森在住の秋田ひろむを中心とするバンドamazarashiが、1月11日、満員のZepp Tokyoにて、<amazarashi TOUR 2014「あんたへ」 >初公演を敢行した。

amazarashiならではのスクリーンに映し出されるアニメーションやタイポグラフィーを駆使した映像世界と生演奏がシンクロした独自のパフォーマンスに加え、ドットイメージ、レーザー等を駆使した時にメランコリック、時に過激な演出で、最新アルバム「あんたへ」収録曲を始めとする全16曲を披露。ラストは、昨年中島美嘉へ提供した楽曲“僕が死のうと思ったのは”の弾き語りで締めくくった。

なお、このツアーは1月18日 愛知 名古屋ダイアモンドホール、1月19日 福岡 福岡imsホール(sold out)、1月25日 大阪 ZEPP なんば、2月1日 東京 Zepp Divercity Tokyo (追加公演)、2月8日 北海道 札幌PENNY LANE24 と続く。このツアーの模様は、3月26日発売予定のamazarashi 初のクリップ集『タイトル未定』の特典映像として収録される。

また、オフィシャルのライブレポートが到着したので、以下にて掲載する。

Live Report

amazarashi LIVE TOUR2014「あんたへ」
2014.01.11(SAT)@ZEPP TOKYO


デビュー以来一切本人のメディア露出がないにも関わらず、その独特の世界観を反映した強烈な歌詞世界が絶望の淵にいる多くの人々を魅了して止まない孤高のアーティスト、秋田ひろむを中心とするバンドamazarashi。

昨年は、初の野外フェスへの出演や対バンライヴの開催、あの中島美嘉への楽曲提供など新しい試みへの果敢な挑戦により、更に新しい層へとその音楽性が浸透し始め、昨年11月20日にリリースされた最新アルバム『あんたへ』の表題曲“あんたへ”が昨年12月度の有線問い合わせチャートにて1位を獲得! そして年明け早々伝えられたメンバー豊川の体調不良によるツァーへの不参加、さらには初のミュージック・クリップ集のリリース決定の情報など、2014年のamazarashiを取り巻く環境は早くも話題騒然! そんな中、最新アルバム『あんたへ』を携えての待望のツアー、<amazarashi LIVE TOUR2014「あんたへ」>が1月11日、ZEPP TOKYOにていよいよ幕を開けた。

チケットは既にソールドアウト、埋め尽くす観客の期待は開演前からいやが上にも高まり、会場は静かな緊張感に包まれる。開演を10分ほど過ぎた頃、アンビエントな雰囲気のBGMが突然止まり客電が落ち客席から歓声があがる。ステージと客席を遮る半透明の薄い幕ごしにメンバーがステージに現れる。

1曲目はまるで小説のような体裁を模したアルバム『あんたへ』の冒頭を飾るピアノの響きが印象的な“まえがき”。ステージを覆い尽くす紗幕にはモノクロームのサンドノイズが投射され、目まぐるしく踊る歌詞が現れては消える。音楽と映像と言葉が巧みにシンクロし、ステージ上には早くもamazarashiの世界が現出する。

一言のMCも無くライヴではお馴染の“奇跡”、“つじつま合わせに生まれた僕等”をたたみ掛けるように演奏。最新作『あんたへ』収録曲を中心に前作『ねぇママ あなたの言うとおり』の“ジュブナイル”を始め、“千年幸福論”、“ワンルーム叙事詩”、“0.6”、“爆弾の作り方”という過去の作品からもライヴでお馴染の曲を交えたセットリストでライヴは進行していく。“奇跡”ではamazarashiのライヴでは初めての鮮烈なレーザーが激しく照射され、前回のツアーから導入されたドットイメージという、可動する電飾の眩い揺らぎと交錯し見る者を幻惑させていく。

歪んだディストーション・ギターのイントロが響き最新アルバム『あんたへ』から三拍子のリズムに乗せて朗々と奏でる美しいラブソング“ドブネズミ”。“人を信じる事 諦めちゃいけないよ それが最後の絆 この世界との きっと”。シンプルで真摯なメッセージが会場の全ての人たちの胸を締め付ける。写し出されたPVの映像と演奏が融合して行く“夏を待っていました”を経て、再びアルバム『あんたへ』よりamazarashiの真骨頂とでもいうべき強烈なメッセージの洪水! amazarashiを好きだと言ってくれる人をイメージして作ったと秋田が言う衝撃的な楽曲“匿名希望”。「僕は君の代弁者じゃない。君の代弁者は君以外にいない」。明朝体の“匿名希望”というタイトルがノイズの海の中に明滅し紗幕を錯綜しながら希望を紡いで行く。

