Interview:池永正ニ(あらかじめ決められた恋人たちへ)
――まずは『DOCUMENT』リリース以前のことから振り返っていきたいのですが、過去に<朝霧JAM>への出演はありましたが、前作『CALLING』のリリース以降は、やはり<フジロック>への初出演をはじめとする幾つかの野外フェスへの出演が、トピックとして大きかったと思うんですね。池永さんとして、その辺りはどうですか?
フェスってそんなに出たことがなかったんですよね。『CALLING』を出してから、<フジ>やら<タイコ>やら<ライジング>に出させてもらって、実際は緊張して「なんとかせないかん…」とか、テンパってましたけど(笑)、思い返せば、とにかく楽しかったですね。
――あら恋はジャムバンドではないですし、いわゆるインストバンドとも違いますよね。カテゴライズできないシネマティックな音像にお客さんがどう反応するのか。結果として、あら恋の音楽は野外フェスの開放感との相性の良さを表したと感じていて。
そうですね、本人たちとしては意図してなくて。僕らのようなあまり野外フェスに行ったことすらない人間の出す音が野外でフィットできたことに、正直びっくりしたんですよ。どっちかっていうと、自分は屋内が合うと思ってましたしね。
――たしかに屋内になれば、照明だったりVJだったり、演奏を演出する要素もあら恋の魅力の一つですよね。屋内だけでなく、野外での相性の良さを確認できたのは大きなトピックだと思うんです。
屋内は屋内用に、ワンマンならではのショーとしてやりたいなと。フェスは、言ってみれば会場に行くまでにもう始まってるじゃないですか。車で移動して、会場に着いたらステージで演奏して、基本フェスは楽しいものなんです。だから、僕の中では別ものなんですよね。会場に着くまでを含めて、あの感じは今までに体験したことがなかったです。
――『DOCUMENT』を聴かせていただいた印象として、優しくて丸みのある音だなと感じたのですが、それはライブハウスだけじゃなく、屋外でのライブが増えたことも影響していると思っていて。
僕も客観的に見て、そういうところからも、優しい丸みのある音っていうのはフィードバックされてるんだろうなって思いますね。