――『DOCUMENT』は全8曲の内容ですが、1曲ごとの長さのバリエーションが幅広いですよね。最短で“days”の1分58秒、最長で“ヘヴン”の13:38、次点が“テン”の10:32。これは『CALLING』にはなかった要素ですし、もしかしたら、『今日』の影響が大きかったのかなと思っていて。

『今日』は2曲とも10分を超えてますもんね。たしかに、あれで慣れたというか、3.11以降は長くなったんですよね。まとめられないじゃないですか、社会的にも、政治的にも、みんなの考え方的にも。時代と言ったらスケールが大きいけど、現状をまとめきれないですよね。こういう状況だと、言葉がどんどん増えていくわけじゃないですか。この時代を生きてる以上、意図せずともそういうものを描くことになるというか。だから、作り出すとどうにも長くなったんですよね。今回の曲も、最初は4、5分でまとまったけど、「これは綺麗すぎる」となって、曲に違和感を作らないと成立しないな、とか思ってたらどんどん延びてしまいましたね。

――元々は数分だった曲に展開を付けていったんですね。

そうそう。そうしないと描けないと思う、今の「音風景」は。

【インタビュー】あらかじめ決められた恋人たちへが記録する「旅立ち」のドキュメンタリーフィルム。池永正二が語る最新作『DOCUMENT』について。 feature130909_arakoi_interview_08

――『DOCUMENT』の収録曲は、3.11以降に作られたもので構成されていますか。

そうです。今回はCDに20ページのブックレットが付いてるんですよ。そこにはインストの曲に僕の書いた詩というかメモ書きと、SHOHEI TAKASAKIくんに描いてもらった絵が一曲ずつに対して入っていて。言葉も絵も具体的な表現は省いてるんですよ。

――具体的な言葉を省くと、解釈の幅が広がりますよね。

日記になったらダメなんで、あくまでもイメージの含みがあるもの、言葉や絵から広がる音というものにしたかったんですよね。逆に音から広がる言葉もありますし。

――ブックレット形式で言葉を綴るというのは、池永さんにとってはじめての試みですよね。

はい。はじめ、邪魔になるかなぁって思ったんですが、幅を狭めるような限定された言葉でなければ、イメージを飛躍させるジャンプ台になるのかなって。だからあんまり重く考えないで素直にやりたい事やりました。