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セカンドフルアルバム『Blood Music』をリリースしたThe Floristに音楽の広がりの変化、いち音楽ファンとしての音楽への愛。独自のバンドのスタンス。そして新作のリリースについてなど話を伺った。

約2年前ファーストフルアルバム『Dark Entries(ダーク・エントリーズ)』をリリースした、The Florist(ザ・フローリスト)。シューゲイザーやニューウェーヴでメロディアスな音。そして、邦楽バンドとは思えないMVなどのヴィジュアルの魅せ方は、洋楽を好むファンから支持され、邦楽ファンには、国内では味わえない新鮮味を感じるバンドとして幅広く受け入れられた。

そして今月、The Florist待望のセカンドフルアルバム『Blood Music(ブラッド・ミュージック)』が発売されたのだが、シューゲイザー観やメロディアスさ、エモーショナルな部分は周到されつつも、変拍子に、緩急ある展開が含まれるなど、楽曲の幅は広がっている。この変化は、それぞれが経てきたバンドや音楽活動、音楽への愛、新たなチャレンジへの意欲からから生まれている。

また、今作からドラムが渋谷徹から蛭間孝充へと引き継がれたが、音の更新はあっても、The Floristの活動のスタイルやスタンスは変わらない。この部分は変わることが無い気がしている。変わるのはThe Floristがチャレンジする音の広さだけだ。The Floristにはフィルターがない。集まったメンバーが好きな音を作り、演奏し、4人ですべてを作っていく。フィルターを通さない彼らの音は純粋であり美しい。そして、国内音楽シーンの未来を感じさせてくれるこのアルバムを聴いてみたら、今まで知らなかった新しい扉を開く人もいるかもしれない。

今回は、音楽の広がりの変化、いち音楽ファンとしての音楽への愛。The Florist独自のバンドのスタンス。そして新作のリリースについてなど話を伺った。

Interview:The Florist(今村寛之[Vo.&G]、須長英幸[B]、椎名洋輔[G]、蛭間孝充[Dr])

【インタビュー】The Florist。彼らのシューゲイザー観から、これからの未来が見える interview160624_florist_2

――Qeticでは1stフルアルバム『Dark Entries』リリース以来、2年振りのインタビューとなりますが、リリースしてから、今回のセカンドフルアルバム『Blood Music』を発表するまでに、音楽観など、The Floristで変化したものはありますか? 

今村寛之(以下、今村) 元々、僕たちの中で、「今はこれが好きだ」、「これが流行っている」。そういう音を大切にしていますが、以前よりも音作りや演奏にも、そういったものが反映されていますね。

椎名洋輔(椎名) 意識をして変わったつもりはないですが、前作では「よりシューゲイザー観を出す」と制作をしました。今作はその垣根が取っ払われて、より広く雑食性が増したものへと捉えられるものにもなっています。それでもThe Floristというバンドとして、『Dark Entries』からの流れは周到していますね。

――それはThe Floristの音楽的なキーワードでもある、シューゲイザー観、エモーショナルな部分やメロディアスな部分でしょうか。

椎名 『Blood Music』では、その部分からは外れずに色々なことへとチャレンジできましたね。

――『Blood Music』では、さらにドラムの変拍子や緩急を感じる構成の楽曲に印象が強くありました。このような部分もチャレンジでしょうか。また、そのチャレンジはどのように生まれたのでしょうか。

今村 今回、ドラムが徹君(渋谷徹、The Florist前ドラマー)から、蛭間孝充(以下、蛭間)君に変わったこともあるかもしれませんし、Aメロ、Bメロ……といった曲の進行は、以前よりロックを感じさせているかもしれませんが、もちろん、メンバーで「こうしよう」という感覚があるので、それぞれのアイデアから生まれてきたものですね。

椎名 個人的には、今回はあまり「歪ませない」という感覚がありました。轟音で作られるシューゲイザーは、僕たちがやらなくてもいいなと思うので、歪みや圧ではなくて、フレーズの積み重ね、もう少しクリーンな感じと透明感。そういうもので構成していきたいなという気持ちがあったので、その部分は意識しましたね。

――1曲目の“Disintegration”から歪みが強くない透明感。爽やかで、すがすがしい疾走感。気持ちの良い夢の中を駆け抜けるような感覚へと連れていかれました。

須長英幸(以下、須長) 曲作りもそうかもしれませんが、演奏もなども含めて、これまでにみんなが別のバンドでやってきたことが、どんどんプラスの要素になってきている。変化というか、そういうイメージはありますね。

The Florist – Disintegration

――いち音楽ファンとして音楽を聴いて、現在の海外音楽シーンを意識しながら楽曲を制作したとお伺いしましたが、特に意識したバンドや楽曲がありましたら教えてください。

今村 今年の<FUJI ROCK FESTIVAL(以下、フジロック)>にも出演する、Deafheaven(デフヘヴン)ですかね。以前からファンでしたが、現代のシューゲイザー観やニューウェーヴ感として捉えられているし、ライブもオシャレですよね。

――アーティスト情報やこういう音楽にチャレンジしたい! というのはメンバー間で共有は良くしますか? 

