6年になるんや。

junet 実はそうなんですよね。21歳ぐらいのときから。あの2010年4月の<KAIKOO>で僕は音楽をやろうと決めて、僕らが所属している〈mao〉のmicroshotというバンドで学生時代の先輩がギターを弾いていて、そのバンドのイベントとかに行ってTAMTAMのデモを配っていたら、レーベルオーナーの石本さんとつながって、〈mao〉に所属して活動することになったんです。調べてみたら、〈mao〉には以前あら恋が所属していたことが分かって、それから石本さんにあら恋のライブに毎回連れて行ってもらっては機材搬出とか物販のスタッフとかをやらせてもらっていました(笑)。1年ぐらいかけて、やっとメンバーの皆さんと話せるようになって、ライブも一緒にやれるようになったんですよね。

kuro 私は出会いで言うと、たしかリキッドルームが初めてだったかな。それからは、テルミンのKuritezさんがロシア料理店でライブをやっているところに応援に行ったりしています(笑)。

junet MV撮影の機材もあら恋のみなさんからお借りしたり(笑)。

あらかじめ決められた恋人たちへ – “LIVE”(KAIKOO POPWAVE FESTIVAL’10)

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