川奈ホテルゴルフコース 富士コース』は、男女両ツアーにおけるプロトーナメント開催コースとして数々のドラマを生み出した、日本屈指の名門ゴルフコースだ。なぜゴルファーがみな憧れて何度も訪れたいと願うのか、歴史を紐解きながらその魅力を紹介する。

プレイヤーのタイプやレベルを問わず、誰をも歓迎するコース

“川奈“とは、ゴルファーに特別な感情をもたらす魔法の言葉だ。日本全国、いわゆる名門ゴルフコースはいくつかあれど、ゴルファーなら誰もが「一生に一度は絶対に訪れたい」と本気で願うコースは実はそう多くはない。なぜなら、名門のほとんどはメンバーシップコースで、メンバー同伴かメンバーの紹介がなければプレーすることはできない。つまり一般ゴルファーにとっては夢のまた夢、実現の見込みが薄いのだ。日本では珍しい海に面したシーサイドコース『川奈ホテルゴルフコース 富士コース』も高嶺の花には違いないが、パブリックコースゆえ、宿泊者は誰でもプレーができる。そして一度でもプレーをしたなら、またすぐに再訪したいと思うはずだ。チャレンジングなコースにリベンジを果たしたい、美しい景観を堪能しつくしたい、快晴の日にコースから富士山を拝みたい。あらゆるタイプ、あらゆるレベルのプレーヤーを魅了するいくつもの要素が富士コースにはある。

ゴルフ好きでなくとも心奪われる美しさ…!“東洋のリビエラ”川奈ホテルゴルフコース 富士コース life180622_golf_kawana_Fuji-1200x800

プロのトーナメント開催コースを体感できるのも魅力のひとつだ。1981年からフジサンケイクラシックを実に24回開催、2005年からはフジサンケイレディスクラシックの舞台となっている。深くてアゴが高くせり出したアリソンバンカーや、うねるフェアウェイ、芝目の強いコーライグリーン、砲台グリーンに翻弄されてプロの技術に畏れ入るのもまた一興だろう。

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キャプション:フジサンケイレディスクラシックでは最終18番となる17番PAR4。セカンド地点からの打ち上げはオーガスタの18番を彷彿とさせる。手前に待ち構えるは2つのアリソンバンカー。正確なショットが求められる。

“日本のコース設計の父“チャールズ・ヒュー・アリソンを魅了した川奈の大地

さて、このアリソンバンカーの生みの親こそが、富士コースの設計者であり、日本のコース設計に絶大な影響をもたらした英国人の設計家チャールズ・ヒュー・アリソンだ。そもそもの始まりは1928年。大谷光明設計の『川奈ホテルゴルフコース 大島コース』が開場し、1936年にはホテルも完成した。富士コースの敷地は当初牧場にする予定だったがゴルフ場に適した地であることを知った川奈ホテルの経営者で大倉財閥の設立者、大倉喜八郎が設計をアリソンに依頼。海を一望する川奈の雄大な景観はアリソンの設計理念を実践する場としてふさわしい舞台だった。

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アリソンが川奈ホテルの一室にこもって設計したこのコースこそが、後に「東洋のリビエラ」と呼ばれるようになる美しき富士コースです

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Text:田村 十七男
Photos:安井 宏充(Weekend.)