今村 The Floristは多いと思いますよ。

椎名 基本的にみんな色々な音楽を探して聴くのが好きなので、格好良いなと思ったらすぐにすすめ合います。取材前も「インドネシアのシューゲイザーバンドがヤバい!」って盛り上がっていましたね。そうやってお互いに教え合うのが好きなんです。

――そのインドネシアのバンド気になります!

椎名 HEALS(ヒールズ)っていうバンドです。最近見つけましたが恰好良いですよ。

Heals – Wave

――ヒールズは初めて知りました。デフヘヴンからヒールズ。幅広いですね。他にも今回のレコーディング中に良く聴いていたバンドとかはいますか? 

今村 最近アメリカなどで人気の、Basement(ベースメント)やTURNOVER(ターンオーバー)に、彼らが所属している、〈Run for Cover Records〉のアーティストは良く聴きましたね。

――音楽的なコミュニケーションは頻繁に取り合っているんですね。

今村 取り合いますね。世界で注目を浴び始めるようなバンドは気になります。それに、そういうバンドがピックアップされているのを見て、時代を変えつつあると感じると、バンドで試してみたくなるんです。

椎名 デフヘヴンなどといった、いわゆるポスト・ブラックのようなものをかじって、ブラスビートのような早いビートに、空間系のギターを入れて、叫ぶ。そういう音も割とあると思いますが、僕たちが同じことをしても仕方がないかなと思っているので、The Floristではメロディアスにそれを試してみたいんですよね。

――メロディアスかつ、よりエモーショナルで浮遊感を感じさせる音ですね。

椎名 そこにリズム隊も乗っていて、しっかりとした歌もある。常にThe Floristがやる意味のある音楽をやりたいと思いますし、『Blood Music』ではそれができたかなと実感しています。

――『Blood Music』の中で、よりThe Floristらしさを実感できる楽曲はなんでしょうか。

今村 “Marigold”や“Disintegration”でしょうか。今作は、自分たちが特に得意とする部分でありますし、シューゲイザーとしてピックアップされてきたThe Floristの音が、さらに更新されています。このことでThe Floristをやってきてよかったなと感じました。また、シューゲイザーバンドはアルバムが長くなりがちですが、コンパクトに仕上がっていると思います。1回しかAメロが出てこないとか、Bメロが出てこないとか、頻繁ありますが、それも潔くやってしまおうという感じはありましたね。

The Florist – Marigold

――たしかに、コンパクト間は感じましたね。4曲目の“ハルシオン”は間奏のメロディ・フレーズの広がり方が大胆で、最後にサビが戻ってきたと思ったらさっとアウトロが抜ける。そして、静かに入るイントロから変拍子に独特な世界観をもつ5曲目の”ロマンス”へ。この流れ、とても格好良いですよね。

今村 “Romance”は今までのThe Floristにはなかったものですが、こういう曲をやってみたかったんです。僕は、こういうリフとか拍子は思いつかないので、椎名君を主導に……新たな椎名君を遠回しに引き出そうとしました(笑)。

――前回のインタビューだと、椎名さんがシューゲイザー観を出せることはバンド的なキーワードとしても大きいとありましたが、さらに引き出したしたんですね(笑)。

今村 (笑)。例えばレディオヘッドで変拍子の曲を聴いた時に、それを自分がしっかりとした作品に仕上げようとするとこれまではできなかった。それでも椎名君の力があればできるんです。

椎名 そもそも“Romance”を作ったきっかけは、メンバーが家に飲みに来た日だったんです。メンバーが来るから、お酒につまみを用意して、待っている間にアコギで作ったリフを、みんなが来てから「こんなリフありますよー」なんて聴いてもらったら……。

今村 やってみたい音だったんですよね(笑)。

次ページ:“Marigold”は、スマッシング・パンプキンズの“Mayonaise”という曲をイメージして

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Mako Masaya

Mako Masaya

ライター

大学在学中、100~700人規模のパーティー及びインディーレーベルのイベント企画・運営をマンスリーで経験。その後、アパレルに特化した代理店、アパレルメーカー 、飲食運営、出版・制作会社に勤める。転職間の数か月に、ニート・フリーターも体験。そのすべてを経て、現在ひとりで音楽・地域誌、ムック本発行を中心に編集・物書、企業イベントコーディネーターに至る。 これまでの経緯から、多種多様なクリエイターと出会い自身は”編集・物書”・”イベントプランナー”だが、多岐にわたりクリエイティヴな活動をしている人、団体と共同体となり、多角的な視点から企画立案し、制作案件に挑戦。多種多様だが、すべてを通じて得た、貴重な『経験・体験・出会い』、そして産まれる”縁”。その繋がりを重んじ、縁を繋ぎ円にし、自らをソーシャル・デザイナーと名乗り、その円から、社会のデザインを試みている。

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