――今作は確実に様々なチャレンジが音に表れていますが、今村さんがおっしゃっていたようにコンパクトな感じもします。このすっきりとしたリストの並びは悩まれたのではないでしょうか? 

須長 これは僕の趣味です(笑)。でき上がった11曲を何度も並び替えて、ひとりで聴いた結果、「これとこれがいいな」と思ってこの曲順になりました。難しかったけど、並べて聴いてみると、バチっと来た感じはありましたね。

今村 11曲の間に“Untitled”が入ることによって、結果、『Blood Music』という作品を、シングルのA面、B面のように分けて、通しで聴く作品になったのでは。と、こだわった部分だと感じています。“Untitled”は本来“Marigold”の頭で軽くインストの音としてやる予定でしたが、結果的には椎名君がインストの曲として作ってくれました。

椎名 もうレコーディングに入っていましたが、初めの“Marigold”は、スマッシング・パンプキンズの“Mayonaise”という曲をイメージして、イントロはギターだけでポロリポロリと音が入って、バンドで音を一斉に出す。そういう形を15秒程度やる予定でしたが、「ゴメン、これ曲として切り離して1分位のインストにしたいんだけど……イイかな」そう、みんなに相談したら「いいよ」って。

【インタビュー】The Florist。彼らのシューゲイザー観から、これからの未来が見える interview160624_florist_6

――前回のインタビューでもスタジオでの即興性の話題は出ていましたが、The Floristの楽曲作りのスタイルなんですね。

椎名 時間がなかったということもありますが、今回はさらにそれが進んでいますね(笑)。それでもみんなで相談して、「俺はこうだ!」、「ここは譲れない!」とかではなくて、「俺はこう思うんだけど、みんなはどう思う?」という中から「じゃあそうしよう!」と、相談しながら作っていきました。

今村 ライブのギターの振り分けも、これからやってみて変化があると思います。バンド全体でもこのイントロは変えていこうとか、無くなったりもするかもしれませんしね。

椎名 曲を優先で作っているので、今村さんが弾いているパートを僕が弾かなくちゃいけない部分もあったりしますし、これから4人で再現するにはどうするのか。というのもここから始まっていきます。

今村 今までやっていたバンドでは、すでに全体像が見えているものもあるし、Aメロ、Bメロを考えてきましたよ。というのが多かったですが、The FloristではAメロしかなかったりして、ほぼ決まっていないけど、こんな楽曲を作りたい。という所から再現まで、一緒に始めるんです。

須長 これが奇跡的に進んでいくんですよ(笑)。

蛭間 いやぁ……たいしたものだな。そういう感じがあります(笑)。

――蛭間さんは新たに加入しましたが、The Floristのスタジオワークやレコーディングに対して感じるものはありますか? 

蛭間 今までやってきたバンドでは、決められたものが多かった気がします。その場で自分が出したいものが出てきても、戦って出せる時にやっと出せるという感覚。だけど、The Floristだとその部分は自由にやっていけるんですよね。いいアイデアが下りてきて、やってみたら「今のいいじゃん」。そうやって共有ができるんですよね。

――The Floristの「自分たちのスタンスのコントロール」ですね。

今村 折角、一緒に曲を作って、演奏したいと好きで集まった僕たちだからこそ、自分たちが好きな曲を演奏していたいんです。それに、誰も止める人がいないですからね。「これじゃ売れないよ」、「こういう曲を入れておかないと」、「こんな歌詞がなくちゃ」。そんな声があっても、僕たち4人がOKであれば、The Floristは進んでいくんです。それで何かを勝ち取ったら、本当の才能なんじゃないかなって。

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――今回のアルバムのタイトルには、血や血液を意味する“Blood”という単語が含まれていますが、『Blood Music』に込められた意味、そして想いを教えてください。

須長 曲が出そろって、レコーディングが始まることが解った時点で、「今回のタイトルは『Blood Music』だな」そう、自然と降りてきました。いままでみんなが経てきたバンド、音楽活動のいいものが出てきていることを実感しましたし、その重みも感じていました。4人の葛藤や絆。血と涙の結晶。「これがThe Floristだぞ!」って。もうこれしかなかったですね。ひとつの集大成という風にさえ感じられました。

――タイトルで表現されているように4人の結束を表した作品になっていると感じますが、The Floristだからこそ活動ができる喜びはありますか。

今村 演奏している時が好きですね。お客さんが入っていてもいなくても、臆することなく堂々とできるんです。

椎名 今村さんが話しているスタンスに通ずるものもあると思います。誰もブレーキをかける人もいないし、しがらみもない。周りに左右されることなく、自分たちで責任を持ってやっています。本当にThe Floristがやりたいこと、やるべきことを純粋にやれています。月並みかもしれないですが、これは大切なことだと感じています。

――4人の葛藤や絆。血と涙の結晶である『Blood Music』ですが、どんな方に届いて欲しいですか。

今村 邦楽ロック、特に若いシーンを聴いている人たちに、このアルバムをいきなりすすめて「このアルバムが大好きだ!」となるかはわかりません。それでも、もし自分が高校・大学生などで、もう少し若い時にThe Floristを見つけたら、「こういう音を出すバンドが日本にいるんだ。ヤバいな。」そういう感覚になると思います。おそらく多くはないと思いますが、それでも見つけてくれた人に対して、何かしらの扉を開く作品であってほしいなと思います。そして、僕たちと同じように、日々仕事をして、家庭を持つ人。音楽を愛してやまない人たちに対しても、グッとくる作品になったと信じています。

須長 やっぱり音楽が純粋に好きな人。自分は海外の音楽好なので、いちリスナーとして音楽を聴いていますが、同じような人からの反応が見てみたいですね。

【インタビュー】The Florist。彼らのシューゲイザー観から、これからの未来が見える interview160624_florist_3

『Blood Music』ジャケット

――The Floristのみなさんが考える今後の展望についてお伺いしたいです。

今村 7月末、高円寺Highにリリースパーティを予定しています。10月末にも下北沢ERAで好きなバンドを呼んで、このアルバムがどうなのか、ぶちかましていこうと思っています。後、MVも発表予定です。

椎名 月並みですけど、フェスに出演したいですね。「こういうバンドが国内にいるんだ」っていうのも知って欲しいし、自分がお客さんの目線になってみても、この音を聴いたら気になるので、面白いと思います。

今村 よく言葉に出すんですけど、せっかくこのメンバーで集まって、The Floristとして、曲を作って演奏ができています。これは誰しもができることではないと思うんです。だからこそ、長く続けたいですね。そして、今回の作品が、それ相応の評価を勝ち得るものになればいいなと思っています。

須長 ふたりが言ってしまいましたね(笑)。やはり色々な人に聴いて確かめてもらいたい。後は色々なジャンルの海外のバンドが来日する時に共演したいですね。やっぱり海外バンドの来日に行く人は、音楽好きな人が多いと思うので、そういう人に聴いてもらいたいです。

蛭間 みんなが言ってしまったので、もうないですよ(笑)。

一同 (笑)。

須長 僕たちは楽しくバンドができればいいんですよね。

今村 それが1番ですね。

蛭間 間違いないですね。

【インタビュー】The Florist。彼らのシューゲイザー観から、これからの未来が見える interview160624_florist_4

EVENT INFORMATION

Total Feedback – The Florist”Blood Music”Release Party –

2016.07.31(日)
OPEN 17:00/START 17:30
東京 高円寺HIGH
ADV ¥2,000/DOOR ¥2,500

The Florist LIVE – Blood Music –

2016.10.29(土)
東京 下北沢ERA

詳細はこちら

RELEASE INFORMATION

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