ダニエル・ロパティンも好きですね

––––最新作で目指したサウンドはどういうものですか?

松村 今回は歌ものに挑戦したかったです。

田嶋 いまの自分たちのやりたい音楽性と、ファースト・ミニ・アルバム(『euphoriaofeuphobia』)を出した頃では、やっぱりテンションだったり、温度感の違いを感じます。

white white sisters – “imperfect conflict”(『euphoriaofeuphobia』)

––––どう違ってきましたか?

松村 エレクトロとロックをミックスさせた、いわゆるガチガチのダンス・バンドにはなりたくないというか。いまの時代のセンスとかもちゃんと取り入れたいなって。

––––いまの時代のセンスというと?

松村 80年代の後半くらいのニュアンスだったり、ちょっとナードなR&Bっぽいテイストだったり。ちょっと前にトロ・イ・モアが最新のアルバムの『Anything in Return』でやっていたような感じとか。チルウェイヴにR&Bがミックスされているような。まあ、だからといって僕たちがあれをそのまま真似してもしょうがないですけど。ああいう音楽からインスピレーションを受けてたりします。あとダニエル・ロパティン(ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー他)も好きですね。

田嶋 最近のメトロノミーもかっこよかったよね。

松村 スクール・オブ・ランゲージとかボディ・ランゲージも好きでした。あ、ランゲージ系が好きです(笑)。

Metronomy – “Love Letters”

––––ランゲージ系(笑)。たしかにチルウェイヴとR&Bというか、ディスコというか。

松村 そうですね。田嶋はもうちょっと古いものとかも聴いてますけど。

田嶋 いまさらですけれど、バート・バカラックとかペンギン・カフェ・オーケストラとか。松村くんとよく音楽の情報交換をするんですけれど、僕は古くてよいものをどんどん掘っていく感じで、松村君は新しい音楽が多い。

––––いきなりお話を振ってしまいますが、平沼さんはどんな感じの音楽が好きなんですか?

平沼 もともとギター・ロック出身なので、いま話題に出ていたような音楽はあまり聴いたことがなくて。レディオヘッドとかが大好きでした。なので、いまふたりが聴いている音楽を聴かせてもらって、グワーっと広がっている感じです(笑)。

田嶋 キャロライン・ロックスというバンドのドラムだったんですよ。

平沼 そのバンドが2012年の12月に解散して、それからこちらでやっています。

caroline rocks – “パラレル”

––––どんなご縁だったんですか?

平沼 前のバンドの時にお世話になっていたエンジニアさんが、white white sistersのエンジニアさんでもあって、その方の紹介でした。

––––ある意味では、打ち込みとVJだけというかなり奇妙なふたり組の中に、突然放り込まれていかがでしたか?

田嶋 ちょっと奇妙なふたり組って(笑)!

平沼 ははははは。いちばん最初に会った時は、ものすごい緊張しました。YouTubeで予習をして、どんなバンドなのか、自分なりに研究してから会ったつもりなんですけど、自分のドラムが合うのかどうか、すごく心配でした。

田嶋 最初にスタジオに入った時に、完璧に曲も覚えてきてくれていて、音もがっちりハマっていたので、ふたりの中ではもうこの人しかいないなと。もっと怖そうな人が来るのかと思ってたけど(笑)。

平沼 そこはお互い様でしょ(笑)。

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