続けざまに最新作よりタイトル・チューン“あんたへ”! 実際の映像をトレースしてアニメにするという手法により秋田本人が登場するPVが映し出される。「早く涙拭けよ 笑い飛ばそう 僕らの過去」青年の苦悩を描くPVのストーリーとシンクロして行く秋田の魂の叫びが客席に沁み渡る。5年前に生まれたこの曲を、秋田自身が客観視することから今回のアルバムの着想を得たと言う。“あんたへ”は秋田が自分自身に向けた歌であり、それがすなわち同時に会場を埋め尽くす、このどうしようもない世界を生きる全ての“あんた”へ向けたメッセージでもあるのだ。絶望に端を発する歌詞が多いamazarashiの楽曲群の中では異色のストレートでシンプルで前向きな言葉で、こんな時代を必死に生きる全ての人々に送る応援歌にステージを見守る観客の涙腺が緩んでいく。

昨夜からの凍てつくこの冬一番の冷え込みの中、『ワンルーム叙事詩』から冬を彩る1曲“真っ白な世界”を披露。紗幕に浮かび上がるのは、しんしんと降り積もる雪の下の雪だるま。その映像はどんどんフォーカスされて行き巨大なスノードームが表出し、その中をキュートな雪だるまが闊歩していく姿に心が和む。そして最新作より、ポエトリー・リーディングによる問題作“冷凍睡眠”! ステージには心臓と心電図モニターの映像が映し出される。ループするクリックノイズと、ピアノやストリングスの響きに彩られた近未来SFの如きストーリー。韻を踏んだ言葉の洪水が押し寄せるアブストラクトなヒップホップにも似た圧倒的な情報量! 激しくうねるレーザーがアグレッシヴなバンドの演奏と相乗し、まるで1本の映画を見た後のような激しい衝撃に観客は圧倒される。ここでライヴもいよいよ終盤。過去の作品から“空っぽの空に潰される”を始め、ライヴでも人気の高い楽曲“無題”、“千年幸福論”を続けざまに演奏。何も絵の入っていない額縁のフレームを映し出しただけのシンプルな映像の下、ある画家の希望と挫折を描いた“無題”では観客の啜り泣きが聞こえてくる。

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ここでこの日初めて秋田が観客に向かって語り始めた。「人生いろいろ変わっちゃうけど…わいはずっと今の歌、歌っていかなきゃなと思います。」客席から暖かい拍手と歓声が上がる。おもむろに中央でアコギを掻き鳴らし秋田がシャウトする。「部屋の中で死にそうな 顔をしていた僕も今じゃこんな歌も歌えるようになった 悲しむな ここがスタートラインだよ 僕等の終わりで始まり」これまでのツアーを経て、その成長に裏打ちされたバンドの自信が漲る力強い演奏と共に、最新作よりamazarashi究極のポジティブソング“終わりで始まり”を披露。

紗幕にはオープニング時と同様のモノクロームのサンドノイズの映像が再び現れる。世界に拒絶され続けて来た秋田がamazarashiでの活動を経て、それまで自分自身に向けていたその歌を、今なら外へオーディエンスへ向かって歌えるんじゃないかと思い始めたことからスタートした最新作『あんたへ』の世界。その全曲を再現するこのライブは勿論アルバム同様、“あとがき”で終了。

鳴り止まない拍手の渦、紗幕越しに秋田以外のメンバーがステージを後にする中、素敵なサプライズが用意されていた。会場を静寂が包み込み、観客が固唾を飲んで見守る。そして天井からの朧げなスポットライトに照らされたステージ中央の秋田のシルエットが静かにアコギを爪弾きながら歌い始めた。

「僕が死のうと思ったのは ウミネコが桟橋で泣いたから」

最後は何と昨年、中島美嘉に楽曲提供したあの“僕が死のうと思ったのは”を、秋田自身が弾き語りで披露! 死にたい自分を説き伏せて頑張り続けた秋田の音楽への強い思いが伝わる素晴らしい歌で、この日全16曲のライヴは幕を閉じた。世界への復讐が原動力だった秋田の歌が今、優しい温もりをもって外の世界へ響き始めている。この日の会場を埋め尽くした全てのオーディエンスは鳴り止まないスタンディングオベーションの拍手に包まれながらそう確信した筈だ。

いつものように終演後も暫く客電が点くことなく、まるで映画のエンドロールのようにamazarashiのロゴが映し出され、最新作から本日も演奏された“あんたへ”がフルコーラス流れる。その間中会場を後にする人は誰一人いない。曲が終わり明かりが灯り、暖かい拍手が沸き上がり初めて観客は席を立ち始める。誰もがこのライブの余韻を大事に胸に秘め、それぞれの帰路に着くことだろう。こうして<amazarashi LIVE TOUR2014「あんたへ」>初日、東京公演は終了した。

尚、<amazarashi LIVE TOUR2014「あんたへ」>は本日を皮切りに愛知、福岡、大阪からセミファイナルの追加公演、東京Zepp Divercityを経て北海道にてファイナルを迎える予定だ。

Release Information

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2013.11.20 on sale!
Artist:amazarashi
Title:あんたへ
SMAR
AICL2605
¥1,800(tax incl.)

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